F1 ベルギーGP

アストンマーチン、前半戦終盤の低迷は、フレキシブルウイングの”取り締まり強化”が原因? フラップを繋ぐ金属パーツに変化

アストンマーチンは、シーズン開幕直後は表彰台の常連だった。しかし徐々にパフォーマンスが低下。その原因は、フレキシブルウイングの取り締まりが強化されたからだという見方もある。

Jonathan Noble Matt Somerfield

編集: 2023/08/30 7:20

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Aston Martin AMR23, front wing detail

 シーズン開幕戦でいきなり表彰台を獲得するなど、2023年に大躍進を遂げたアストンマーチン。ただ前半戦の終盤には相対的なパフォーマンスが落ち、ライバルチームに凌駕されるシーンも目立ったが、その要因のひとつが、フレキシブルウイングの取り締まりをFIAが強化したためだという見方もある。

 アストンマーチンは開幕直後、フェルナンド・アロンソが表彰台の常連になり、昨年のコンストラクターズランキング7位から大きくポジションを上げることになった。しかしレースを追うごとにメルセデスやフェラーリ、さらにはマクラーレンがパフォーマンスを向上させたため、夏休み前の時点では表彰台を争うのが難しくなりつつある。

 チームとしてはこの要因は、シーズン中に投入したアップデートの効果をすぐに理解できなかった「副作用」であると説明しており、データを分析し理解が進めば、戦闘力を上げることができるはずだと語った。

 しかし一部のライバルチームは、FIAがフレキシブルウイングに関する取り締まりを強化したことにより、アストンマーチンのAMR23のパフォーマンスが低迷していると疑っている。

 FIAは、レギュレーションの抜け穴を突き、違法なパーツをチームが使わないよう、取り締まりを行なう立場にある。今年はその中でも、特にフロントウイングの構造に細心の注意を払ったようだ。

 フロントウイングは、走行中に変更してはならず、変形しないことを確認するために、ガレージ内で下方向に荷重をかけ、引っ張るという検査を受ける。ただ、この検査を通過しながらも、実際にコースを走行すると、空気抵抗によりたわむフロントウイングはこれまでも度々登場してきた。このたわみをうまくコントロールすると、コーナリング中ダウンフォースを発生させ、直線走行中には空気抵抗を減らすということも可能であり、チームはこの開発を進めてきた。一方でFIAは、これを取り締まろうとことまで躍起になってきた。

 現実問題として、まったく変形しない、剛性100%のフロントウイングを作るのは不可能である。そういう意味でも、この問題を完全に解決するのは不可能……とすら思える。

 そんな中でFIAは今シーズンの初め、FIAは様々なデザインの分析を強化し、必要以上に曲がっている可能性があるいくつかのフロントウイングの構造について、懸念を表明したようだ。

 そのうちのひとつが、アストンマーチンだったと考えられている。

 シーズン序盤、アストンマーチンのオンボード映像を見ると、非常に角度がついたフラップの設定で走り出したマシンが、ストレートで速度が上がると、そのフラップが変形し、前面投影面積が削減された……つまり空気抵抗が減っているように見えるのだ。

 FIAはアゼルバイジャンGPの頃に行動を起こし、将来的に問題が起きるのを防ぐため、変更を検討したいと非公式に多くのチームにアドバイスを行なったようだ。

 ただそういう状況下では、チームに設計を変更する猶予が与えられることが多いため、その変更がいつ行なわれたのかは正確には不明だ。しかし明らかなことは、スペインGPまでの間に、アストンマーチンのパフォーマンスに変化が起きたように見える。詳しく言えば、特に低速域と中速域のパフォーマンスが後退したように見える。

 チームはこの件について肯定も否定もしていないが、ある情報筋によれば、間違いなくアストンマーチンは、フロントウイングの変更を強いられたチームのうちのひとつであったようだ。

■フロントウイングのコンセプト変更

Aston Martin AMR23 front wing - third flat pivot

Aston Martin AMR23 front wing - third flat pivot

Photo by: Uncredited

 アストンマーチンがどんな変更を加えなければいけなかったのかは不明だ。しかし当時のフロントウイングを見ると、FIAの取り締まりとは別の方向性の変更があったように見える。

 写真を見ていただくと、フロントウイングの一番後方のフラップの内側と外側には、金属製のフラップ調整機構(青い矢印)が取り付けられている。その金属製パーツは三角形になっており、その後端では空気の渦が作られ、マシン後方の気流の制御に活かされている。またこのパーツは、3枚あるフラップのうち2枚目と3枚目の隙間を固定するという役割もある。

 これはメインプレーンと、フラップの1枚目の間にも、3つ取り付けられていて、その隙間を固定している。そしてフラップの1枚目と2枚目の間にも金属製のパーツ(赤い矢印)が存在しているのが分かる。

 ただこの1枚目と2枚目のフラップを繋ぐパーツは、使っていたグランプリと使っていないグランプリがある。バーレーンGPとオーストラリアGPではこれを使ったが、サウジアラビアGPでは取り外されていた。アゼルバイジャンGPとマイアミGPでも使われなかったが、モナコGPでは復活。そしてその後のレースに登場することはなかった。

 このパーツはアルピーヌやフェラーリ、レッドブル、マクラーレンも使っているモノであり、パーツ自体は違法ではない。ただアストンマーチンは、負荷が大きいレースと負荷が小さいレースでこれを使いわけ、フロントウイングの挙動をコントロールしていた可能性も否定できない。

 取り付け角度が外側を向いているのも実に興味深い。この角度が、高速でのウイングのたわみの方向を制御することを狙った可能性も否定できない。

 このパーツの除去は(強制されたか、あるいはチームが意図した選択であるかは置いておいて)フロントウイングの気流の特性に間違いなく変化を引き起こしたはずだ。そしてチームが語っていた”副作用”も、これに関与した可能性も十分にある。

 フロントウイングの開発の裏で、実際に何が起きていたのか? それはアストンマーチンだけが知っていることだ。しかしそのことに拘って時間を無駄にしているわけではない。彼らは、シーズン序盤と同じようなパフォーマンスを発揮し、今シーズンを終えようと集中している。

 パフォーマンス・ディレクターのトム・マッカローは、次のように語る。

「我々は年間を通じて非常に強力な開発を行なうことを目標にしており、マシンの開発を続けるための予算もある」

 そうマッカローは言う。

「それが我々の目標だ。選手権の最後まで、できる限り前進できるようにしていくつもりだ」

 

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 メディアに弱いフェラーリ、今年は”防御態勢”万全? 新代表の構築した体制をルクレール高評価

次の記事 ルクレール&サインツJr.のふたりはズッ友? 緊張関係との憶測に「大げさに言われてる」とルクレール

More from

Jonathan Noble



大きく前進を果たせなければ、F1タイトル5連覇は目指せない……フェルスタッペン、レッドブルに警鐘鳴らす

F1

F1 2024/12/29

大きく前進を果たせなければ、F1タイトル5連覇は目指せない……フェルスタッペン、レッドブルに警鐘鳴らす



ハミルトンのメルセデスF1最終年度での苦戦、その原因は? エンジニアリング統括が明かす

F1

F1 2024/12/27

ハミルトンのメルセデスF1最終年度での苦戦、その原因は? エンジニアリング統括が明かす



僕にできることはある……ボッタス、“最悪のシナリオ”でF1シート喪失も闘志は消えず。酒の勢いで始めたおバカ挑戦で再認識

F1

F1 2024/12/25

僕にできることはある……ボッタス、“最悪のシナリオ”でF1シート喪失も闘志は消えず。酒の勢いで始めたおバカ挑戦で再認識

More from

アストンマーティン



アストンマーティン・ホンダにとってメキシコシティGPは厳しい1戦に。ホンダ折原エンジニア「ERS冷却システムに想定以上の負荷がかかった」

F1

F1

メキシコシティGP

8 時間前

アストンマーティン・ホンダにとってメキシコシティGPは厳しい1戦に。ホンダ折原エンジニア「ERS冷却システムに想定以上の負荷がかかった」



アストンマーティン2台揃って5周リタイア。アロンソ「モチベーションを維持するため最善を尽くす」 ニューウェイ代表のコメントは僅か1行だけ

F1

F1

メキシコシティGP

9 時間前

アストンマーティン2台揃って5周リタイア。アロンソ「モチベーションを維持するため最善を尽くす」 ニューウェイ代表のコメントは僅か1行だけ



フェルナンド・アロンソ、予選Q1でトラブル発生! 上位進出のチャンスを逃す「想像を絶するほど悔しい」

F1

F1

メキシコシティGP

1 日前

フェルナンド・アロンソ、予選Q1でトラブル発生! 上位進出のチャンスを逃す「想像を絶するほど悔しい」

最新ニュース



「僕のミスでした」小椋藍、4位争い中のベッツェッキ接触に謝罪。一方相手側は「ままあること」と気にせず

MotoGP

MGP MotoGP

マレーシアGP

23 分前

「僕のミスでした」小椋藍、4位争い中のベッツェッキ接触に謝罪。一方相手側は「ままあること」と気にせず



アントネッリ、憧れのセナ由来のカーナンバー『12』を来季以降も使用へ「特別な数字なんだ」と明かす

F1

F1 F1

メキシコシティGP

39 分前

アントネッリ、憧れのセナ由来のカーナンバー『12』を来季以降も使用へ「特別な数字なんだ」と明かす



ジョアン・ミル、マレーシアで復帰果たすも”めまい”が原因でリタイア「できるだけ早くこの状況を解決したい」

MotoGP

MGP MotoGP

マレーシアGP

1 時間前

ジョアン・ミル、マレーシアで復帰果たすも”めまい”が原因でリタイア「できるだけ早くこの状況を解決したい」



フェルスタッペン、若き新王者アントネッリに賛辞「あの年齢で成し遂げるなんて、本当に素晴らしい」

F1

F1 F1

メキシコシティGP

2 時間前

フェルスタッペン、若き新王者アントネッリに賛辞「あの年齢で成し遂げるなんて、本当に素晴らしい」

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録