【F1分析】マノー2017年仕様マシン詳細解説。新規則の傾向が見える!?

2017年シーズンのF1開幕前夜、マノーが資金難により解散することになった。公開された風洞モデルから、2017年のF1マシンの特徴を読み取る。

 マノーF1チームは新たな投資家を探していたが、この試みが失敗に終わり、2017年シーズンの開幕を前にチームが解散することになってしまった。

 1月27日にチームの解散がスタッフに伝えられたが、2017年マシンの開発終了間近というタイミングでもあったため、マノーは風洞実験に使っていた新車のスケールモデルを公開した。

 画像を詳しく分析し、チームを存続できていたらマノーがどのように戦っていたかや、他チームの新車のコンセプトを考える手がかりを検討する。

シャーシ形状からわかる変化 

2017 Manor Racing chassis
ファクトリーに佇む、2017用マノーF1マシンのモノコック

 2017年に使用される予定だった2台分のシャーシはすでに建造されており、ファクトリーで組み立てられるのを待っていた。

 シャーシは準備できていたものの、それ以外はほとんど用意できていなかった。資金の流れが減ったため、サプライヤーたちはマノーが倒産した際の金銭的被害を抑えるために、部品の供給を止めていたのだ。

 シャーシ後部のデザインを見てみると、メルセデスが過去3年間採用していたように、インタークーラーをパワーユニットの前、バッテリーとの間に配置することになっていたことがわかる。

 また、マシン側面の空力性能を最大化するために、サイドポッド内の電子部品の一部を、パワーユニットの前方の隙間に移動させることにもなっていたという。

マノーのマシンに加えられた様々な工夫

Manor wind tunnel model car with the team
マノーの2017年型マシンの風洞実験モデルと開発スタッフ

Photo by: Marussia Manor Racing

 マノーの幻の新車、MRT07はマノーのデザイナーたちがかなりの時間をかけて作り上げていたマシンである。我々が持っている情報は、”孤独な”シャーシと風洞モデルの画像がいくつかだけだが、興味深いデザインは至る所に見られる。

 フロントウイングの三角形状は新しいレギュレーションの産物である。メインプレーン中央部分に平坦な箇所を設けなければならないのは昨年の通りだが、上方から見ると中央部は前方にせり出し、くさび形の形状となっている。

 そのすぐ上に、幅が広く薄いノーズが設定されている。ただ、昨年のMRT05はノーズがウイングより前まで伸びていたのに対し、MRT07のそれは短く、ウイング中央部の平坦な部分との距離を取るようにしている。

 2009年にフロントウイング中央部に平坦な箇所を設けることが義務付けられて以来、ノーズの位置をどうするかは、各チームが最も気を使っていた点のひとつだろう。その形状とウイングからの距離は、ウイング中央部で発生する空力的効果、生み出されるダウンフォース、そしてマシン後部のパフォーマンスに大きな影響を与えるからだ。

 またフロントウイングのフラップ部分も、タイヤの幅が広くなったことを受け、多くの変更が行われている。

 気流をマシンの外に向かって流すための、ウイング両端に存在する積極的なトンネルがまず目を引く。また、外向きに付けられたカスケードウイングには、その下に存在するフラップの外縁同様の弧を描くようにマシンの外側へ向かうようになっている。

 これは、2014年のF1マシンであるウイリアムズFW36やケータハムCT05が取り入れたソリューションであり、タイヤの前面に当たる気流を外に押しやることで、空気抵抗の低減を目指している。また、フロントウイング翼端板の外側には、上方に気流を跳ね上げるためのカナードが設けられており、これによってタイヤ後方の気流形状を改善しているようだ。 

Manor wind tunnel model car
マノー2017年型マシンの風洞実験モデル

Photo by: Marussia Manor Racing

 タイヤ幅の拡大に合わせて、ホイールもワイド化している。ホイールはシーズンを通して、各チームが開発を行なう重要な領域となるだろう。

 このエリアでできることは依然として制限されているものの、ホイールが生む空気力学的な影響を改善するために、より複雑な構造を持つホイールが採用されていくだろう。

 バージボードが大型化し役割が拡大するのに伴い、サイドポッドは下部が大きく抉られ開口部は三角形に近い形状になっている。バージボードはサイドポッドの前面を横切り、延長されたフロアの角と交わっている。

 バージボードの上部には比較的大きな縦方向のスリットが開けられており、表面効果の向上に役立っている。バージボード最前部のセクションは車体側に曲がっており、バージボードを支える役目と、水平方向の気流を整える役目を兼ねている。

 車体全体の拡幅に合わせてサイドポッドの幅は広がっており、内部を流れる気流の効率を改善するために、ラジエターやインタークーラーの配置を工夫することができるようになった。

 サイドポッドの周囲は、コックピット脇からサイドポッド側面まで、ボーテックスジェネレーターの役割も果たすと考えられるステーで支えられたスレート(薄い板)に覆われている。このスレートはサイドポッドに沿って湾曲しており、フロアの十数センチ上で終わっている。これは、2005-2008年に見られたものと似たような手法だ。また、ここ数年で使われていたものと比較すると、スレートとサイドポッド表面の隙間が広がっている。

 サイドポッドの幅はフロント側で最大となっており、その後リヤに向かって急激に絞られている。

 リヤタイヤ前のフロアには、2カ所大きなL字型の切れ込みが入っている。この切れ込みは、タイヤの側面を通ってディフューザーに流れ込む気流を整える効果がある。

 マシンのリヤ部分で最初に気づくのは、”シャークフィン”が採用されていることだ。サメの背びれに似ていることから名付けられたこのフィンは、Fダクトが流行するまで、多くのチームが使用していた。

 2017年マシンのリヤウイングは昨年までより高さが低くなっており、気流がエンジンカウル上部を乗り越える際に発生する乱流の影響を受けやすくなっている。この影響を低減するために、気流の乗り越えを防止する装置=シャークフィンが取り付けられ、コーナリング時の安定性向上に繋げていると考えられる。

 低く、幅広になったリヤウイングは後退角を持っている。気流をウイング内側に引き込むために、エンドプレート前端にはスリットが入っている。

 昨年、ほとんどのチームが1本の支柱でリヤウイングを支えていたが、マノーの風洞モデルには支柱が2本ある。これは、新しい形状になったことで失われたリヤウイングの剛性を補うためである。

 トロロッソが初めに導入し他の数チームが模倣した、リヤウイングエンドプレート上部にある、片方の端が繋がっていないルーバーも見られる。これは、ウイングの先端でボーテックスジェネレーターの役割を果たす。

Manor MRT07 livery as MRT05
マノー2017年型モデルを2016年モデル風カラーリングに塗ってみた

Photo by: Motorsport.com

改良版MRT05Bの開発も行われていた

 1月初旬、厳しい財務状況が明らかになってことで、開発チームは別の解決策を採用する可能性を模索し始めていた。それは2016年マシンの改造版であり、実際にMRT05Bとも呼べる暫定マシンの開発が進められていた。

 このMRT05Bは、新レギュレーションに沿う形でマシンが拡幅されていたと思われる。さらにノーズ、フロントウイングとそのステー、スプリッター、プランク、バージボード、サイドポッドのカバー、フロア、リヤウイングなど、修正を加える必要のある部分は多岐にわたる。その上、ディフューザーの高さや長さも変更する必要があった。

 しかし、新たな投資家を見つけることができなかったため、このMRT05Bの開発も、中止されることになった。

 グリッドに並ぶことはないものの、マノーは限られた予算の中で細かな開発を行ってきた。しかしそれは、2017年シーズンに向け、いかに複雑なエアロ開発を行う必要があるかを示している。そして、各チームの答えは、2月後半に続々と発表される。

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シリーズ F1
チーム マノー
記事タイプ 分析