ウイリアムズ、独自の気候変動対策を発表「F1チームはFIAが進めるカーボンニュートラル対策を待つべきではない」
ウイリアムズCEOのヨースト・カピトは、F1チームは将来的な持続可能性に対してFIAの進めるカーボンニュートラル対策を待つのではなく、独自の対策を取らなければならないと警鐘を鳴らす。
ウイリアムズのヨースト・カピトCEOは、FIAとF1が進めるカーボンニュートラル(二酸化炭素排出ゼロ)に向けた施策を待つのではなく、チーム自ら対策を取らなくてはならないと警鐘を鳴らしている。
10月13日、ウイリアムズはファクトリーがあるイギリス・グローブで、2030年までに気候変動に対応するというターゲットを掲げたチーム独自の持続可能性に関するアジェンダを発表した。
「ウイリアムズレーシング・サステナビリティ戦略」と名付けられたこのアジェンダは、外部の専門家の協力を得て作成された。これに従い、チームは物資や人員の移動、ファクトリーでの二酸化炭素排出量や廃棄物の削減、エネルギーの自給自足など、幅広い分野に取り組んでいく予定だという。またアジェンダの一貫として、F1チームとしては初めて国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が進める「スポーツを通じた機構行動枠組み」に署名したことも明らかにされた。
「スポーツを通じた機構行動枠組み」とは、2015年のCOP21で採択された気候変動に関するパリ協定、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール13「気候変動」に則り、影響力のあるグローバル・スポーツが気候変動に対応した環境づくり、そしてファンの気候変動に対する意識改革を牽引する目的で設立されたモノ。モータースポーツ界からは、既にフォーミュラEやFIA、F1がこの枠組みに署名している。
F1は2019年11月、合成燃料への切り替えを通じ、2030年までに二酸化炭素排出ゼロを目指すという計画を発表。2021年10月には、2025年の新世代パワーユニットの導入に合わせ、100%持続可能な燃料「ドロップイン・フューエル」を使用する予定だと明らかにした。
F1コミッションの会議では、大電力を必要とする風洞を禁止するレギュレーションが議論され、F1等の国際的なモータースポーツ・シリーズを統括するFIAも、2030年のカーボンニュートラル達成に向けたロードマップを公表している。
持続可能性に関わる取り組みについて質問されたカピトは、「F1チームはそれぞれ対策を追求するとともに、スポーツ界の幅広い取り組みを支援すべきだ」と語った。
「確実に、こうした議論が今後出てくるだろう。だが、我々はこういう議論が行なわれるようになるまで、じっと待っているつもりはない」
「我々は、自らの道を切り開く。だからこそ、我々はチーム内のみならず、ウイリアムズ・レーシングの外部から専門家にサポートしてもらいながら、独自の戦略を6ヵ月かけて創り上げたのだ」
「彼らの見解、そして何ができるかということは、我々にとっては目を見張るモノだった。我々は(持続可能性に関する)レギュレーションが導入されるのを、ただ待っているワケではない。我々ウイリアムズ・レーシングとしては、自らの運命を決めるべくイニシアチブを取り、前に進んでいきたいと考えている。風洞の問題も、必ずや議題に挙がってくると思う」
またカピトは、持続可能性に関する目標を達成するには、F1関係者すべてが取り組みに関わる必要があると考えている。例えば、F1チームがレースの週末に使用する電力は、各サーキットに設置された既存の電力インフラに依存しているからだ。
「我々が影響力を持てる部分と、プロモーターや主催者、FOMやFIAなどの組織的サポートが必要な部分がある」と彼は続ける。
「現状では、全てが整っているワケではない」
「だからこそ、我々は2030年に向けた目標を掲げ、それを今から始める必要があるのだ。2030年にそれ(カーボンニュートラル)を目指す計画があるのなら、全てが整うのを待つのではなく、今すぐにでもその計画に着手しなければいけない」
「(ウイリアムズ独自の)アジェンダを一歩一歩進めて、確立していく必要がある。我々は目標にまだたどり着いてもいないし、達成もできていない」
「これを達成するのはとても野心的なことだが、我々の持つ情報と活動に基づけば、可能だと考えている」
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