F1 サンパウロGP
F1サンパウロGP決勝でレッドブルとアルピーヌが速かった理由……インターミディエイトの”プラス5mm”が効いた?
F1サンパウロGPは大逆転の結末となったが、これにはインターミディエイトタイヤのサイズの違いが関係していた可能性がある。

Jonathan Noble
公開日時: 2024/11/07 22:10
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

F1サンパウロGPの予選と決勝は、ウエットコンディションで行なわれた。ただ、土曜日午前中のF1スプリントまではドライコンディション。このドライ時とウエット時では、勢力図が大きく異なっていたように感じられる。これには、5mmというわずかな差が関与しているようだ。
サンパウロGPは、今シーズンのF1で最も衝撃的な表彰台の顔ぶれとなった。17番グリッドからスタートしたレッドブルのマックス・フェルスタッペンが大逆転勝利を掴み、今季ここまでは大苦戦していたアルピーヌ勢が2位と3位に入りダブル表彰台を獲得したのだ。
この3台は、ウエットコンディションとなったインテルラゴス・サーキットを、水を得た魚のように快走した。一方で、最近では最も高いパフォーマンスを発揮し続けていたマクラーレンとフェラーリは苦戦を強いられた。
逆転でのワールドチャンピオンを狙うランド・ノリス(マクラーレン)は、フロントがロックしてしまう問題に悩まされた、フェラーリのシャルル・ルクレールは、ドライビングはひどい感触だったと語った。
「僕たちには速さが足りなかった」
ルクレールはレース後にそう語った。
「マシンはドライブするのが難しく、とても尖った反応を見せた。指先で動かすような感じだったし、すごくオーバーステアだった」
たしかにフェルスタッペンとアルピーヌの2台は、赤旗中断の際にポジションを落とすことなくタイヤ交換できたという幸運もあったが、最終結果はそれだけでは片付けられない。レースが再開した後、各車のタイヤの差がなくなってからも、この3台はコース上で最速だった。
これを考えると、ウエットコンディションになったことにより、各マシンのパフォーマンスが変わったことが大きいように思われる。
特にこの3台は、ウエット路面になったことによる複数の要因により、ドライ路面で見られる欠点を覆い隠したようだ。
Pierre Gasly, Alpine
Photo by: Alpine
アルピーヌにとってほぼ確実に有利だった要因のひとつは、ウエット路面がパワー不足という弱点を覆い隠したことだろう。ウエットになったことで、最大パワーよりも、スロットルコントロールをいかに繊細に行なうかということの方が重要になったのだ。
もうひとつ興味深い要素がある。それは、ウエットタイヤによる空力面の影響だ。
現代のF1マシンはグラウンド・エフェクトカーであり、車高に非常に敏感。路面とマシン底面の隙間がわずか数mm異なるだけで、ダウンフォースレベルにかなり大きな影響が出る可能性がある。各車とも、可能な限り路面に近づけたいのだ。
インターミディエイトタイヤの直径は、725mmである。これは720mmのスリックタイヤに比べて5mm大きい数字であるため、車両と路面の隙間に影響を及ぼす。
またインテルラゴス・サーキットは、路面が全面的に再舗装されながら、ひどいバンプが残っていた。そのため、最適な車高で走るのは不可能であった。つまり、ドライコンディションでも理想的な車高から外れてしまっていたマシンは、インターミディエイトタイヤを履くことでさらに最適なパフォーマンスを発揮するのが難しくなった。
タイヤの空力的な影響は、車高だけに及ぶわけではない。サイドウォールの剛性は、さらに重要である。
コーナリング中に負荷がかかった時のタイヤの変形は、マシンの空力特性に大きな影響を及ぼす。そのために各チームは、タイヤの変形も考慮して、マシンのパフォーマンスを最適化することに、多大な労力を費やしている。
ピレリは、風洞実験用にサイズを小さくしたタイヤを各チームに提供している。この風洞用タイヤは、実際のタイヤと同じように変形するようになっていて、タイヤメーカーとしてはこの変形を再現するのが、大きな課題なのだ。
ただウエット系のタイヤを履くことで変形の仕方が変われば、車高に影響が及び、パフォーマンスにも当然影響が出てくる。バランスが変わり、かなりセンシティブな挙動になってしまう可能性があるのだ。
ハースは今回のサンパウロGPで低調な結果に終わったが、これはインターミディエイトタイヤを履いたことが大きかったようで、チームにとっては新しい現象ではなかったと、チーム代表の小松礼雄は明かしている。インターミディエイトタイヤを履くと、リヤのダウンフォースが失われるという。
「マシンのリヤが、インターミディエイトタイヤに対して弱いことを示しています。これは、今年の新しい問題です」
そう小松代表は語った。
「風洞実験用のタイヤでマシンを設計するのは当然です。その後、インターミディエイトタイヤやウエットタイヤを初めて履いたのがいつだったかは覚えていませんけど、すぐに安定性が大きく失われたんです」
その一方で、レッドブルとアルピーヌは、ウエット路面でライバルよりも一歩先を進んでいるようで、それによって今回の好結果を手にしたわけだ。
関連ニュース:
F1角田裕毅にとっては不運……F1サンパウロGP決勝レース中盤、セーフティカーが出動したのはなぜだったのか?
F1F1分析|1周で10秒も速かった角田裕毅、RB”ウエット投入”絶好の判断。首位も射程圏だったのにSCで夢潰える
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 幼馴染の物語は紆余曲折。不仲ガスリーとオコン、F1サンパウロGPダブル表彰台で雪解けの新章へ
次の記事 欧州F1のローテーション開催、もうすぐ実現? F1ドメニカリCEO「近いうちに共有できるニュースがある」

More from
Jonathan Noble

大きく前進を果たせなければ、F1タイトル5連覇は目指せない……フェルスタッペン、レッドブルに警鐘鳴らす
F1
F1 2024/12/29
大きく前進を果たせなければ、F1タイトル5連覇は目指せない……フェルスタッペン、レッドブルに警鐘鳴らす

ハミルトンのメルセデスF1最終年度での苦戦、その原因は? エンジニアリング統括が明かす
F1
F1 2024/12/27
ハミルトンのメルセデスF1最終年度での苦戦、その原因は? エンジニアリング統括が明かす

僕にできることはある……ボッタス、“最悪のシナリオ”でF1シート喪失も闘志は消えず。酒の勢いで始めたおバカ挑戦で再認識
F1
F1 2024/12/25
僕にできることはある……ボッタス、“最悪のシナリオ”でF1シート喪失も闘志は消えず。酒の勢いで始めたおバカ挑戦で再認識
最新ニュース

フェルナンド・アロンソ、アストンマーティンとの契約を2027年まで延長。将来に関する憶測に終止符
F1
F1 F1
アゼルバイジャンGP
10 時間前
フェルナンド・アロンソ、アストンマーティンとの契約を2027年まで延長。将来に関する憶測に終止符

MotoGPが挑むアデレード市街地サーキット、安全性にライダー合格点? シミュレーション確認し「いい仕事した」
MotoGP
MGP MotoGP
オーストラリアGP
11 時間前
MotoGPが挑むアデレード市街地サーキット、安全性にライダー合格点? シミュレーション確認し「いい仕事した」

9年ぶりのマレーシアは“高温多湿”への対処が鍵に。ホンダF1「冷却と空力バランスの見極めが重要」
F1
F1 F1
アゼルバイジャンGP
11 時間前
9年ぶりのマレーシアは“高温多湿”への対処が鍵に。ホンダF1「冷却と空力バランスの見極めが重要」

負傷についてついに口を開いたハジャー「次ボクシングするなら、もうちょっと頭を使って戦いたい!」
F1
F1 F1
アゼルバイジャンGP
12 時間前
負傷についてついに口を開いたハジャー「次ボクシングするなら、もうちょっと頭を使って戦いたい!」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録