サインツJr.のマシン炎上、消火作業は遅かった?早かった? マーシャル側「適切な対応だった」
F1オーストリアGPで発生したカルロス・サインツJr.のマシン炎上に対して、消火作業が遅いと彼は批判していたが、消火にあたったマーシャル側は全ての手順が正しく行なわれていたと反論している。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
レッドブルリンクで開催されたF1オーストリアGPで、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)はマシントラブルでリタイア。その際マシンが炎上してしまったが、その後の対応についてマーシャル側は適切なものだったと話している。
サインツJr.はレース後半、2位をマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と争っている最中にトラブルが発生。マシンをターン4アウト側の退避エリアに停止させた。
マーシャルの対応を待つ間に火の手が激しくなったことから、サインツJr.はマシンを飛び降りることを選んだ。ただ彼が立ち上がるとマシンは後方に進み始め、すんでのところでマーシャルが輪止めをかけるという状態だった。
当時を振り返って、サインツJr.は対応が遅かったと批判を口にした。
「僕はマーシャルに来てもらうために助けを呼んで、動き出したマシンを止めるためタイヤに何か置いてもらおうとした。でも、全体的な流れが少し遅かったように思う」
「ある時点であまりに火が強かったから、ひとりで大至急飛び出さなきゃいけなくなった。最初のマーシャルが到着してマシンが止まったのは、丁度その時だったと思う」
こうしたサインツJr.の発言は議論を呼ぶことになったが、レッドブルリンクのセーフティクルーは、”遅く見えていたとしても”全ての手順が適切に行なわれていたと説明している。
彼らの説明では、第一に問題となっている点は、レースコントロールからのゴーサインが与えられるまで、マーシャルがインシデントに対応することは許可されていないという事実があると指摘している。
「2014年の痛ましいジュール・ビアンキの事故の後、FIAのトラック上でのリカバリーと介入に関するルールは大幅に厳しくされた」
「介入はレースコントロールからの指示の後にのみ許可されている。そのためドライバーとマーシャルの安全性が自然と高まる一方で、介入に少し時間がかかるという欠点も存在してる」
Marshals remove the fire damaged car of Carlos Sainz, Ferrari F1-75, from the circuit
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
また、マーシャル側は個人で持ち運べる消化器ではなく、消火車両による作業を行なわなければならないという状況にあったとも説明している。
「いくつかの不幸な状況も重なってしまっていた」
「サインツJr.の停車した場所は、マーシャルスタンドからの視認ができなかった。彼らは無線で消化器を持って向かうよう指示を受け、その際状況を確認して、彼らは消防車を呼ぶ決定を下した」
「この決定は時間をかけずに行なう必要があったが、振り返って考えると間違いなく正しいものだった。(ロマン)グロージャンの事故を思い出してもらいたいが、こうした状況では手持ちの消化器では絶対的に十分ではない。そのため、消化器を切って、マシンが取り残され、TVではマーシャルが”逃げた”という本意ではないイメージが導かれてしまった」
「もうひとつの問題として、これはもっともなことではあるがサインツJr.が車内でナーバスになってしまい、ブレーキを早く踏みすぎてしまったことがある。輪止めを動く車両に押し込まなければならないが、非常に難しい行為だ。しかし輪止めの抵抗もあり、車両はステアリングが切れ、ガードレールに止まって停車した。その後は、消化器による数回の作業だけで消火することができた」
マーシャル側は、処理手順には常に改善点があることは認めながらも、今回の火災に対する処置では正しい手順に従っており、間違った点は何もなかったという点ははっきりと主張している。
「もちろん後からTVを見たり、設置されたカメラからの映像を見たりすると改善すべき点は見つかる。我々は内部で話し合うことになるだろう」
「だが今回のような例外的な状況、つまり火災というのは我々にとっても日常的な出来事ではなく、マーシャル達は全体として上手く反応していた」
「我々は30秒以内で消防車両を派遣していたが、急速な火の手に対して早急に鎮火させることができただろう。グロージャンの事故以来、ドライバーを最善の方法で守るために、その場で多くの”消火能力”を確保することが非常に重要になっている」
「別の緊急車両が既に待機していて、3台目もその途中にあった。サインツJr.が彼自身の手で車両から降りなかったとしても、我々は可能な限りベストな方法で彼を保護することができただろう」
「我々はモータースポーツ愛好家のチームであり、トレーニングや訓練のために余暇を犠牲にし、こうしたイベントでトラックの安全のためにベストを尽くしている。またこうしたインシデントを、更に改善するための機会だと捉えている」
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