F1カナダGP FP2分析:決勝レースはタイヤ選択が大きく分かれる?

カナダGPの決勝で使用が義務付けられているソフトタイヤ。その他のスーパーソフトを使うのか、それともウルトラソフトを使うのか、チームによって分かれそうだ。

 F1カナダGPの舞台となるジル・ビルヌーブ・サーキットは、高速で絶対的パワーが求められる反面、路面のミューが低い。そのため、持ち込まれたタイヤは、ウルトラソフト、スーパーソフト、ソフトの3種類。つまり、低速のモナコと同じ組み合わせである。

 しかしひとつ異なるのは、決勝での使用が義務付けられているのは、ソフト1種類のみだということ。通常は使用義務タイヤは2種類指定され、そのうち1種類を使用すればいいわけだが、今回はそれが異なっているのだ。そのため、ハースとルノーはスーパーソフトを持ち込まなかった。

 では、各チームはどんなタイヤ戦略を立ててくるのか? 勢力図と共にFP2の走行結果から分析してみることにする。

ロングランではメルセデスとフェラーリは互角!?

 まず、最も速いロングランのペースを見せたのは、やはりメルセデスの2台。ルイス・ハミルトン、ニコ・ロズベルグは揃って1分17秒台後半で走り始め、10周前後を走って1分18秒台後半までペースを落としている。この時、ふたりが履いていたタイヤはウルトラソフトであり、そのデグラデーション値はハミルトン0.078秒/周、ロズベルグ0.082秒/周とほぼ互角である。

 メルセデス2台が抜けているかといえばそうでもなく、フェラーリも十分にこれに匹敵している。セバスチャン・ベッテルはウルトラソフトを履いて1分18秒0で走り始めると、14周走ったところで1分19秒1までタイムを落としている。計算上のデグラデーションは0.083秒/周である。

ソフトタイヤも十分に使える

 キミ・ライコネンは、コメントでは「グリップを見つけられなかった」と語っているが、その通りデグラデーション値はベッテルよりも悪く、0.162秒/周だった。ただ、ライコネンについて特筆すべきは、そのソフトタイヤ装着時のペース。1分18秒台中盤で走り始め、そのペースをキープ。19周走りきっても、やはり1分18秒中盤。つまりデグラデーションはゼロだったのだ。ロングランの終盤には1分17秒台後半も記録していて、デグラデーションはゼロどころかマイナスである。燃料搭載量の違いもあるかもしれないが、使用が義務付けられているソフトタイヤは、決勝レースで十分に通用する……と言えそうだ。

 このデグラデーションが極端に少ないというソフトタイヤの傾向は、マクラーレンのフェルナンド・アロンソやウイリアムズのフェリペ・マッサ、そしてトロロッソ2台のロングランからも確認できる。特にアロンソとトロロッソ勢のソフトでのペースは秀逸であり、彼らがこのタイヤを多用してくる可能性は十分に考えられる。その他のチームもこのソフトタイヤをどのくらい長い周回履くのか、その判断に注目したいところだ。

デグラデーションが大きく見えるレッドブル勢

 ちなみに、扱いが難しそうなのはスーパーソフトである。今回の3番手チームと目されるレッドブルの2台は、スーパーソフトを履いてロングランを行った。しかしそのデグラデーションは、他チームのウルトラソフトよりも大きかった。ダニエル・リカルドは1周あたり0.139秒、マックス・フェルスタッペンは0.146秒である。

 なお、リカルドはウルトラソフトでもロングランを行っており、こちらのデグラデーションは0.105秒だった。もちろん、一発タイムはウルトラソフトの方が速く、これを見る限り、レッドブルがレースでスーパーソフトを使うメリットも小さそうだ。さらに彼らは、デグラデーション値も一発の速さも、メルセデスとフェラーリに比べて劣っており、今回優勝を争うのは難しそうな状況である。

フォースインディアはスーパーソフトを多用か?

 一方フォースインディア勢は、スーパーソフトを多用した方が良さそうに思えるチームだ。彼らのウルトラソフトのデグラデーションは非常に大きく、逆にスーパーソフトのデグラデーション値はマイナスである。一発のタイムはウルトラソフトの方が速いものの、そのデグラデーションの差は非常に大きく、このことから決勝ではスーパーソフトを使用した方がメリットがあるだろう。事実、金曜日の走行が終了した段階で、フォースインディア勢はスーパーソフトを2セット残している。

 タイヤの戦略をどうするか、非常に難しくなりそうなカナダGP。金曜日の傾向を見る限り、その判断はチームによって大きく分かれてきそう。トップを争いそうなメルセデスとフェラーリに対し、他のチームが戦略でどう挑んでくるのか? フリー走行2回目と予選Q2で、その一端を見ることができるだろう。

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 カナダGP
サーキット サーキット・ジル・ビルヌーブ
記事タイプ フリー走行レポート