アストンマーチンの新ファクトリー、準備着々。一部は今月末には稼働「みなさんが思う以上に大きな違いを生む」

アストンマーチンF1チームは現在、古くから使ってきたファクトリーを使っており、複数の建物に分かれて作業が進められている。しかしまもなく新ファクトリーが完成することで、チームの全員がまとまって作業できるようになるという。

Aston Martin Silverstone factory tour

 2023年のF1序盤5戦を終えた段階でコンストラクターズランキング2番手につけているアストンマーチンは、巨大な新ファクトリーがシルバーストンにまもなく完成する。現在はいくつかの建物に分かれて作業しているアストンマーチンだが、この新ファクトリーが稼働することで、想像以上の効果をもたらすと、チームは期待しているようだ。

 アストンマーチンが現在使っているファクトリーは、前身のレーシングポイントのさらに前身、ジョーダンが創設された1991年から使われ続けてきたもの。当然現在のチームにとっては手狭であり、敷地内に点在する複数の建物に分かれて作業を行なっていた。

 しかし2億ポンド(約343億円)とも言われる巨額を投じて建設が進められてきた新ファクトリーが完成。遅くとも今月末までには、オフィス業務の一部がこの新ファクトリーに移転することになるという。また自社の風洞施設も建設中であり、2025年以降のマシンデザインに活用できるよう、準備が進められている。

 アストンマーチンのパフォーマンスディレクターであるトム・マッカローは、現在技術スタッフが複数の建物に分かれて作業を行なっていることで苦労していると明かし、新ファクトリーの稼働によって、特にコミュニケーションの面で大きな利益を享受できるだろうと語った。

「本当にとてもワクワクしている、今は誰がどの机に座るのか、そして我々はこれから何をしようとしているのか、それを整理する最終段階に入っている」

 そうマッカローは語る。

「我々は今、別の建物で作業をしているため、少しバラバラになっている。新ファクトリーに集まるのを本当に楽しみにしている」

「技術者全員が、隣り合って座るというだけじゃない。素晴らしい建物だよ。歩き回るだけで笑顔になる」

 マッカローは、各部門を再配置するだけで、チームにとっては利益に繋がるだろうと語る。

「皆さんが思っている以上に大きな違いを生むはずだ。それは、単純にコミュニケーションという面でだ。コーヒーを淹れる時やトイレで、共に仕事をしている人と肩を合わせるんだからね」

「現時点で我々は別の建物、別の場所にいる。(新ファクトリーの完成によって)本当に良くなると思う」

 風洞施設の完成はまだ先であり、2025年からの稼働になる予定だ。現在はイギリスのブラックリーにあるメルセデスの風洞を”レンタル”しているアストンマーチンだが、自前の風洞を手にすることで「さらなる柔軟性」を得られ、それが今後の成長に繋がると考えている。

「敷地内にあった方が断然いい。自社の風洞があるということは、もちろん”空力試験制限”の規則の中ではあるが、使いたい時に使えるということになるからね」

「問題が発生したり、何かを学んだ時には、一度立ち止まって、戻って検証したり、何かを作り出したり、何かについて考えたりして、もう一度進み直すことができる」

「つまりさらなる柔軟性を得られるんだ。実際に、週7日間稼働することができる」

「現時点で我々が使っている風洞は、使える時間が限られている。その時間に集中する必要があるんだ。過度に反応することはできない」

「風洞で何か問題があった場合にも、パーツを設計している人はすぐ隣の建物にいる。(敷地内に自社の風洞があることは)コミュニケーションの面でも役に立つだろう」

 
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