日本のF1ファンが選んだ”あなたの好きなホンダF1”ベスト10。伝説の1台が圧倒的な支持を集める
motorsport.com日本版の読者の皆様からお寄せいただいた、”好きなホンダF1”投票。本稿ではそのベスト10台をご紹介する。なお、ホンダF1マシンには広義として「ホンダに関連するエンジン・PUを搭載したマシン」も含まれている。
8位タイ:マクラーレンMP4/5(1989年)
「セナプロ、衝撃の接触。NAでもホンダ強し!」5票
Ayrton Senna, McLaren MP4/5 Honda
Photo by: Motorsport Images
長いF1の歴史の中でも、アイコニックなマルボロカラーのマクラーレン・ホンダからまずはMP4/5がランクイン。1989年のマシンであり、ドライバーはアラン・プロストとアイルトン・セナだ。
16戦10勝と素晴らしい成績を収めたものの、前年に16戦15勝という歴史的な成績を残したMP4/4と比べられるちょっと不遇な1台と言えるかもしれない。
ただ、この年はエンジン規定が大激変。ターボエンジンが禁止され、3.5リッターの自然吸気(NA)化されたのだ。そんな中でもホンダは、最強のエンジンをマクラーレンに供給した。
セナとプロストの対立が表面化したのもこの年。第15戦日本GP、鈴鹿の最終シケインで2台が接触するという衝撃シーンは、この先も語り継がれていくことだろう。
8位タイ:マクラーレンMP4/7A
「ホンダ第2期F1活動最後のマシン」5票
Ayrton Senna, McLaren MP4/7A, Nigel Mansell, Williams FW14B
エンジンサプライヤーとして活動したホンダの第2期F1活動最終年の1992年にマクラーレンが投入した1台。ドライバーはアイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーだ。
モナコGPで、セナがウイリアムズのナイジェル・マンセルと死闘を繰り広げ、マンセルの連勝街道をストップした1台として、ファンの記憶に強烈に刻まれている。
アクティブサスペンションを備えたウイリアムズのFW14Bに苦戦を強いられるも、最終戦オーストラリアGPでセナがマンセルを追い回した。最終的にそのふたりがリタイアし、トップチェッカーを受けたのはベルガー。ホンダにとっては有終の美を飾ることとなった。
この年のエンジン『RA122E』用にセラミックバルブを開発していた(!)という方からも投票があったが、残念ながら採用はされなかったとのこと。
8位タイ:ホンダRA106
「コンストラクター”ホンダ”、39年ぶりの優勝」5票
Jenson Button, Honda RA106
Photo by: Steven Tee / Motorsport Images
ホンダがB・A・Rからチームを完全に引き継ぎ、ホンダ・レーシングF1チームとして参戦した2006年のF1マシン。ドライバーはルーベンス・バリチェロとジェンソン・バトンだ。
第13戦ハンガリーGP、雨絡みのレースでバトンが初優勝。ホンダにとっても1992年の最終戦以来、シャシーコンストラクターとしては1967年イタリアGP以来の通算3勝目となった。
今のところ、F1の表彰台で君が代が流れた最後のレースとなっていることもあって、ファンにとっても印象深い1台となっているようだ。
6位タイ:ウイリアムズFW11B(1987年)
「ホンダに初のドライバーズタイトルをもたらした黄金時代最初の1台」6票
Nelson Piquet, Williams FW11B Honda
Photo by: Sutton Images
1983年からエンジンサプライヤーという形で第2期F1活動を開始したホンダ。1984年からウイリアムズとのタッグを開始し、徐々にパフォーマンスを上げていった。それが結実したのが、1986年のFW11、そして1987年のFW11Bだろう。
この時期のF1はターボエンジン全盛期。徐々に燃料や過給圧に関する規定が厳しくなる中で、ホンダエンジンは1.5リットルの排気量で1500馬力という、凄まじいパワーを発揮していた。
ネルソン・ピケ、ナイジェル・マンセルのコンビで1986年にホンダにとってF1での初タイトルとなるコンストラクターズタイトルを獲得。前年よりもさらに高回転&高圧縮化に成功したエンジンを搭載したFW11Bは、マンセルとピケがタイトル争いを演じ、ピケの手でドライバーズタイトルがもたらされた。
イタリアGPではアクティブサスペンションを搭載したという意味でも、エポックメイキングな一台だ。
6位タイ:スーパーアグリSA07(2007年)
「オールジャパンのプライド」6票
Takuma Sato, Super Aguri SA07-Honda
Photo by: Andrew Ferraro / Motorsport Images
スーパーアグリが2007年に使用したF1マシン。佐藤琢磨とアンソニー・デビッドソンがドライブした。
鈴木亜久里が立ち上げ、ホンダエンジンを搭載。ブリヂストンタイヤを履き、佐藤琢磨がドライブする……まさにオールジャパンの1台だった。
本稿で紹介する他のマシンほどの成績は残していないものの、前年王者で当時最強の一角だったマクラーレンに乗るフェルナンド・アロンソをオーバーテイク。タイヤ状況の違いもあったとはいえ、最終シケインでアウト側から豪快な追い抜きを決めたシーンは、まさに名場面だった。
5位:マクラーレンMP4/5B(1990年)
「セナプロ対決再び」7票
Ayrton Senna, McLaren MP4/5B
Photo by: Sutton Images
10位にランクインしたMP4/5の改良型であり、1990年に使われた1台。アイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーが駆った。
『バットマン・ディフューザー』と呼ばれた巨大ディフューザーなどを備えていたが、シャシー性能ではフェラーリの641/2の後塵を拝していた。ホンダは、最強V10エンジンをアップデートし、チームを支えた。
タイトル争いの決着は、日本GPでセナとフェラーリに乗るアラン・プロストが1周目に接触。前年の接触でタイトルを逃したセナが、チームを移籍したプロストにやり返す形となった。F1を戦うドライバーたちの勝利への執念を目の当たりにした瞬間だった。
4位:レッドブルRB18(2022年)
「シーズン17勝、ライバルたちを圧倒」10票
Max Verstappen, Red Bull Racing RB18
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
2022年シーズンのマシンがここにランクイン。マックス・フェルスタッペンがシーズン最多勝記録を更新する15勝、セルジオ・ペレスも2勝を挙げた。
ホンダは2021年限りでF1活動を終了したものの、新燃料への対応も含め、パワーユニットの開発はホンダが実施。HRCを通じてサポートを続けている。
レギュレーションが大きく変わった中で、新世代マシンのスタイリングや、ライバルたちを圧倒する強さが票を集めた。
3位:マクラーレンMP4/6(1991年)
「ホンダV12エンジン、至高の咆哮」34票
Ayrton Senna, McLaren MP4/6 Honda
Photo by: Motorsport Images
マクラーレンが1991年用に開発したマシンであり、アイルトン・セナ最後のタイトルを獲得したマシンだ。
ホンダは、第1期活動以来となるV12エンジンを開発。シーズンを通じてアップデートを続け、トータルパッケージが重要になりつつあったF1を力で捩じ伏せた。
なんといっても、このクルマの魅力はそのエンジンサウンド。V12エンジン唯一のチャンピオンマシンの咆哮は、多くのファンの記憶に刻まれている。
2位:レッドブルRB16B(2021年)
「記憶に残る大激闘、30年ぶりの戴冠」38票
Max Verstappen, Red Bull Racing RB16B
Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images
2021年の最終戦、アブダビGPのファイナルラップまで続いたドラマチックなタイトル争いを経て、マックス・フェルスタッペンが初タイトルを獲得したことが記憶に新しい。
エンジンには新骨格が導入され、ホンダジェットの技術も活用するなどオールホンダ体制。ホンダにとっては30年ぶりのチャンピオンマシンとなった。
リヤウイングに大きく掲げられた”HONDA”ロゴが印象に残っている読者も多かったようだ。また、F1を好きになるきっかけになった1台だという、嬉しい意見も複数見られた。
1位:マクラーレンMP4/4(1988年)
「圧倒的な勝率が至高の証明」103票
Ayrton Senna, McLaren MP4/4
Photo by: Sutton Images
投票された多くの方が、16戦15勝という圧倒的な勝率をその理由に挙げた。1988年、アイルトン・セナとアラン・プロストのコンビが駆ったこのマシンは、今でもファンを魅了している。
この年の16戦中、イギリスGPを除くポールポジション15回と、イタリアGPを除く15勝を記録。ワンツーフィニッシュは10回を数えた。そのうち8勝をマークしたセナが初めてチャンピオンに輝いたのもこのクルマだ。
その強さ、美しさはもちろんのこと、ターボエンジンの最終年で厳しい燃費規制を受けながらも、他を圧倒するパワーを見せたホンダエンジンRA168-Eは『1.5リッターターボの集大成』との呼び声も高い。
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