F1

ビール会社がF1のスポンサー、いいんですか? ハイネケンがF1とのパートナーシップで狙うモノとは

F1のグローバルスポンサーを務めているハイネケン。サーキットでも非常に目立つ存在となっているが、“飲酒運転”がご法度なクルマやレースをサポートするのは何故なのか? ハイネケン・ジャパンの社長に話を聞いた。

永安陽介

公開日時: 2024/05/22 10:57

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F1 Heineken

 4月上旬に鈴鹿サーキットで行なわれたF1日本GPは20万人以上を動員し、初の春開催は大成功となった。そんなF1のスポンサーとして目立つ存在となっているのが、大手ビールメーカーのハイネケンだ。しかしクルマを使ったスポーツである以上、お酒、特に飲酒運転はご法度……しかし彼らは長年のサポートを継続している。改めて、彼らにその狙いを聞いた。 

 ハイネケンは現在、F1のグローバルスポンサーに就任しており、レース中継を見ればコースの様々な場所で、グリーンが特徴的な彼らのロゴが映り込むため、その存在を認知しているファンは非常に多いはずだ。 

 彼らがF1のグローバルスポンサーに就任したのは2016年のことだ。それ以来長期的な関係を築いてきているが、こう思ったことはないだろうか。『クルマを使うF1でビールメーカーが宣伝するのか……相性悪くない?』と。 

 もちろん、ハイネケンが特にPRしているのは、ノンアルコールビールであり飲酒運転を促進する意図などは無いことは明らかだ。しかし、単純に相性というものを考えた際には、わざわざクルマの世界で大々的にPRを行なうのは何故なのだろうかと考える方も少なからずいるだろう。 

 F1日本GPの直前に、ハイネケンはRED°TOKYO TOWERでeスポーツの世界一のベストドライバーの座を競う「Player 0.0」レーシングゲーム大会の日本大会Finalラウンドを開催した。そのメディア発表会にも登壇したハイネケン・ジャパンのトニー・ウィーラー社長に、F1におけるスポンサー活動について、話を聞いた。 

森下泰博ブランドマネージャー, マギー, トニー・ウィーラー社長

森下泰博ブランドマネージャー, マギー, トニー・ウィーラー社長

写真: Motorsport.com / Japan

 ウィーラー社長は、ビールとは“水と油”のはずのクルマを扱うF1のグローバルスポンサーを務めることを決めた理由をこう語る。 

「我々は『When You Drive, Never Drink(お酒を飲む日は、乗らない日)』というスローガンを本当に、長年コアな価値として皆さんにお伝えしてきている」 

「そういった意味ではF1とeスポーツを通して、まさにドライバーやドライビングに対してすごく興味のある方たちに、ずっとHeineken 0.0(ハイネケンのノンアルコールブランド)の話を訴求するぴったりな方法ではないかと考えている」 

「Heineken 0.0によって選択肢がさらに生まれているので、皆さんを巻き込んだコミュニケーションを取れるんじゃないかと思っている」 

 ウィーラー社長は、F1という密接にドライビングと関わる舞台だからこそのPRだと説明する。ただ、実はハイネケンがF1のグローバルスポンサーに就任した2016年当時は、まだノンアルコールビールを販売していなかった(販売は2017年から)。 

 ブランドマネージャーを務める森下泰博氏はこの点については、あくまでも適正飲酒の啓蒙活動が先に立っていたと説明する。 

「適正飲酒の活動はそれまでもずっと続けていて、この活動を一番インパクトを持って伝えるためにはどこがいいか、となったときに世界最高峰のモータースポーツが一番いいだろう、ということになったんです」 

F1×Heineken

F1×Heineken

写真: Motorsport.com / Japan

 前述のように、2024年のF1日本GPは20万人以上を動員し、盛況となった。2023年よりもさらに動員は伸び、鈴鹿での開催が復活して以来最多。一時は低迷が叫ばれていた日本でのF1人気が復活しつつある。 

 そんな日本におけるF1を、ハイネケンはマーケティングの場としてどう捉えているのか? 今後モータースポーツの存在感が日本で増していくのかどうかを考える上でも見逃せない点だが、ウィーラー社長は、日本におけるF1の影響力はまだまだ拡大していけると考えているようだ。 

「我々としては、凄く見通しが明るいのではないかと捉えている。2023年は11%の伸び率があったし、本当に成長しているスポーツではないかと思う」 

「そしてラグビーとの比較になるが、実際にラグビーのワールドカップ(編注:2019年日本大会はハイネケンがワールドワイドパートナーを務めていた)が来るまでは、そこまで大きなスポーツだとは捉えられていなかったと思う。そしてハイネケンが後押しすることによって、若い観衆を巻き込めるということを狙っている」 

 2023年の日本GPの際にも鈴鹿を訪れたというウィーラー社長は、日本のF1ファンのロイヤリティ(顧客側からの満足度や愛着、忠誠心などを示す)は高く、彼らをきっかけにファンを拡大していけると睨んでいると語った。 

「実際鈴鹿にも行ってみたことがあるのだが、鈴鹿のファンというのは本当に根強いファンがすごく多いと思う。皆が歓迎してくれていて、さらにはドライバーにとっても本当に運転していて楽しいエキサイティングなトラックだと思う」 

「そういうロイヤルな、根強いファンがたくさんいることによって、新しいファンを取り込むことができるんじゃないかと思う。(イベントに出演した)マギーさんなどはいい例だと思うが、そういう方たちがどんどん新しいファンを引き入れてくれると思っている」 

 なおF1ではグローバルスポンサーをハイネケンが務める一方で、フェラーリにはペローニ ナストロアズーロが、マクラーレンにはエストレージャ・ガリシアがそれぞれノンアルコールビールブランドとしてスポンサードしている。 

 エナジードリンクのレッドブルとモンスターエナジーのようにスポーツの世界でスポンサー同士で陣営が分かれるような未来も想像できるが、ウィーラー社長はグローバルスポンサーの立場から「他のノンアルコールビールブランドが入ってくることは大歓迎だ」と語っており、マーケットの拡大や適正飲酒のメッセージを伝えたいと語った。

 

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