F1 アゼルバイジャンGP

F1の次期エンジンは3L V8ターボ+小型モーターで基本合意。自然吸気への回帰は騒音問題により見送りへ

F1の次期エンジン規則の初期案が明らかになった。初期案では3.0リッターV8ターボエンジンを採用し、小型の電動モーターを搭載することで軽量化が図られるという。

Roberto Chinchero

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公開日時: 2026/09/24 2:27

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写真:: Eric Le Galliot

 F1関係者は、次期エンジン規則の主要な要素について合意に達した。元々は自然吸気エンジンに回帰するという案もあったが、これは見送られた。

 自然吸気エンジン見送りの背景には、ストリートサーキットにおける騒音規制の問題があるという。その結果、排気量3LでV型8気筒のターボエンジンとなり、小型化・簡素化された電動パッケージと組み合わされるという。またオーバーテイクを支援するプッシュ・トゥ・パス方式のパワーブーストも検討されており、2030年に導入される可能性もある。

 議論は現在も続いているものの、F1の次の技術サイクルを担うエンジンの姿はおおむね固まってきた。残る詳細を詰めるため、FIAと各メーカーによる協議は今後も続くが、従来のレーシングエンジンに近いシンプルで軽量なものを目指すという主要コンセプトについては大筋で合意に達している。

V8エンジンへの回帰

 F1は今後、3L V8エンジンへ移行する見通しだが、エンジンメーカーの間で最も意見が分かれたのが、ターボチャージャーを残すかどうかだった。

 自然吸気エンジンを採用する可能性も検討されていた。実現していれば、2000年代初頭のF1を懐かしむファンにとって、非常に魅力的なサウンドが復活することになっただろう。しかし、パワーユニットの構成にはターボチャージャーが残る見通しとなった。その判断の理由は、単なる技術的な問題にとどまらない。自然吸気のV8エンジンを採用すると、現在の一部のF1開催地にとって大きな問題となるレベルの騒音が発生する可能性があるためだ。

 特に問題となるのがストリートサーキットだ。メルボルン、マイアミ、マドリード、シンガポール、バクー、ラスベガスでは騒音規制が設けられており、現行世代よりも大幅に音量の大きいマシンが登場すれば、解決が極めて困難な問題を引き起こし、場合によってはイベント自体の開催を危機にさらす可能性もある。

 こうした状況を受け、従来よりも小型のターボチャージャーを残すという案が採用された。この妥協案であれば、一部のF1サーキットで適用されている騒音規制の範囲内に収めながら、現行パワーユニットよりも大幅に大きなサウンドを実現できるとみられる。

小型電動モーターと軽量のパワーユニット

 新しいV8エンジンは、電気エネルギーと完全に決別するわけではない。新規則には、簡素化された100kWの電動モーターが盛り込まれる見通しだ。これは、現行世代のパワーユニットが備える350kWと比べて大幅に低い出力となる。

 この変更の目的は、最新世代のパワーユニットの特徴であった複雑さを解消しつつも、現代の自動車産業との技術的なつながりを維持するということだ。電動パワーはF1に残るものの、パッケージ全体における役割は小さくなる。

 そして近年の経験から得られた教訓が反映されているとみられるもうひとつの分野が、パワーユニット全体の重量だ。新パワーユニットには非常に野心的な目標が設定されており、現行より少なくとも50kg軽量にすることが目標となっている。

プッシュ・トゥ・パスの2030年導入を検討

 まだ最終決定に至っていない要素もある。そのひとつが、ドライバーの追い越しを支援する追加パワーブーストのシステムだ。

 どうやら、2025年シーズン終了まで使用されたDRSを復活させる意向はないようだ。現在検討されているのは、インディカーで採用されているプッシュ・トゥ・パスに近い方式で、ドライバーが特定の状況下で一時的にパワーを増加させられるようにするものだ。

 これは、FIAとエンジンメーカーが今後も最終的な合意に向けて協議する必要がある項目のひとつとなる。新規則をF1にいつ導入するかについてもまだ決定しておらず、技術規則のサイクル通りに2031年に導入するのではなく、1年前倒しで2030年に導入する案も選択肢に入っている。

 決定に至るには、すべての関係者が妥協点を見いだす必要があるが、現行世代のパワーユニットを巡って浮上した問題が、個々の技術的な詳細を超えた、より大きな議論を加速させている。これまで技術的な複雑さを追求してきたF1は、より伝統的なレーシングエンジンのコンセプトへ回帰しようとしているようだ。

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