F1イギリスGPフリー走行分析:メルセデスの大きいデグラデーション。跳ね馬&紅牛に勝機は?

イギリスGPのフリー走行2回目を分析すると、メルセデスのデグラデーションがやや大きいことが分かった

絶対的ペースに優れるメルセデス

  2016年のF1イギリスGPの初日。フリー走行1回目も2回目も、トップタイムを記録したのはメルセデスのルイス・ハミルトンだった。しかも、後続のマシンにつけた差は1回目で0.805秒(対ニコ・ヒュルケンベルグ/フォースインディア)、2回目は0.391秒(対ダニエル・リカルド/レッドブル)と、それぞれ大差だった。

 この結果だけでも、確かに1発のタイムはメルセデスが圧倒した。では、レースでもこのままメルセデスが圧勝するのか? フリー走行2回目のロングランを分析してみる。

 ハミルトンは、ソフトタイヤとミディアムタイヤを履いて、ロングランを行った。いずれも1分35秒3で走り始め、1分38秒8までペースを落としている。ただ、ソフトタイヤがこの間にかかったのは13周、ミディアムタイヤは17周だった。つまり、当然のことながら、ミディアムタイヤの方がソフトタイヤより、デグラデーション(タイヤの性能劣化によるラップタイムの下落)が若干小さいということになる。計算上の1周あたりのデグラデーションは、ミディアム0.210秒、ソフト0.266秒であった。

 このデグラデーション値を他のマシンと比較すると、意外なことが分かる。つまり、非常に大きいのだ。比較対象は、フェラーリとレッドブルである。

レースペースはフェラーリ&レッドブルが優勢か?

 まずはフェラーリから見てみよう。フェラーリはセバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネン共にソフトタイヤでの連続走行を行った。この時のデグラデーションは、1周あたり0.080秒(ベッテル)、0.026秒(ライコネン)とごく小さいものだった。ミディアムタイヤについては、ベッテルのみのデータしかないがほぼゼロ。つまり、燃料が消費されて車重が減るに従い、ペースが上がっている。

 一方のレッドブルは、ソフトタイヤではダニエル・リカルドが0.057秒/周、マックス・フェルスタッペンが0.128秒/周を記録。フェラーリよりは若干大きいとはいえ、メルセデスと比べれば非常に小さな値である。フェルスタッペンが行ったミディアムタイヤでのデグラデーションも、フェラーリと同じくマイナスだ。

 今季ここまで、比較的デグラデーションが低いように見えていたメルセデスだが、今回はフェラーリやレッドブルに比べて、デグラデーションが非常に大きい。これが何を原因とするものなのか不明であるが、もし決勝でも同じような傾向にあるのであれば、メルセデスは難しい戦いを強いられることになるかもしれない。

 ただ、そのメルセデスのペースは抜きん出ているのもまた事実。ベッテルが1分35秒9、フェルスタッペンが1分36秒5でソフトタイヤのロングランを始めたのに対し、ハミルトンは1分35秒3で走り始めている。それぞれの燃料搭載量は分からないが、この差は実に大きい。

 絶対的ペースに優れるメルセデスと、ロングランが強みのフェラーリ&レッドブル。両者が土曜日のセッションをどのように使い、決勝レースでどんな戦略を用いてくるのか、非常に興味深いところだ。

マクラーレンもデグラデーションが大きい

 なおフリー走行2回目で、メルセデス、レッドブル、フェラーリに次ぐ位置に来たのはマクラーレン・ホンダだった。ホンダは今回のイギリスGPに、2トークンを使った新しいパワーユニットを持ち込んでいる。その効果が出ているのだろうか、フェルナンド・アロンソはフェラーリのキミ・ライコネンから遅れること約0.3秒、後続のウイリアムズのバルテリ・ボッタスに0.35秒の差をつけ、タイムシートの6番手につけた。

 しかし、懸念点もある。それが、やはりデグラデーションだ。マクラーレンは2台共にそれほど長いロングランを行わなかったため正確なデータとは言いづらいが、デグラーデーションは非常に大きく、レースペースでは苦労するかもしれない。

 シルバーストンでマクラーレンの最大のライバルとなりそうなのが、トロロッソ勢だろうか? トロロッソはロングランのペース自体はまずまず、その上特にカルロス・サインツJr.のデグラデーションは非常に小さかった。これに、通常2日目以降パフォーマンスを上げてくることが多いウイリアムズ勢がどう絡んでくるか? 中盤争いも激戦になることが予想される。

 なおオーストリアではデグラデーションに苦しんだフォースインディア勢は、今回のフリー走行でハードとミディアムのタイヤのみを使用。持ち込みセット数の兼ね合いもあるだろうが、FP2ではソフトタイヤを使わなかった(フォースインディアは今回のレースに、全チーム中最も少ない6セットのソフトタイヤを持ち込んでいる)。フリー走行1回目では上位につけており速さがあるのは間違いないが、今回もレースペースに苦しみそうだ。逆に彼らは唯一2セットの新品ハードタイヤを残しているチームであり、そのデグラデーションを見越して、決勝でもハードを多用してくることも想像できる。

 さて今日はフリー走行3回目と予選、そして明日は決勝レースが行われるが、現時点
ではいずれにも雨の可能性が示唆されている。変わりやすいイギリスの天候が、順位にどんな影響を及ぼすのだろうか?

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 イギリスGP
サブイベント 金曜 フリー走行2
サーキット シルバーストン
チーム メルセデス , フェラーリ , レッドブル
記事タイプ フリー走行レポート