アルピーヌ、ステー追加のルール変更はフレキシブルフロアのライバルに有利「我々はもうお手上げだ!」
アルピーヌは、FIAがシーズン開幕前に許可したポーパシング対策のフロアステーによって、ライバルチームが大きな得をしたと考えている。
写真:: Giorgio Piola
2022年シーズンから、F1がグラウンドエフェクトカーへとマシンコンセプトを変えたことで、プレシーズンテストからほとんどのチームが、ストレート上でマシンが上下にバウンドしてしまう「ポーパシング」に悩まされた。
さらにいくつかのチームは、高速域ではフロアの端がたわみ、この問題が悪化してしまっていた。
たわむことを想定したフレキシブルフロアには、底面の空気の流れを“密閉”するスカートのような効果がある一方で、ストレートなどの高速域ではダウンフォース量が大きすぎるためポーパシングの原因となってしまう。
そこでメルセデスを含む多くのチームは、ポーパシング抑制のためフロア端を強化するべく、フロア上面に補強ステーを追加。プレシーズンテスト中の応急処置とも言われていたが、開幕後もこのステーが使用できるようルールに変更が加えられた。
たわまない硬く重いフロアを採用していたアルピーヌのテクニカル・チーフオフィサーのパット・フライは、ステー追加が許可されたことで、軽くたわみやすいフロアを採用したチームが得をしたと考えている。
Lewis Hamilton, Mercedes W13 Alex Albon, Williams FW44
Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images
「我々がポーパシングなどを考慮した賢い設計をしてきたとは言えない」
アルピーヌがポーパシングやフロアのたわみをどれほど考慮しているかと尋ねられたフライはそう答えた。
「我々は最大限のパフォーマンスが発揮できるマシンを設計したが、同時にオーバーウェイト気味になることを受け入れざるを得なくなった」
「フロアをたわみにくくし、(サイドポンツーンに)ワイドなボディカウルを採用したことで、より高い剛性を可能にした。正直に言って、そうして良かった」
「でもステーが追加されたときは、お手上げだった。何と言うべきかな? 少し腹が立つよ」
「我々はフロアが十分硬いから(ステーを)付けなかったが、他のチームには大きな助けになっているだろうね」
「これもゲームの一部。我々はそれを受け止めて、次のアップグレードに向けて設計を行なわなければならない。軽いマシンも作ることはできたが、我々はもう重量を重くしてしまったのだ」
アルピーヌは第4戦エミリア・ロマーニャGPから、アップデートを大量投入する予定だ。フライはステー使用可という状況から、純粋なパフォーマンス向上だけでなく、マシンの軽量化も視野に入れる必要があることを示唆している。
Fernando Alonso, Alpine A522, Esteban Ocon, Alpine A522, Valtteri Bottas, Alfa Romeo C42
Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images
「両方が必要になる」と彼は言う。
「もちろん、全てがタイム向上に寄与するとは限らないから、賢く物事を進めていく必要がある」
「今後2〜3レースでいくつかのアップデートを行なう予定だ。それら全ては、他チームの走行を見る前の知見に基づいている」
「もちろん、マシンに面白いことをやっている他チームを参考に、さらに多くのアップデートも行なう予定だ。できるだけ多く(重量を)減らしたいと思っている、我々はそれほどオーバーしていないが、2〜3キロは減らしたいところだね」
ただ、パーツの軽量化を推し進めることで、そのパーツは壊れやすくなる。フライもパフォーマンスと信頼性の二律背反の問題を慎重にクリアする必要があると認めている。
「かなり難しいことだ」
「縁石にのって走るならば、走り切るためにはパーツをより硬く、より重くすることになる」
「だから、これはちょっとしたバトルだ。通常、シーズン前半は5キロほど重量を増やして、信頼性を重視させる。ただ、(フロア設計も含め)このマシンは縁石の使い方やダメージの受け方が異なる。今は、その影響をより受けやすくなっているのだ」
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