アストンマーチン、モナコに投入したアップグレードは、パフォーマンス向上のため……次戦スペインにも新パーツ投入予定

　今シーズンのF1で第5戦を終えた段階で、レッドブルに次ぐコンストラクターズランキング2番手につけるアストンマーチン。昨シーズンのランキング7位から、大きな躍進を遂げている。

　そのアストンマーチンは今週末のモナコGPに、アップグレードを投入。まだ大きいレッドブルとの差を詰めるきっかけを掴もうとしている。

　今季開幕から5連勝しているレッドブルは、特に最高速と優れた空力効率により、圧倒的な強さを誇ってきた。一方アストンマーチンは、ブレーキングと低速コーナーからのトラクションという面で優れている。

　今週末のモナコは、最高速や空力効率が求められるコースではない。そのため、アストンマーチンが優勝争いに加わる可能性も指摘されている。チームも、シミュレータでの好結果を受け、大きな期待を抱いているようだ。

　そんなアストンマーチンはモナコに、アップグレード版のパッケージを持ち込んでいる。今季ここまで、サーキットの特性に合わせた変更のみを投入してきたアストンマーチン。しかし今回は、基本的なパフォーマンス向上を目指したアップグレード投入である。

　アストンマーチンが今回投入したアップグレードは、まずサスペンションである。構成が変更されただけでなく、ブレーキダクトにも微調整が加えられ、冷却面で厳しい市街地コース向けに最適化してきた。

　それだけではない。フロントサスペンションのアッパーウイッシュボーンの一部を変更。これにより、車体後方へ向けた気流を改善している。

　さらにフロントホイールのディフレクターの形状が若干変更され、フロントウイングの影響を受けた気流との関係性が向上している。

　リヤサスペンションは、ブレーキダクトの効果を高めると共に、気流の流れを改善するため、フェアリングにも改善が施された。

　これらの変更は、AMR23の全体的なパフォーマンス改善のために行なわれた。これ以外にも、超低速のモナコで最大限のダウンフォースを得るために、新たデザインのリヤウイングも投入している。

　アストンマーチンはこのアップグレードを、本来ならばエミリア・ロマーニャGPに投入する予定だった。しかし、豪雨災害の影響により同グランプリの開催は中止に。そのためチームは、アップデートを今回のモナコと、次のスペインに分けて投入することを決めた。

「少しずつ分割して投入する予定だ」

　アストンマーチンのマイク・クラック代表はそう説明する。

「イモラでのアップグレードは、理に適ったモノだ。我々はここまで、同じクルマを走らせてきたんだ」

「バルセロナに持ち込むモノもひとつかふたつある。それは、ここに投入する意味がないモノなんだ」

「分割するというアプローチだ。今回、いくつかの最新のアップグレードを投入する。そしてバルセロナでも、新しいモノを投入する予定だ。さらにその後でも、アップグレードを行なうことになるはずだ」

　なおアロンソは、今回のグランプリで勝ちを目指すつもりだ。フリー走行でもアロンソはコース上で躍動し、FP1で2番手、FP2で4番手と、初日の2セッションで共に上位につけた。

「レースに勝てると思ってここに来たわけではないと言ったら、それは嘘になる。ここは、一度限りのチャンスだ」

　そうアロンソは言う。

「モナコやシンガポールは、フリー走行で徐々にウォールとの距離を縮めていくことが必要な、特別なサーキットだ」

「僕は今週末、どの週末よりもアタックするつもりだ」