アメリカGP決勝:ハミルトン完勝でタイトル王手。ベッテル久々表彰台
アメリカGPの決勝が行われ、ルイス・ハミルトンが今シーズン9勝目。2017年のドライバーズタイトル獲得に王手をかけた。

日本時間10月23日(月)午前4時にアメリカGP決勝が行われ、メルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウィンを飾った。
予選日に引き続き、絶好のレース日和となったサーキット・オブ・ジ・アメリカズ。レーススタート時のコンディションは気温25度、路面温度35度だった。
スタートシグナル消灯後、2番グリッドのフェラーリのセバスチャン・ベッテルが絶好のスタートを切り、ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)と並走しながら第1コーナーのイン側を取り、トップに躍り出た。後方のドライバーたちも大きな接触なく、無事に1コーナーをクリアした。
パワーユニット交換でグリット降格ペナルティを受けたレッドブルのフェルスタッペンは、16番手グリッドスタートとなったがオープニングラップから他車をごぼう抜きをして順位を上げていき、スタートからわずか3周目に入賞圏内、さらに10周目には6番手まで浮上した。
フェルスタッペンの同僚であるダニエル・リカルドも好ペースを発揮して、3番手のバルテリ・ボッタス(メルセデス)を脅かした。
6周目のバックストレートでハミルトンがベッテルに急接近、そのストレートエンドであるターン12でオーバーテイクを完了し、先頭のポジションを奪い返した。
その中でルノーのニコ・ヒュルケンベルグがマシントラブルを抱えてリタイア、さらにパスカル・ウェーレインはハースのケビン・マグヌッセンと接触したことでマシンを損傷し、レース開始早々にリタイアとなった。
リタイアはさらに続き、12周目にピットインを行なっていたリカルドも、その4周後にエンジンにトラブルを抱えたことでターン15のイン側にマシンを停め、無念のリタイアとなった。
リカルドがコース脇にマシンを止めたことで、第3セクターにダブルイエローが掲示された。それを合図にベッテルが16周を完了したところでピットイン。ソフトタイヤに切り替えた。
さらに18周終了時点にボッタス、その翌周にハミルトンが続けてピットイン。メルセデスのふたりもソフトタイヤを揃えた。
ウルトラソフトタイヤでレースをスタートしたドライバーたちがタイヤ交換作業を済ませる中、上位チームで唯一スーパーソフトタイヤでレースをスタートしたフェルスタッペンはピットインを先延ばしにして暫くの間トップを走行。そして25周目にようやくピットインし、ソフトタイヤに切り替えた。
その間、6番手を走行していたアロンソがスローダウン。エンジンの不具合を訴え、「信じられない」という言葉を残してピットに戻り、そのままリタイアとなった。
30周目、中団チームのトップを走行していたマッサがスーパーソフトタイヤからウルトラソフトタイヤへ切り替えた。これによりフォースインディアのエステバン・オコンが6番手に浮上。オコンの背後にはチームメイトのセルジオ・ペレスが1秒差で追ってきており、ペレスは自分のペースが速いことをチーム無線でアピールした。
さらに33周目、カルロス・サインツJr.(ルノー)が背後から迫ってきたことでペレスは、「ペースを上げるためにポジションを入れ替えて欲しい。あとでポジションを返すから」と再度チームに懇願するも、チームはこれを受け入れず。その翌周にペレスはサインツJr.にオーバーテイクされた。
2番手を走行していたベッテルはハミルトンから離され、すでにその差7秒となっていた。5番手を走り上位に接近するフェルスタッペンが38周を走りきった段階で2度目のピットインを行ったのを見たベッテルは、39周目にピットイン。スーパーソフトタイヤに切り替えて4番手でコースに復帰した。
その数周後、ボッタスはライコネンに交わされて3番手に順位を落とした。さらにボッタスはタイヤを交換し猛烈なペースで走ったベッテルにも接近を許してしまう。
ベッテルはボッタスを追う中、周回遅れとなったケビン・マグヌッセン(ハース)とマーカス・エリクソン(ザウバー)をオーバーテイクした。エリクソンはそのベッテルに便乗してマグヌッセンを強引にかわそうとしてイン側に入りマグヌッセンと接触した。これによりエリクソンには5秒のタイムペナルティが科された。
残り6周というところで、ベッテルがボッタスの背後に追いつき、ターン1でアウト側から覆い被さる形でオーバーテイクを完了させた。さらに僚友のライコネンに2番手ポジションを譲ってもらったベッテルは、ハミルトンを追うもその差は10秒以上ついていた。
4番手となったボッタスは、さらにフェルスタッペンにも交わされ5番手に。すかさずピットインし中古のウルトラソフトタイヤを投入した。
勢いづいたフェルスタッペンは、最終ラップのターン17でライコネンの意表をつき、イン側からオーバーテイク。これにレッドブル陣営は興奮し、会場も大盛り上がりとなった。
結局、ベッテルに10秒以上の差をつけたままハミルトンがトップチェッカーを受けた。2位はベッテル、3位はラストのどんでん返しを見せたフェルスタッペンになるかと思いきや、最後のオーバーテイクで4輪脱をしていることがレース後に認められたため、5秒のタイムペナルティが科された。これによりライコネンが1秒差をつけて3位という結果になった。5位はボッタスだった。
オコンは最後までサインツJr.を抑えきり6位入賞、ペレスも8位に入り、フォースインディアがダブル入賞を果たした。
中盤までスーパーソフトタイヤで引っ張ったウイリアムズのフェリペ・マッサは9位。トロロッソでの立ち位置が不安定になっており、2戦欠場からの復帰レースとなったダニール・クビアトは10位入賞をして結果を残した。今回クビアトのチームメイトとしてF1デビューを飾ったブレンドン・ハートレーは13位で完走した。
9勝目を挙げたハミルトンが獲得した合計ポイントは"331"となり、3レースを残してベッテルに対し66ポイントという大差をつけた。次戦メキシコでベッテルはハミルトンとの差を17ポイント縮めることができなければ、その時点でチャンピオンが決まることになる。
ベッテルのタイトルの可能性は風前の灯ではあるものの、3レースぶりに表彰台獲得でこれまで3戦続いてきた”悪い流れ”を断ち切ってみせた。
なお今回のレースの結果、メルセデスは4年連続のコンストラクターズタイトル獲得を決めた。
次戦メキシコGPは1週間後、10月27〜29日に開催される予定だ。
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この記事について
シリーズ | F1 |
イベント | 第17戦アメリカGP |
ロケーション | サーキット・オブ・ジ・アメリカズ |