デ・ラ・ロサ、若年齢化進む現代のF1に警鐘「若ければいいってモンじゃない!」。自身も現役時代、若手重視の風潮に苦しみ、傷つく
元F1ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサは、年齢を重ねすぎているというだけでF1ドライバーとしての能力を評価するのは、ひどい話だと語る。
F1ドライバーのデビュー時の年齢は、近年低下の一途を辿っている。この状況について、元F1ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサは、年齢が高いというだけでその能力を低く評価するのはひどい話だと語る。
来季アルファタウリからF1フル参戦デビューすることが決まったニック・デ・フリーズは、28歳でF1フル参戦イヤーを迎える。デ・フリーズは2014年にユーロカップ・フォーミュラ・ルノー2.0でチャンピオンに輝くと、その後はフォーミュラ・ルノー3.5、GP3を経て、2017年からFIA F2にエントリー。同シリーズ3年目となる2019年にチャンピオンに輝くことになった。
ただ、当時はF1昇格を果たすことができず、メルセデスからフォーミュラEに参戦。2020-21年シーズンにチャンピオンに輝いた。それと並行してメルセデスF1のリザーブドライバーを務めたが、2022年のイタリアGPで、虫垂炎のため急遽欠場することになったアレクサンダー・アルボンの代役としてウイリアムズのマシンをドライブし、F1デビュー。初戦、しかも急遽の参戦ながら9位入賞を果たした。そのパフォーマンスがレッドブル陣営の目に留まり、アルファタウリで角田裕毅のチームメイトを務めることになった。
ただ来季デビュー戦を迎える段階でのデ・フリーズの年齢は28歳。近年F1デビューした中ではかなり高い年齢ということとなり、現役のF1ドライバーの中でも、中堅ということになる。
元F1ドライバーのデ・ラ・ロサも、デ・フリーズと同じ28歳の時(1999年)にアロウズからF1デビュー。その後、ジャガーやマクラーレン、ザウバーで活躍した後、41歳の時(2012年)にHRTで最後のシーズンを終えた。
そのデ・ラ・ロサは、20歳のF3ドライバーと話をした時のことを語った。曰く、そのF3ドライバーは、すでに年をとりすぎているため、F1に辿り着くのは難しいと考えていたという。
「若いということが、優れているとか、速いということを意味しているわけじゃない」
現在はアストンマーチンのアンバサダーを務めているデ・ラ・ロサはそう語った。
「私は、年齢で全てを判断するのが大嫌いだ。自分がそれに苦しんだからね。私があるチームにいた時、彼らは別のドライバーを雇うことがあった。その時、『彼は速くはないかもしれないが、若い』と言われることがあったんだ。それは、とてもつらいことだった」
「ミーティングでそう言われた時、それほどに気分の悪いことはないと思う。チームは、『他のドライバーの方が君よりも速いと、我々は考えている』と言うことはできる。しかし年齢だけで判断されるのは酷い」
「私は、若いからと言って必ずしも速いとは限らないと考えている」
デ・ラ・ロサは2003年から、テスト兼リザーブドライバーとしてマクラーレンで働いていた。2005年には、怪我によって欠場したファン・パブロ・モントーヤの代役としてバーレーンGPに出走し5位入賞。また翌2006年には、シーズン中盤に突如チーム離脱を発表したモントーヤの後任としてレースに参戦し、ハンガリーGPでは自身初表彰台となる2位を手にしている。
そして2008年には、フェルナンド・アロンソがチームを離れたことで、デ・ラ・ロサに声がかかるのではないかとみられた。しかしチームは最終的に、デ・ラ・ロサよりも10歳若いヘイキ・コバライネンを起用することを選んだ。
ただコバライネンはマクラーレンで2年走り、1勝と2度の表彰台を手にしたものの、チームメイトのルイス・ハミルトンに後れを取ることになった。
「当時はまだハッキリしていなかったかもしれないが、チームが私に言ったことは”可能性がある”ということだった」
デ・ラ・ロサはそう振り返った。
「私はその決定には同意できなかった。しかしそれは、他の人の意見に対する私の意見だ。その時は実際に、10歳の差があった」
「ある意味では、彼らに一理あるかもしれない。若いドライバーは何年かかけて成長し、改善し、良くなっていくことがある。もちろん、良くならないドライバーもいるがね」
「すでに非常に優秀で、安定しているドライバーもいる。その一方で、浮き沈みがあるドライバーもいる。全てのスポーツマンが異なるのと同じだ」
デ・ラ・ロサは、マクラーレンからフル参戦することができていた場合、達成できただろう成績が「常に頭の中に浮かぶ」と認めた。そしてハミルトンの才能には、早い段階から気づいていたという。
「もちろん、ヘイキと同じように苦労したかもしれないと思う時もある」
そうデ・ラ・ロサは語った。
「私はおそらく、チームのためにもっとうまくやれたはずだ。ルイスを倒すことができただろうか……それは難しかったかもしれない。でも、彼を倒すことが私の使命ではないということを知っていたことが、私の強みだったかもしれない」
「2007年以前、私は彼が特別だと気づいた、地球上で数少ない人間のひとりだった。彼の父親のアンソニーや、彼とレースしたことのある人を除けばね」
「彼と共にテストしたり、彼と一緒にシミュレータに乗ったりした。彼のことは何年も前から知っていた。そしてマクラーレンに、この男はとても特別だといつも言っていた」
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