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F1にはクソ野郎が必要だ! プロレス相手不在メルセデス代表の発言を元F1ドライバーも支持「仲良しボクサーに誰も興味ない」

元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表がF1を去ったことを受けてメルセデスのトト・ウルフ代表が「クソ野郎が必要」と語ったことに同意した。

Jake Boxall-Legge Erwin Jaeggi

公開日時: 2025/09/14 7:37

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Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes-AMG, Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing

 レッドブルから長年チーム代表を務めたクリスチャン・ホーナーが去ったことで、現在のF1チーム代表や首脳陣は概して穏健なタイプが多い。しかしその状況に不満足感を覚える人もいる。メルセデスのトト・ウルフ代表兼CEOは「観客を沸かせる“クソ野郎”がF1には欠けている」発言し、元F1ドライバーのデビッド・クルサードも一連のドラマにおけるヒール役の重要性を指摘した。

 Netflixのドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive』で誇張された面はあるものの、ウルフ代表とホーナー元代表はそれぞれのチームの顔役としてライバル関係を築き、メディアを通じた駆け引きで波風を立てることも多かった。

 当時メルセデスのルイス・ハミルトン(現在はフェラーリ)とレッドブルのマックス・フェルスタッペンが激しいタイトル争いを繰り広げた2021年にはその緊張関係は臨界点にまで達したが、メルセデスの競争力が後退する中で、ホーナー元代表のプロレス相手はマクラーレンのザク・ブラウンCEOへと移り変わった。

「私が言いたいのは、どんな映画にも善人、悪人、醜い奴が必要だってことだ。今や悪役は消え、残ったのはフェラーリのフレッド(フレデリック・バスール代表)と私だけ……フレッドがそれを理解するまでには少し時間がかかったけどね」とウルフ代表はオランダGPの際にそう語った。

Christian Horner, Red Bull Racing

Christian Horner, Red Bull Racing

Photo by: Sam Bagnall / Motorsport Images via Getty Images

「このスポーツにはそういう存在が必要だ。昔は強烈な個性を持った人物がいた。新しいチーム代表たちの中にも、そういう役割を本物として担える人物が現れることを願っている。そういうのは偽れないからね」

「クリスチャンはまさに、そんな登場人物のひとりだった。率直で、物議を醸し、嫌な奴だった。そして彼はその役柄を心から楽しんでいた。クソ野郎が必要なんだ。みんな誰かを憎む必要がある」

 レッドブルがF1で競争力を伸ばすにつれて、ホーナー元代表は他チームの首脳陣との駆け引きを楽しんでいるようにも見えた。レッドブルF1黎明期にドライバーとして所属したクルサードも、“ヒール役”の存在に価値を示し、ウルフ代表の意見に同意した。

 オランダ・ザントフールトで開催された「More Than Equal」のイベントでmotorsport.comの取材に応じたクルサードは、現在のチーム代表たちの仲が良いことから、F1におけるチーム間の“戦い”であるという要素が伝わりにくいと説明した。

「以前にも全く同じことを言った。フレッドはトトと友人だからね。ザクと彼らは気が合う。彼らにとっては、チーム代表陣の中にいる悪役が消えたわけだ」とクルサードは説明した。

「Netflixドキュメンタリーの一部は、こうしたキャラクターや個性を作り出すことにある。リングで手をつなぎ、キスやハグをするふたりのボクサーなど誰も興味を持たない」

「それは格闘技の本質ではない。我々には自分たちの領分がある。多くの人はロン・デニスなしではマクラーレンが機能しないと考えた。彼は大きな存在感を放っていたからね」

「そしてマクラーレンは今年、両方のタイトルを制覇しようとしている。つまり何もひとりの人物に依存していない。しかし我々はスポーツであるのと同時にショービジネスでもあるのだ」

Flavio Briatore, Renault F1 Team and Ron Dennis, Team principal McLaren

Flavio Briatore, Renault F1 Team and Ron Dennis, Team principal McLaren

Photo by: Rainer W. Schlegelmilch / Motorsport Images

 チーム代表同士のサイドドラマが出てくることに多くの人は呆れるかもしれないが、脚色されたドキュメンタリーが出てくる前からF1の一部であったことを心に留めておくべきだ。かつては曲者たちがグリッドを闊歩し、そこにはドラマがあった。

 ウイリアムズ創設者のフランク・ウイリアムズとマクラーレンのロン・デニス代表は互いに深い敬意を抱いていたものの、1990年代には時折敵対関係にあった。そのため、ミカ・ハッキネンの初勝利を手助けするという条件付きで、ウイリアムズのジャック・ビルヌーブがフェラーリのミハエル・シューマッハーを破ってタイトルを獲得するのを支援するという1997年シーズン最終戦の同盟は、なおさら不釣り合いなモノとなった。

 またデニスは当時のFIA会長を務めた故マックス・モズレーとも確執を抱えていた。モズレーはスパイゲート騒動でマクラーレンに1億ドル(約147億円)の罰金を科すことに喜びを見出していたとも言われている。

 現在もアルピーヌのエグゼクティブアドバイザーとして存在感を示すフラビオ・ブリアトーレもモズレーとは対立。特に1994年にはブリアトーレ率いるベネトンが技術違反(とその疑惑)により度々窮地に立たされ、2007年のスパイゲート事件前後にはデニスとも対立した。

 近年では、ホーナー元代表はルノーのシリル・アビテブール元代表との頭脳戦を楽しんだ。Netflixドキュメンタリーの初期シーズンを彩ったチーム代表同士の確執だ。

 ホーナー元代表はルノー製カスタマーパワーユニットに不満を抱き、それがレッドブルの足かせになっていると感じ、2019年からホンダに鞍替え。一方でアビテブール元代表は代わりにダニエル・リカルドを引き抜くことで、ホーナー元代表に一泡吹かせた。

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