ハミルトン圧勝劇の舞台裏。レースをポテンシャル追求の”テスト”に利用
スペインGPで独走優勝を飾ったハミルトンは、決勝レース中にマシンのポテンシャルを引き出すための”テスト”を行っていたという。














F1第5戦スペインGPを圧倒的な強さで優勝したメルセデスのルイス・ハミルトンは、開幕戦以来となるトップ走行中に、マシンのポテンシャルをフルに引き出すための”テスト”を行っていたと明かした。
マシンのセットアップがバッチリ決まっていたハミルトンは、ポールポジションから他を寄せ付けない速さを見せ、チームメイトのバルテリ・ボッタスにも20秒の大差をつける完勝を果たした。
「今回は本当に活気を取り戻せたようなレースだった」
そうハミルトンはレースを振り返った。
「みんな、今回は僕にとって簡単なレースだったと思うだろうし、僕がクルーズしていたと感じただろう。でもそうじゃない」
「マシンは快適だったし、それはずっと変わらなかった。でも、僕は毎周プッシュしていたんだ。僕はどんなバランスが好きなのか。どうやったらもう少し速く走れるのか。これ以上マシンのポテンシャルを引き出すにはどうしたら良いのかを理解するための、”テストベンチ”として使っていたんだ」
「そして、どうすればもっと良くなるかを理解できた。だから、デブリーフィング(レース後のミーティング)はとても特別だった。どうすれば良いのかが分かったからね」
「そのミーティングで、僕はいくつか重要なポイントを指摘した。『こういう風にすれば、もっと良くなる。そうすればもっと速く走れるようになるよ』って感じだ」
「世界チャンピオンになることによって、チームが自分の言うことに自然に耳を傾けるようになってくれるのはクールなことだ。ちんぷんかんぷんなことは言わないってことだから」
「彼らは各々の分野に集中し、データを分析して改善に取り組んでくれている。それを一緒にやれるというのは素晴らしいことだ」
「もちろん、彼らはそれ(テスト)がうまくいくことは分かっていたんだろう。だけど、また彼らはそれぞれが専門知識を活かしてマシンを良くしようとしてくれる。そのうち、その成果が見えてくるはずだ」
ハミルトンは、バーチャルセーフティカー中のピットストップによってセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に逆転を許した開幕戦オーストラリアGP以降、マシンについて完全な自信を持てていなかったことを認めた。
「メルボルンではバランスも良かったし、マシンに本当に満足していた」
「そしてそれ以来、マシンに自信を持てていなかった。マシンのリヤが僕が望んでいたような感触ではなくて、マシンを信頼しアタックできる自信がなかったんだ」
「何らかの理由で、昨日(予選日)もまだ自信を持てていなかった。予選を通じてすごくナーバスなマシンだったけど、それまでよりはマシだった。でも十分じゃなかったんだ」
「レースに向けては、右側のウイングの設定を変えるようなことしかしていない。でも、マシンは少しドライブしやすくなった。バランスが通常に近づいたんだ」
「マシンを快適に感じた。限界までこのマシンをプッシュしたくなったし、自分がどこまでプッシュできるのかを試したくなった。どれだけ安定して走れて、どんなタイムが出せるのか、どこまで改善できるか。レースを通じて、それを追求する気持ちだったんだ」
「ファイナルラップのターン12まではそういう気持ちだった。トラフィックがあったからバックオフしたんだ」
シーズン序盤は苦しいレースが続いていたハミルトンにとって、今回の勝利は特別なものだったと、彼は付け加えた。
「ここバルセロナであんなパフォーマンスを見せられて、みんなを納得させるような優勝が出来て素晴らしい気分だ」
「誰もが、こんな風に勝ちたいって思うだろう。間違いなく素晴らしい気分になれる。僕のマシンから”エネルギー”が出ていたのが見えたんじゃないかって思うよ」
「全部の優勝が、今回みたいに素晴らしく思えるわけじゃない。これが僕にとって64勝目になるけど、1勝目みたいにも感じるんだ。特別だし、格別な勝利だと思っている」
この記事について
シリーズ | F1 |
イベント | スペインGP |
ロケーション | サーキット・デ・カタルニア |
ドライバー | ルイス ハミルトン |
執筆者 | Adam Cooper |