2025年最下位チームは、F1の歴史上”最高の最下位”になることが確定! 前半戦で10番手アルピーヌでさえ20ポイント獲得の大混戦
2025年シーズンにランキング最下位となるF1チームには、”史上最高の最下位チーム”という称号を与えるべきであろう。
F1でランキング最下位に終わることを望むチームはない。それには正当な理由がある。分配金の金額がランキングがひとつ下がるごとに大幅に減額されるのも当然だが、レースを走るならばひとつでも上の順位を目指したくなるものだ。
しかし今季最下位に終わったとしても、そのチームは間違いなく、正しい道を歩んでいると言えるだろう。
2025年のF1前半戦(全24戦中14戦)が終わった段階で、コンストラクターズランキング最下位につけているのはアルピーヌである。そのアルピーヌでも、既に20ポイントを獲得。これはF1の歴史上、最下位チームが獲得した過去最多のポイントを上回るものだ。しかもまだ、シーズンが終わったわけではない。
もちろん、F1のポイントシステムは時代と共に変化している。しかしながらアルピーヌの20ポイントは、2009年のトロロッソ(現レーシングブルズ)が獲得した8ポイントとほぼ同等であると言える。しかもトロロッソは、全17レースで8ポイントを獲得したのだ。
Sebastien Buemi, Toro Rosso, Sebastien Bourdais, Toro Rosso
Photo by: Mark Thompson / Getty Images
当時のトロロッソは、セバスチャン・ブルデーとセバスチャン・ブエミのコンビ。8位までしかポイントを手にできないシステムになっていた。現在のシステムに換算すれば、29ポイントを獲得していた計算になる。ある意味この数字は、もっとも成功したランキング最下位のチームという言い方ができただろう。
ただ当時は今と比べればリタイアが多かった時代。しかもKERS(運動エネルギー回生システム)が初導入された年でもあり、トラブルも多かった。そういう意味では、弱小チームでもトップ10フィニッシュしやすかったはずである。今はほぼ全車が完走というレースも珍しくない。そういう中で獲得した20ポイントは、2009年と比べても大きな価値があるものと言えよう。
もうひとつの興味深い指標は、予選パフォーマンスだ。トロロッソはQ1を34戦中14回で突破したが、今季のアルピーヌは、スプリント予選を含めれば34回中18回、通常の予選なら28回中16回Q1を突破している。つまり予選パフォーマンスの面で言えば、2025年のアルピーヌの方が、2009年のトロロッソを圧倒している。
また今季のアルピーヌは、ピエール・ガスリーのみが孤軍奮闘し、ここまでの全ポイントを獲得。2台目のマシンは開幕直後はジャック・ドゥーハンが乗り、その後はフランコ・コラピントが後任としてドライブしているが、トップ12入りを一度も果たせていない。つまりガスリー同等のパフォーマンスを備えたドライバーをもうひとり確保できていれば、アルピーヌはもっと多くのポイントを獲得していたはずである。なお2009年のトロロッソは、シーズン後半にはブルデーに代わりハイメ・アルグエルスアリがシートを獲得したもののノーポイントに終わった。ただブルデーは2度の8位入賞を果たすなど、2台のパフォーマンス差は今のアルピーヌよりは小さかった。
ただしシーズン前半が終わった段階でアルピーヌは、ランキング9番手のハースと15ポイントも差をつけられている。そういう意味では、アルピーヌが最下位から抜け出すのは容易ではない。
なお今季更新されるまで、獲得ポイントの面で史上最高の最下位チームだったのは、2023年のハースである。この年のハースはニコ・ヒュルケンベルグが9ポイント、ケビン・マグヌッセンが3ポイントを獲得し、チーム合計12ポイントでシーズンを終えた。
同年のハースは特に予選で素晴らしいパフォーマンスを見せ、カナダGPでは2番手タイムを記録した。これも含め、Q3に進出したのはスプリント予選も含めると14回。しかし決勝で同様のパフォーマンスを発揮するのに苦労し、前述のポイント獲得数にとどまった。
なおF1は今年で創設75周年だが、その間にランキング最下位ながらポイントを獲得した事例は、わずか13回しかない。
最下位ながらポイントを獲得した最初の事例は、2002年のアロウズであった。この年はハインツ-ハラルド・フレンツェンが6位入賞を2回記録。合計2ポイントを獲得した。当時は6位までが入賞であったのだ。
ポイントを獲得した最下位コンストラクターは、以下の通りである。
・アロウズ(2002年:2ポイント)
・ミナルディ(2004年:1ポイント、2005年:7ポイント)
・スパイカー(2007年:1ポイント/同年はマクラーレンがスパイゲートにより全ポイントを剥奪されている)
・トロロッソ(2009年:8ポイント)
・マノー(2016年:1ポイント)
・ザウバー(2017年:5ポイント、2024年:4ポイント)
・ウイリアムズ(2018年:7ポイント、2019年:1ポイント、2022年:8ポイント)
・ハース(2023年:12ポイント)
【付録】各シーズンのF1コンストラクターズランキング最下位(チーム/ポイント)
※1970年代までは、他チームの中古マシンを買ってきて参戦しているチームもあったため、チーム=コンストラクターではないこともある。
1958年:コンノート・アルタ/0(最高位リタイア|他に1コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1959年:JBW・マセラティ、ヴァンウォール、カーティスクラフト・オッフェンハウザー、クーパー・オスカ、テック=メック・マセラティ、コンノート・アルタ/0(最高位リタイア|他に1コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1960年:ヴァンウォール/0(最高位リタイア)
1961年:デ・トマゾ・オスカ、ロータス・マセラティ、デ・トマゾ・マセラティ、JBW・クライマックス/0(最高位リタイア)
1962年:ギルビー・BRM、LDS・アルファロメオ、クーパー・アルファロメオ/0(最高位リタイア|他に2コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1963年:ギルビー・BRM、アルファロメオ/0(最高位リタイア|他に2コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1964年:シロッコ・クライマックス、ポルシェ、ブラバム・フォード、デリントンフランシス・ATS/0(最高位リタイア)
1965年:LDS・アルファロメオ/0(最高位13位|他に3コンストラクターがエントリーも、予選通過せず)
1966年:イーグル・ウェスレイク、シャノン・クライマックス/0(最高位リタイア)
1967年:イーグル・クライマックス、LDS・クライマックス、ロータス・クライマックス、クーパー・ATS/0(最高位リタイア)
1968年:LDS・レプコ、クーパー・クライマックス/0(最高位リタイア)
1969年:ブラバム・クライマックス/0(最高位リタイア|他に1コンストラクターがエントリーし、決勝に出走したが失格)
1970年:ティレル・フォード、ベラシ・フォード/0(最高位リタイア)
1971年:ベラシ・フォード/0(最高位リタイア)
1972年:テクノ、ポリトイズ・フォード、コンニュー・フォード/0(最高位リタイア)
1973年:エンサイン・フォード/0(最高位13位)
1974年:エイモン・フォード/0(最高位リタイア|他に2コンストラクターも参戦したが、予選通過せず)
1975年:シャドウ・マトラ/0(最高位リタイア|マキもエントリーしたが、予選通過せず)
1976年:BRM/0(最高位リタイア|マキもエントリーしたが、予選通過せず)
1977年:ルノー/0(最高位リタイア|他に3コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1978年:セオドール・フォード、ヘスケス・フォード/0(最高位リタイア)
1979年:メルツァリオ・フォード、レバーク・フォード/0(最高位リタイア|他に1コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1980年:シャドウ・フォード/0(最高位13位)
1981年:トールマン・ハート/0(最高位10位)
1982年:セオドール・フォード/0(最高位14位)
1983年:オゼッラ・フォード/0(最高位リタイア)
1984年:RAM・ハート/0(最高位8位|スピリットも参戦していたが予選通過せず。ティレルは水タンク事件により失格)
1985年:ミナルディ・フォード、スピリット・ハート、ローラ・ハート/0(最高位リタイア)
1986年:AGS・モトーリ-モデルニ/0(最高位リタイア)
1987年:コローニ・フォード/0(最高位リタイア)
1988年:ザクスピード/0(最高位12位)
1989年:ザクスピード・ヤマハ/0(最高位リタイア|他の1コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1990年:ユーロブルン・ジャッド/0(最高位13位|他に3コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1991年:フットワーク・ポルシェ/0(最高位リタイア|他に1コンストラクターがエントリーしたが、予選通過せず)
1992年:アンドレアモーダ・ジャッド/0(最高位リタイア)
1993年:ローラ・フェラーリ/0(最高位7位)
1994年:パシフィック・イルモア/0(最高位リタイア)
1995年:シムテック・フォード/0(最高位9位)
1996年:フォルティ・フォード/0(最高位10位)
1997年:ミナルディ・ハート/0(最高位9位|ローラもエントリーしていたが、予選通過せず)
1998年:ティレル・フォード/0(最高位8位)
1999年:BAR・スーパーテック/0(最高位7位)
2000年:プロスト・プジョー/0(最高位8位)
2001年:ミナルディ・ヨーロピアン/0(最高位9位)
2002年:アロウズ・コスワース/2(最高位6位)
2003年:ミナルディ・コスワース/0(最高位9位)
2004年:ミナルディ・コスワース/1(最高位8位)
2005年:ミナルディ・コスワース/7(最高位5位)
2006年:スーパーアグリ・ホンダ/0(最高位10位)
2007年:スパイカー・フェラーリ/1(最高位8位|同年はマクラーレンがスパイゲートにより全ポイントを剥奪され失格処分)
2008年:スーパーアグリ・ホンダ/0(最高位13位)
2009年:トロロッソ・フェラーリ/8(最高位7位)
2010年:ヴァージン・コスワース/0(最高位14位)
2011年:ヴァージン・コスワース/0(最高位14位)
2012年:HRT・コスワース/0(最高位15位)
2013年:ケータハム・ルノー/0(最高位14位)
2014年:ケータハム・ルノー/0(最高位11位)
2015年:マルシャ・フェラーリ/0(最高位12位)
2016年:MRT・メルセデス/1(最高位10位)
2017年:ザウバー・フェラーリ/5(最高位8位)
2018年:ウイリアムズ・メルセデス/7(最高位8位|フォースインディアはシーズン前半で撤退したため、コンストラクターズポイント無効)
2019年:ウイリアムズ・メルセデス/1(最高位10位)
2020年:ウイリアムズ・メルセデス/0(最高位11位)
2021年:ハース・フェラーリ/0(最高位12位)
2022年:ウイリアムズ・メルセデス/8(最高位9位)
2023年:ハース・フェラーリ/12(最高位6位)
2024年:ザウバー・フェラーリ/4(最高位8位)
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