F1チームのガレージを解剖。ザウバーのピットツアー
ザウバーチームのピット裏を大解剖! ピンチを乗り越えF1への挑戦を続ける、ザウバーの日本GP舞台裏に迫った。















10月7日、鈴鹿で行われた日本GPの金曜日、ザウバーF1チームのスポンサーのスイスの時計メーカー、『EDOX』の案内で、ザウバーチームのガレージを訪れた。
案内してくれたのは、ザウバーF1チームのマーケティング部イベントコーディネーターである、ターニャ・グラフ女史。オーストリア人の彼女は、2007年にザウバーチームのケータリング担当としてチームに加わった。2008年に一旦チームを離れたものの、2014年にチームに復帰し、今年の4月からはマーケティング担当の業務に就いている。
世界中を飛び回ることになるF1チーム。仕事は大変ではないかと聞くと、彼女は「大変よ。でも、チームには10年や15年も、この仕事を続けている人もいっぱいいる。みんなF1が好きだからやっているの。好きじゃなきゃこんな仕事できないわ」と、家にほとんど帰ることができないと愚痴をこぼしながらも、明るく答えてくれた。元ケータリング担当のターニャは「ケータリングは各チームが個別に手配しているの。彼らや彼らのゲストが何を食べるのかはチームにしかわからないから」とこぼれ話もしてくれた。
ガレージに案内された我々は、入り口付近に置かれた無線のヘッドセットを横目に中に入っていく。誠に残念ではあるが、ガレージの中は撮影厳禁のため、写真での紹介はできない。ご了承いただきたい。
はじめに案内されたのは、タイヤとボディワークが置かれているゾーンだ。1コーナー側、つまりマーカス・エリクソン側のピット奥にあたる。
フリー走行1回目終了からすぐというタイミングだったこともあって、ピレリに返却された2セットを除く、11セットのドライタイヤがウォーマーに包まれ、温度管理されていた。タイヤを内側まで温めるため、セッションの5時間以上前からウォーマーのスイッチが入れられるという。
ボディワーク関連の作業スペースでは、日本GPからアップデートが投入されたフロアが取り外され、入念なチェックを受けながら、磨き上げられていた。また、その周りには、リヤウイングを始め、仕様が異なる多くのスペアパーツが棚に用意されていた。
多くのパーツに埋もれて、1つのサッカーボールを発見。かなり使い込まれていたそのボールは、フェリペ・ナッセがウォーミングアップで使うものだという。サッカーボールを使うウォーミングアップは、ニコ・ロズベルグなど、複数のF1ドライバーが採り入れていることが知られている。
決勝中の給油が無くなり、あまり見かけることもなくなった給油機も、スペアを含めて3機がここに置かれていた。
続いて反対側に向かうと、そこには多くのパソコンが。マシンのデータを分析するテレメトリーである。位置的には、ナッセのマシンのすぐ後ろ側ということになる。そこでは24台のパソコンで走行データを分析していると語ったターニャだが、ラップトップをスタッフ個々人が持ち込んでいることもあり、正確なパソコンの台数は把握していないという。
テレメトリーゾーンの隣、パドック側にはパワーユニットを整備するゾーンがある。フェラーリ製のパワーユニットがマシンから取り外され整備されていたが、当然これは機密事項。チームスタッフの目も厳しくなるが、覆いがかけられていたギヤボックスを見せてくれるというサービスもあった。
ここで、ターニャがザウバーチームのステアリングを持ってきてくれた。とてつもないスピードで走行しながら、マシンの設定を変更する重要なデバイスである。
ターニャは、走行中のステアリングによる設定変更で誤操作を防ぐために、必ず2段階の操作を要求されているという。
「チームから無線が飛ぶと、ドライバーはダイヤルを回してセッティングを合わせた後、承認ボタンを押すの。こうすることで間違いを減らしているのよ」
上の写真左下、『Ack』と書かれた白い丸ボタンが承認ボタンだ。
今季、ザウバーチームは資金問題に揺れに揺れた。F1に参戦中のコンストラクターとしてフェラーリ、マクラーレン、ウイリアムズに次ぐ、4番目に古い歴史を持つチームは、その存続すら危ぶまれた。その後、チームはロングボウ・ファイナンスに所有権を売却。F1での将来を確保することができた。不安が解消され、ピットの中はどことなく、前向きな気持ちが表れているような雰囲気だった。
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