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【インタビュー】F1漫画の先駆け「赤いペガサス」の村上もとか氏が原画展示会を開催中。“F1漫画”執筆のいきさつとは

「JIN-仁-」「龍-RON-」といった人気漫画を執筆してきた村上もとか氏。今年デビュー50周年を記念した展示会が現在東京都の弥生美術館で開催中だ。motorsport.comは村上氏にインタビューを実施し、日本におけるF1ブームの先駆けとなった「赤いペガサス」について話を伺った

村上もとか原画展・原稿

村上もとか原画展・原稿

Motorsport.com / Japan

 東京都文京区に位置する弥生美術館では現在、人気漫画家の村上もとか氏のデビュー50周年を記念した展示会が開催されている。F1を描いた漫画「赤いペガサス」の作者である村上氏に、motorsport.comは話を伺った。

 【プレゼント企画実施中。詳細は記事下部へ】

 村上もとか氏といえば、2009年から2011年にかけて大沢たかお主演でドラマ化され大人気を博した「JIN-仁-」や、「龍-RON-」、TVアニメ化もされた「六三四の剣」など多数の人気漫画を執筆してきた漫画界の大御所。

 氏は2022年でデビュー50周年の節目を迎えており、現在は「グランドジャンプ」(集英社)で幕末を舞台にした医療漫画「侠医冬馬」を連載するなど、精力的な活動を続けている。

 motorsport.comの読者としては村上氏による著作の中でも、とくに「赤いペガサス」が印象に残っているかもしれない。日本におけるバブル期のF1ブームよりも10年前に、本格的なF1漫画を執筆し、本邦におけるF1人気拡大の一助になったことは間違いない。

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

写真:: Motorsport.com / Japan

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

写真:: Motorsport.com / Japan

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 開催中の展示会では、代表作と言える「JIN-仁-」「龍-RON-」「六三四の剣」に加え、「赤いペガサス」の貴重な原画が数多く展示されている。

 近年は人気漫画作品の原画展が数多く開催されているが、生の原画に直接接することのできる機会はさほど多くない。しかし、実物の原画を目の前にすると、身に迫るモノがある。

 「赤いペガサス」の原稿を例にとっても、躍動するF1マシンのよじれるボディ、路面を蹴るタイヤの描写などは、一本一本の線の細かさにため息が出るほどだ。村上氏の描く緻密なイラストの修正液の盛り上がりから、ベタのムラまで観察できるなど、”生”原画の情報量には圧倒されるはずだ。

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

写真:: Motorsport.com / Japan

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

写真:: Motorsport.com / Japan

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

写真:: Motorsport.com / Japan

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

写真:: Motorsport.com / Japan

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

村上もとか原画展・原稿©村上もとか/小学館

写真:: Motorsport.com / Japan

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 展示では村上氏の画業を振り返る形で、時代を追いながら作品の原画が並べられている。当時の掲載雑誌も合わせて展示されており、連載を追っていた方にとっては懐かしさも感じられるだろう。

 この展示会は6月から開始されており、会期は9月25日までとまだ余裕がある。また8月1日からは一部展示変えが行なわれる予定となっている。さらに現在は毎週金曜日に20時まで開館中となっているため、仕事帰りに展示会へ寄ることも可能だ。

村上もとか原画展・グッズ

村上もとか原画展・グッズ

写真:: Motorsport.com / Japan

村上もとか原画展・グッズ

村上もとか原画展・グッズ

写真:: Motorsport.com / Japan

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 なお会場ではグッズ販売も実施されている。「JIN-仁-」「六三四の剣」「赤いペガサス」のTシャツ、「JIN-仁-」に登場する花魁の”野風”をあしらった手ぬぐいやその他ポストカードなどが販売中だ。ファンの方は手にとってみるのも良いだろう。

■インタビュー:村上もとかさんに聞く「赤いペガサス」誕生の秘密

村上さんは「赤いペガサス」をどういう作品として描こうと思ったのですか?

「僕の初めての本格的な長編連載です。掲載されたのは1977年の少年サンデー(小学館)で、79年まで続きました。少年サンデーの読者はどちらかといえば少年層が中心ですが、赤ペガのテーマは年齢の高い層を想定して描いたので、連載中はあまり読者がつきませんでした。でも、その頃の読者が成長して単行本を買ってくれたので、有り難かったですね」

仕事場の風景。ここで漫画が生み出されている

仕事場の風景。ここで漫画が生み出されている

Photo by: Motorsport.com / Japan

レース漫画ですが、物語の根底に流れているのはまさに人間ドラマで、逃避行のようなイメージもあります。

「70年代頃のレースではドライバーはよく亡くなっていました。危険を顧みない、現代のマタドールです。そういう人生を送る人を主人公にするんですが、それも日本人。当時日本人がF1グランプリで優勝するなんて考えられませんでした。それをマンガでやるなら普通の日本人じゃない方がいい。なんだこいつというようなとんでもない性格なら成り立つんじゃないかと考えたんです。そこを成立させるための道具がボンベイブラッドであり、妹がそのリザーバーであったりと、異常な関係を作ったんです。当時、モータースポーツのマンガをモノとして素直に読んでくれる層はまずなかった。だったら、いままでにない、この危ない臭いはなんだ、というのを描きたかったんです。その辺りから読者は反応してくれたんだと思います」

F1の様な激しい世界を舞台にすると、クルマのようなモノに引っ張られるでしょう? でも、行動する人間の美学の方が大切です。この考えは、その後の村上さんの漫画でも一貫していますよね。

「やっぱり生き死にがあるようなドラマを描きたいと考えていて、F1はまさにそういう世界だし、ドライバーは格好良いけどどうしても危険の臭いが漂って、そういう部分があるからモテるんだろうし、魅力的なんですね。それをどう描いたら読者がすげえなあこいつらって思ってもらえるかと考えて、ああいう設定にしたんです。当時ボンベイブラッドと言っても余り知られていなかったけど、いまは増えているみたいですね」

ちょっと破天荒な設定ですが、漫画ならでこその設定ですよね。

「マンガは基本的に嘘を楽しむものだと思っています。いかがわしいモノですよ。白戸三平先生の忍者ものだって嘘の塊だし、魔球が消えるのも理由を聞いても分からない。でも、大嘘をついた後は嘘をつかないようにしています。嘘をつき続けると壊れますから」

絵の話を伺いたいのですが、村上さんの漫画は非常に細かい、細い線で背景を描いていらっしゃいます。線の数も非常に多い。F1マシンのスピードやタイヤが回転している様子など線だけで表現されています。

「背景などは絶対に手を抜けないですね。線を多用しますが、実際のように見せないと読者にばれてしまいます。描く上ではこちらも勉強しないといけない。F1レースのこと、ドライバーのこと、クルマのことなど勉強しながら描きました。基本的にマンガの読者はマンガ読んで勉強なんかしたくないわけですよね。だから作者が勉強して描いても、作品に勉強臭が漂っちゃうと敬遠されます。そこが難しいところです」

執筆中の村上もとか先生

執筆中の村上もとか先生

Photo by: Motorsport.com / Japan

村上さんの漫画は線が綺麗です。

「最近は年取ってきて手が震えます。赤ペガの頃は若かったので線はスイスイ引けましたけどね」

弥生美術館で行われている『デビュー50周年 村上もとか展』を尋ねまして、赤ペガはもとより、JIN-仁-、龍-RON-、六三四の剣などの素晴らしい原画を見せていただきました。

「あんな形で展示して戴けると嬉しいですね。自分でも改めて見直しました。学芸員の内田静枝さんが尽力してくれまして、素晴らしい展示が出来たと思います。彼女は僕の作品を全部読み込んでくれたそうです。お正月休みに龍を読了しましたよって仰っていました。頭が下がります」

原画というのは漫画の一場面を切り取ったモノですが、それだけで一葉の作品ですね。

「絵の上手い漫画家の先生は原画だけでも展示会が出来ますよね。永嶋慎二さんとか宮谷一彦さん、井上雅彦さんとかね。彼らの原画はそれ自体が作品ですね。見て凄いんです。心を捕まえられました。ここまで描けるんだって、って」

赤ペガに始まった村上さんの作品は、時代を経るに従い深い人間ドラマに集約されてきます。掲載誌が少年誌から青年誌に移ってきますが、やはり青年誌で人を描きたかったのですか?

村上もとか先生

村上もとか先生

Photo by: Motorsport.com / Japan

「龍(ロン)を描きたいからいつか青年誌に移行したいと思っていました。でも、少年誌に関わったからには少年誌の王道のようなマンガを描いてみたいと思って始めたのが六三四の剣です。それが読者に支持されて、ビッグコミック・オリジナルで足かけ16年連載を描かせてもらったのが龍(ロン)です。龍(ロン)の終盤はJIN-仁-とも重なったのですが、龍(ロン)が母体になって青年誌におけるバックボーンを作ってくれたと思います。赤ペガが始まったのが1977年、それからJIN-仁-が終了したのが2010年。なんと言ってもマンガの黄金期に描かせてもらったのが嬉しかったです」(おわり)

■motorsport.com読者プレゼント

「デビュー50周年記念 村上もとか展」の入場チケットを”5組10名様”にプレゼント。
・応募方法 motorsport.com日本語版の公式Twitterをダイレクトメッセージを受信可能な状態でフォローのうえ、下記ツイートをリツイート。
・応募期間 8月4日~12日

 

■開催情報 「デビュー50周年記念 村上もとか展」
会期 2022(令和4)年6月4日(土)~9月25日(日)
開館時間 午前10時00分~午後5時00分(入館は4時30分まで)
     7月22日より、毎週金曜日は午後8時まで開館
休館日 月曜日
 *新型コロナウイルスの影響により、会期が変更になる場合があります。
料金 一般1000円/大・高生 900円/中・小生500円

 

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