【F1オーストラリアGP分析】ベッテルは見た目以上の完勝だった?

フェラーリに約1年半ぶりの勝利をもたらしたベッテル。そのラップタイムを分析すると、見た目以上の完勝だった可能性が見えてくる。

 F1オーストラリアGP決勝は、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が優勝を果たした。しかもデータを分析してみると、”メルセデス一強時代”に終止符を打つかの様な、完勝劇だった可能性が見え隠れする。

フェラーリ、約1年半ぶりの美酒

 予選2位のベッテルは、スタートでバルテリ・ボッタス(メルセデス)の攻撃を退けると、ポールポジションスタートのルイス・ハミルトン(メルセデス)の背後に食らいついていった。

 マシンのダウンフォースが増した今季は、コース上でのオーバーテイクが実に難しい。そのためベッテル陣営としては、ハミルトンよりも先にピットに入り、新しいタイヤの性能を活かしてハミルトンよりも速いペースで飛ばしてポジションを奪う、いわゆる”アンダーカット”作戦を採りたかったのではないだろうか? しかし、ハミルトンは想像以上に早く(17周終了時点)でピットインし、タイヤ交換してしまう。

 ただ、ハミルトンにはここで問題が起こった。それまで5番手を走っていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の後方で、コースに復帰してしまったのだ。ハミルトンはフェルスタッペンを抜けず、遅くはないもののベッテルほどのペースはないレッドブルに付き合わされる形で、ベッテルとの差が徐々に開いていってしまう。そしてベッテルは、「フェルスタッペンの前でコースに復帰できる」と判断したそのタイミングでピットイン。ギリギリだったもののフェルスタッペンとハミルトンの前でコースに復帰し、そのままレースを逃げ切って1年半ぶりの優勝を果たした。

ハミルトンはなぜ17周目にピットインしたのか?

 このふたりのバトルで、注目しておきたいポイントがふたつある。まずは下のグラフをご覧いただきたい。

オーストラリアGPレースペース比較グラフ
オーストラリアGPレースペース比較グラフ(横軸が周回数、縦軸がラップタイムを示す)

Photo by: Motorsport.com

 このグラフは、F1オーストラリアGP決勝の上位5人のラップタイム推移をグラフにしたモノだ。グラフの上がラップタイムが速く、下がラップタイムが遅いことを表している。

 このグラフを見ると、ふたつの疑問点が見えてくる。そのひとつ目は、”なぜハミルトンが17周目にピットインしたのか?”という点だ。

 あの時点でピットインすれば、フェルスタッペンに前を押さえられるのは分かり切っていたことだ。チームは「もはやタイヤが耐えられない状態だった」と説明するが、ハミルトンのペースが落ちていたわけではない(グラフ内Aを参照)。むしろフェルスタッペンに対しては1周あたり0.5〜0.8秒速かった。つまり、あと4〜5周ピットインを遅らせることができれば、フェルスタッペンの前で戻ることができたはずだ。

「ベッテルのアンダーカットを警戒した」という見方もあるだろう。しかしベッテルも先にピットインすれば、フェルスタッペンに前を押さえられていたはずで、警戒するにはタイミングが早すぎたと言えよう。つまり、このピットインについてはチームは否定するものの、”作戦ミス”である可能性が高い。

 ただこの”ミス”がなかったとしても、ハミルトンが勝てたとは言い難い。

第2スティントのベッテルには”余裕”があった?

 ソフトタイヤを履いた第2スティントでは、ベッテルとハミルトンのペースはほぼ互角だった。しかしベッテルは、ペースを抑えて走っていたように見受けられる。その証拠に、彼はレース終盤、53周目に自身の最速ラップを計測している。この時のベッテルはすでにハミルトンを約10秒後方に引き離しており、ペースアップする必要は全くなかった。にもかかわらずここでこのタイム1分26秒638を記録した(グラフ内Bを参照)というのは、デグラデーションが全体的に少なかったとはいえ、彼がある程度の”余裕”を懐に隠して走っていたという証となるのではないだろうか? もしハミルトンがペースを上げて差を詰めようとしでも、ベッテルはそれに反応し、差をキープできていたのではないだろうか? これがふたつ目の疑問である。

 なおキミ・ライコネン(フェラーリ)とボッタスは、56周目に自身のベストタイムを記録しているが、これはボッタスはハミルトンに少しでも近づくために、そしてライコネンはフェルスタッペンの追撃を振り切るために、それぞれペースを上げたという意味合いがあったはず。ベッテルのそれとは、状況は大きく異なる。

 データを見れば、ベッテルの今回の勝利は、見た目以上の完勝だった可能性がある。もちろん、アルバートパーク・サーキットは”半公道”の特殊なコースであり、他のサーキットでは様相が異なる可能性もある。しかし次の中国でもベッテルが勝とうものなら、その力は”ホンモノ”と言うことができそうだ。

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 オーストラリアGP
サブイベント Race
サーキット アルバートパーク・サーキット
記事タイプ 分析