アルファロメオF1のコンビ、“話題の”ポーポイズ現象は安全面での懸念なし！「シーズンが始まれば話題にもならない」

　アルファロメオのバルテリ・ボッタスと周冠宇のふたりは、ポーポイズ現象がマシンの安全性を脅かすことはないと考えている。

　2月にスペインのカタルニア・サーキットで行なわれたプレシーズンテスト1回目では、テクニカルレギュレーションが大改革を受け新たなデザインコンセプトを基にしたマシンが本格的な走行を開始した。

　そこで大きな話題を呼んだのが、ポーポイズ現象だ。ポーパシング（porpoising）とも呼ばれる。2022年のマシンはグラウンドエフェクトによってダウンフォースを生んでいるが、高速になるとダウンフォース発生量が増え、マシン下面が路面に吸い寄せられていく。しかし、マシンの体勢が変わったりすることでフロア下の気流が阻害されると、一気にダウンフォースが抜けて車高が戻る。再びグラウンドエフェクトが有効になり、上記の流れが繰り返されることで、マシンが上下に揺れるのだ。

　この現象が発生しなかったチームはなく、テスト中はマシン下面の修理やセットアップの見直しに追われた。F1が公開してスローモーション動画では、ストレートエンドでフェラーリのシャルル・ルクレールがコックピット内で上下に揺さぶられる様子が映し出されており、ドライバーとしても肉体的な負担になっていた。

　今季からメルセデスに移籍し、F1の選手会組織であるGPDA（グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション）の理事を務めるジョージ・ラッセルは、テスト中に一部のマシンに発生した“激しい”ポーポイズ現象は安全上の問題になりうるとして、アクティブサスペンションの使用が許可されれば問題は解決すると語っていた。

　アルファロメオも例にもれずポーポイズ現象に悩まされ、メカニカルトラブルも相まって十分な走行マイレージを稼ぐことはできなかった。しかし、ボッタスと周は、ポーポイズ現象はじきに解決可能なモノであり、安全上の問題にはならないだろうと楽観的な姿勢を見せている。

「どの陣営にとっても、ポーポイズ現象がちょっとした課題になっていることは間違いない」とボッタスは言う。

「でも今のところ、安全上の問題になるとは思っていない。マシンの空力によって起こるモノで、車高が低くなればなるほどダウンフォースが増えることは事実だし、車高が低い状態で上手くマシンを操る方法を見つけられたら、ある程度のパフォーマンス向上が見込める」

「でも、高速走行時やバンプのあるところだと、明らかに乗り心地が犠牲になる。空力面での新たな方向性というところではとても面白い。でも、大きな問題にはならないだろうね」

Valtteri Bottas, Alfa Romeo C42

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

「チームとして、それ（ポーポイズ現象の発生）を回避して、このレギュレーション下でのマシンの信頼性を十分に高める必要がある。どのチームにも同じことが言えることだけどね」

「今は大きな話題になっているけど、シーズンが始まって各チームが理解をどんどん深めていけば、問題や話題にはならなくなるだろうね」

　また、ボッタスのチームメイトでF1ルーキーの周もポーポイズ現象が安全面で問題になるとは考えておらず、チームはテスト期間中に「良い改善」を果たしたと語った。

「問題は依然として少なからず残されているし、全チームのニューマシンにおける最大の制約のように思える」と周は言う。

「できるだけダウンフォースを増やしながらも、ストレートで跳ねなくする方法を見つける必要がある」

「安全という面では、問題にはならないはずだ」