亡き総帥に捧ぐ勝利の杯。レッドブル代表、悲願のF1チームタイトル獲得に「きっと雲の上から楽しんでくれたはず」
F1アメリカGPをマックス・フェルスタッペンが制したことで、レッドブル・レーシングは2013年以来のコンストラクターズタイトルを獲得。クリスチャン・ホーナー代表は、先日亡くなったレッドブルの共同創設者ディートリッヒ・マテシッツを称えるチャンピオン獲得になったと考えている。
Race winner Max Verstappen, Red Bull Racing celebrates with Dietrich Mateschitz, CEO and Founder of Red Bull, Christian Horner, Red Bull Racing Team Principal, Dr Helmut Marko, Red Bull Motorsport Consultant and the team
Manuel Goria / Motorsport Images
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の勝利によって幕を閉じたF1第19戦アメリカGP。前戦日本GPでフェルスタッペンは2021年に次ぐ自身2度目のドライバーズタイトルを獲得したが、今回のアメリカGPでレッドブルは今季のコンストラクターズチャンピオンに輝いた。それもレッドブルの共同創設者であるディートリッヒ・マテシッツが逝去した週末に、2013年以来のタイトルを掴んだのだ。
今回の勝利についてチーム代表のクリスチャン・ホーナー代表は、亡きレッドブル総帥を称える勝利になったと語っている。
アメリカGPで、ミハエル・シューマッハーやセバスチャン・ベッテルに並ぶ史上最多タイのシーズン13勝目を挙げたフェルスタッペンだったが、楽な勝利ではなかった。
スタートで交わしたポールポジションのカルロス・サインツJr.(フェラーリ)が後続からの追突によってリタイアとなっていたことで、レース中盤までフェルスタッペンが盤石な体制を築いた。
しかし、ピットストップ2回目でレッドブルはフェルスタッペンの左フロントタイヤの締め付けに手こずりタイムロス……2度のセーフティカー導入で後続のハミルトン以下に大きなタイム差を築けていなかったことも相まって、フェルスタッペンはレース後半に挽回を強いられた。
ハミルトンやシャルル・ルクレール(フェラーリ)に先行を許したフェルスタッペンだったが、ルクレール攻略後は首位ハミルトンとのタイム差をジリジリと縮め、レース50周目のターン12でオーバーテイク。首位を奪還すると追いすがるハミルトンを振り切り、トップでチェッカーフラッグを受けた。
「今回は、マックスがレースをかなり支配していたと思う」
そうホーナーはレースを振り返る。
「2回目のピットストップではホイールガンのトラブルに見舞われたが、既にミディアムタイヤを(スタートタイヤに)選択していたことから、より良いタイヤで走ることができた。ただ、このピットストップで彼は約8秒近くをロスしてしまった。それによりシャルルに後れを取り、更にルイスとの差を縮めることを強いられた」
「まるで台本にかかれていたシナリオみたいに、彼はポジションを挽回してトップに戻って来なければならなかったのだ。残り5~6周でメルセデスを抜き去り、コンストラクターズ世界タイトルを獲得したこのレースを、ディートリッヒはきっと空から楽しんでいていたことだろう」
Max Verstappen, Red Bull Racing, 1st position, celebrates on arrival in Parc Ferme
Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images
そしてホーナーは、マテシッツの逝去を悼むのではなく、彼の生きた人生を称えるためにレース勝利とコンストラクターズチャンピオン獲得を目指したと語った。
「先日ディートリッヒが亡くなったという訃報を聞いた時は、チーム全体がとてもショックを受けていた。彼はとても偉大な人物で、レッドブル・レーシングだけでなく。F1のために多くのことを成し遂げてきた」
「だからこそ我々は、彼が誇りに思うような形で、彼に敬意を表することを決意した。黒い腕章も、1分間の黙祷もない。ただ彼を称えることにしたのだ。その最善の方法が、サーキットでパフォーマンスを発揮するということは明白だ」
「8年という長い歳月を経ても、我々は信じ続けることをやめず、自らを奮い立たせ、磨き上げ、再び世界選手権の頂点に立つという目標やゴールを見失うことはなかった。それを達成できたのは、スタッフ全員の努力とパートナーやサプライヤーの献身のおかげ……そしてディートリッヒが体現してくれたスピリットが、レッドブル全体に浸透していたからこそ、多くの人が不可能だと思ったことを成し遂げることができたのだと思う」
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