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分析

使用禁止の画期的F1マシン:グラウンドエフェクトを追求、”ツインシャシー”ロータス88

F1チームは、最高のパフォーマンスを発揮するため、レギュレーションで許されたギリギリまで開発を行なう。しかし時には、”やりすぎた”事例も多数登場する……このシリーズでは、使用禁止となったソリューションのいくつかを紹介していく。

Nigel Mansell, Lotus 88 Ford

Nigel Mansell, Lotus 88 Ford

LAT Images

ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

Analysis provided by Giorgio Piola

 1960年代から1970年代にかけてロータスチームで成功を収めた天才的なデザイナーであるコーリン・チャップマンは、グラウンドエフェクトを活用したF1マシンを最初にF1に導入し、革命を起こした。

 グラウンドエフェクトは、この時代のF1マシンに適用された空力原理を説明するために使用される用語だ。

Lotus 79 1978 ground effect comparison

Lotus 79 1978 ground effect comparison

Photo by: Giorgio Piola

「ウイングカー」とも呼ばれるこの種のマシンは、サイドポッド下面が飛行機の主翼を上下逆さまにしたような形状をしており、ベンチュリ効果(気流が流れる経路を狭めることで流速が増加し、圧力が低くなる)による莫大なダウンフォースが発生するトンネルを備えていた。

 1977年にデビューしたロータス78のサイドポッド端には、吊り下げ式のスカートが装着されていた。このスカートがベンチュリ・トンネルを閉じることで、トンネル内の気流が改善され、発生するダウンフォースが大幅に増加するのだ。

 時に手のつけられない速さを見せたロータス78の後を追うように、他チームもグラウンドエフェクト・カーの開発を推進。サイドスカートも複雑化していった。

 1978年のシーズン途中にデビューしたロータス79は、出走11戦中ポールポジション獲得10回、6勝を記録。”ブラックビューティー”とも呼ばれる人気の1台は、可能な限りボディを狭くし、ベンチュリ・トンネルがより広く長くなるよう設計されている(下図)。また、スプリングで可動板を路面に押し付ける、スライディングスカートも搭載されていた。

 1978年シーズンを圧勝で締めくくったロータスは、必要なダウンフォースをグラウンド・エフェクトのみで確保し、ドラッグの元となる前後のウィングを完全に排するという野心的なマシンを考案。それがロータス80だ。

Lotus 79 and Lotus 80 comparsion

Lotus 79 and Lotus 80 comparsion

Photo by: Giorgio Piola

 ロータス79と比較すると、ロータス80はホイールベースやトレッドの拡大でスペースを確保し、車体後端までをひとつのトンネルとした。ただ、ロータス80はポーパシング(波動的な縦揺れ)に悩まされ、出走はわずか3戦のみに留まった。

 ロータス以外では、ベンチュリ・トンネル出口を拡げるため、アロウズがエンジンを前傾させたアロウズA2を設計するなど、様々なデザインが見られた。

Arrows A2 1979

Arrows A2 1979

Photo by: Giorgio Piola

 しかしグラウンドエフェクト・カーはスカートが故障したりして突然ダウンフォースを失い、クラッシュに繋がることも多かった。速度の上昇が著しい上、安全性が低下しているとして、1981年から「可動式スライディングスカートの禁止」と「最低地上高60mm」というレギュレーションが導入されることになった。この規則変更により、ベンチュリ・トンネルと路面の間に隙間が生じて、その効果が大きく減ってしまう。

 こうした逆風が吹く中、チャップマンはチームが得た知識を手放すつもりはなく、規制を回避する方法を追求した。

 それが”ツインシャシー”のロータス88だ。サイドポンツーンを含むアッパーカウル(プライマリ・シャシー)を、ドライバーが乗るモノコック(セカンダリ・シャシー)から分離。スプリングによってカウルをマウントした。

Lotus 88 1981 twin chassis concept

Lotus 88 1981 twin chassis concept

Photo by: Giorgio Piola

 速度が上がるとダウンフォースが発生しカウルが沈み込む。あくまでシャシーが可動しているのであり、スカートが可動しているのではないとロータスは主張したのだ。また、カウルが受けた荷重は各ホイールのアップライトにかかるようになっており、車高変化を抑えるためにサスペンションを硬くする必要がなかった。ロータス80の悩みの種だったポーパシングへの対策も施されていたのだ。

 ロータスは88の開発に先立ち、チームはロータス86でツインシャシーのコンセプトをテストしていた。しかしほぼ同時期に「空力パーツは、マシンのばね上部分に対して完全に固定されなければならない」というレギュレーションが追加された。

 チャップマンはこの決定に憤慨し、1981年の開幕戦アメリカ西GPにロータス88を持ち込み、プラクティスを走った。しかし、FISA(国際自動車スポーツ連盟:現在はFIAに吸収)が出走を禁止。第2戦、第3戦にも88は持ち込まれたが、決勝で走行することはできずじまい。チームは抗議のため第4戦サンマリノGPを欠場し、第8戦イギリスGPには改良版の88Bを持ち込んだものの、最終的に88の実戦投入を諦めている。

 

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