怒涛の移籍劇は続く? アルピーヌ、ピエール・ガスリー獲得を検討。一方レッドブルF1重鎮はインディカーに注目
motorsport.com調べでは、アルファタウリのピエール・ガスリーが2023年のアルピーヌのドライバー候補として浮上していることが分かった。
Pierre Gasly, AlphaTauri
Erik Junius
2023年に向けシートのひとつが決まらない状態にあるアルピーヌは、アルファタウリからのピエール・ガスリー引き抜きを検討していることが取材により明らかになった。さらに予想外の展開として、アンドレッティ・オートスポートからインディカーに参戦しているコルトン・ハータがアルファタウリに加入する可能性が浮上している。
事の発端はアストンマーチンのセバスチャン・ベッテルのF1引退発表に遡る。アストンマーチンには後任としてフェルナンド・アロンソが加入すると発表し、来季のシートが突然空いてしまったアルピーヌは育成/リザーブドライバーのオスカー・ピアストリの起用を発表した。
しかし当のピアストリは、後に離脱が発表されたダニエル・リカルドの後任としてマクラーレンと事前契約を結んでいたと見られ、アルピーヌの発表内容をソーシャルメディアで否定。泥沼化するピアストリの契約を巡り、アルピーヌとマクラーレンは契約認定委員会(CRB)の判断を待つこととなり、来季のドライバーラインナップを決定できずにいる。
アルピーヌのオットマー・サフナウアー代表は、CRBでの話し合いを前にピアストリ以外のドライバーについて考えることはないと公言しているが、情報筋によるとアルピーヌはレッドブル陣営からガスリーを引き抜くことに関心を示しているという。
ただしガスリーは少なくとも2023年までチームに残ることが確定しているため、アルピーヌがガスリーを獲得するためには、レッドブル側にそれ相応の違約金を支払う必要がある。
ガスリーはパドックのみならずレッドブルからも高く評価されているのは明らかだが、彼の現在の立ち位置は「アルファタウリで将来的なレッドブルドライバーの育成に貢献するエースドライバー」となっている。
2019年シーズンにガスリーは、リカルドの後任としてF1フル参戦2年目でレッドブルへ昇格したが、首脳陣が望む結果を出せず当時のトロロッソ(現アルファタウリ)に降格されている。そして、レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表が、26歳のガスリーを呼び戻すことを考えていないことは周知の事実であり、ガスリーが望む”レッドブル再昇格”の道はおおよそ絶たれている。
こうしたシナリオを考えると、レッドブルは好条件であればガスリーを手放す可能性がある。そして、彼の離脱により空席となるアルファタウリのシートに座る可能性のあるドライバーは複数人挙げられている。
Pierre Gasly, AlphaTauri AT03
Photo by: Erik Junius
ある情報筋によると、レッドブルでモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、今季限りでハースから放出される可能性があるミック・シューマッハーの獲得を検討しているという。
レッドブルグループは2026年からポルシェと提携を結ぶことが確実視されており、仮にシューマッハー獲得に成功すれば、レッドブルはポルシェの登場を前にドイツ人を陣営に置くこととなる。
しかし同時に、マルコはインディカーで上位争いを繰り広げるハータに興味を示しているという話もある。現在ハータはアンドレッティ・オートスポートに在籍しているものの、マクラーレンからF1テストに参加している。
興味深いことに、ベルギーGPの土曜日午後、スパ・フランコルシャンでマルコとマクラーレンのザク・ブラウンCEOが言葉を交わしているところが目撃されている。
パドックで会話が行なわれることは常々あるが、明らかな問題としてハータは現時点で2023年にF1参戦可能なスーパーライセンスを取得できない状況にある。
しかしFIAからの特例措置で解決され、マクラーレンがハータを放出すれば、シナリオ通り……つまり、ピアストリがマクラーレン入りを果たし、アルピーヌの空いた一席にガスリーが座り、ハータが後任としてアルファタウリからF1デビューを果たすこととなる。
現在マクラーレンは、ピアストリの他にインディカーではアレックス・パロウ獲得を巡りチップ・ガナッシ・レーシングと裁判沙汰となっており、ハータの放出によりある程度のチーム内整理は可能だろう。
仮にガスリーがアルファタウリに残留したことでハータのF1デビューが実現せずとも、ハータは将来的な参戦に向けてレッドブル陣営入りを果たし、テストドライバーを務める可能性もある。その役割をハータが望むかどうかはさておきだが……。
Colton Herta, McLaren MCL35M
Photo by: McLaren
アルピーヌのガスリー獲得において障害となりうるのは、ガスリーとチームメイトとなる同郷エステバン・オコンとの不仲だ。ただアルピーヌがピアストリとガスリーの両者を最終的に起用できないとなれば、チームは候補ドライバー不足に陥る可能性がある。
アルピーヌの候補リストには、2018〜2019年に当時ルノーのチームからドライブしたリカルドの名があることは確実だと言われているが、彼はわずか2年でマクラーレンへ移籍しルノー上層部を怒らせた確執もある。ただその状況は打破可能だと言われている。
また、リカルドと同時期にルノーで走り、現在はアストンマーチンでリザーブドライバーを務めるニコ・ヒュルケンベルグも候補のひとりだ。サフナウアー代表にしてみれば、過去に彼が率いたフォース・インディア/レーシングポイント/アストンマーチンで走った経歴のあるヒュルケンベルグは安心できるドライバーと言えるだろう。
ヒュルケンベルグは単年契約でも構わないと考えているようで、アルピーヌにとっては2024年に向けた”フリーシート”をガスリーを含めその他のドライバーに用意することができる。
ザウバーアカデミー所属で現在はFIA F2を戦うテオ・プルシェールも、ガスリー同様にアルピーヌでフランス人コンビ形成が可能なドライバーといえる。
そしてシューマッハーと同様に、メルセデス・フォーミュラEチーム解散によりシートを失ったニック・デ・フリーズも2023年に向けてドライブの機会を探している。
Alpine F1 A522
Photo by: Erik Junius
オコンはベルギーGPに先立ち、どんなチームメイトでも満足だと語っている。
「僕の隣に誰がいるのかは、結局のところ重要じゃない」と彼は言う。
「僕は自分のチームで今やっている仕事を続け、マシンを理解し続け、2020年にチームに加入してからの進化を続ける。それはとっても大きなことだ」
「もちろん、僕はこれまでとはまったく違うドライバーに進化した。チームのことも、マシンのことも、手にしたマシンをどう使えばいいのかも、今ではもっとよく分かるようになったんだ」
「進化の過程には満足している。そして、来年は誰が僕の隣にいても、僕は今の仕事を続ける。僕がパフォーマンスに満足している限り、そしてそのプロセスに満足している限り、僕が変わる必要はない。隣を心配する必要もないんだ」
ただその一方で、親友シューマッハーがチームに加わることになれば、「嬉しいことだ」と個人的な希望を明かしている。
「僕が決めることじゃないけど……そうだね、ミックと一緒に仕事ができたらとっても嬉しいね。僕の親友だからね!」
「繰り返しになるけど、これもチームが決めることで、僕が決めることじゃない。でも、もしそうなったら、きっと素晴らしいコンビになるだろうね」
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