
ホンダのF1テクニカルディレクターである田辺豊治は、ガスリーのマシンに発生した振動問題について、ほんのわずかな違いが原因だったと語った。
ホンダのF1テクニカルディレクターである田辺豊治は、日本GPのフリー走行3回目にピエール・ガスリーのマシンに発生した振動の問題はパワーユニット(PU)の故障ではなく、ちょっとした差の積み重ねが原因だったと明かした。
ホンダF1にとってのホームレースとなる今回の日本GP。トロロッソ・ホンダは気まぐれな空模様の予選を乗り切り、ブレンドン・ハートレーが6番手、ピエール・ガスリーが7番手を獲得した。
しかし今週末の流れが順調だったのはハートレーのみ。ガスリーはFP2ではPUとは関係のない燃料システムのトラブルに見舞われ、FP3ではPUの振動に悩まされ、パワーが上げられない状態だった。
ホンダはFP3と予選の2時間のインターバル中に、現場にいるスタッフのほか、さくら研究所や英・ミルトンキーンズの拠点にいるスタッフとも議論し、何とか問題を収束することができたという。
「(ガスリーの方の)PU側の挙動がちょっと最適ではなかったので、データを変更したりしていました。(FP3の)最後の最後に、もう一度最終確認のためにコースに出ようとしていたら、赤旗で確認できませんでした」
そう田辺テクニカルディレクターは説明した。
「短い時間でしたが、実走データをもう一度おさらいして、現状最適と思われるデータを作って入れました。予選までには何とか回復することができました。ドライバビリティーと振動については、レースをするのに支障がないレベルに収まっています」
トロロッソが使用しているホンダの最新スペックPUは、先週のロシアGPで初投入された。しかし振動やドライバビリティに問題が生じたため使用が中止され、調整を行なった上で改めて投入されたという経緯がある。
今回ガスリー車に生じた問題も何かが故障したせいではなく、わずかな違いの積み重ねによって生じたものだと、田辺テクニカルディレクターは語った。
「モノが壊れてどうのこうのという訳ではなく、複雑なPUの制御が絡み合って、悪い方へ悪い方へいってしまったということです。乗り方や個体差、センサーの違いなどが積み重なっての結果です」
「サーキットでしかできない作業があるんですけど、その合わせこみのところでちょっとした差が出ていて、それが違うところに影響して、それがまた違うところに影響して……という形です。ですが、ガスリー選手がFP2であまり走れなかったこととは関係ありません」
ハートレーの予選6番手という結果は、バーレーンGPとハンガリーGPでガスリーが獲得したのに続いてチーム3度目。彼個人にとっては自己ベストだ。またチームで6番手と7番手というのは、ホンダのF1復帰以来ベストでもある。
これについて田辺は「Q2までで言えば、実力を出し切ってQ3に残れたなというストーリーで良いと思うんですが、Q3に関して言えばドタバタというか、ベスト(5番手以上)を更新しても良かったかなと思います」と話した。
「それでも参戦してから最高の結果を残したということは、我々が進歩しているということを示せるんではないかと思っています。色々な状況もありますけど、その中でも数字は残りますから、ベストというのは非常にポジティブなことだと思います」
まずは母国のファンの前で好結果を残したホンダ。決勝に向けてはミスなく戦いたいと、田辺は意気込んだ。
「ちょっとしたことの積み重ねがレースに影響しないように細かく見直して臨みたいと思います。長いレースですし何が起こるか分かりませんから、楽観視はできません。まずはとにかく完走、そして行けるところまで行く。中団グループは戦闘力的にも拮抗していますので、ミスなく後悔がないレースにしたいです」
Additional reporting by Kunihiko Akai