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James Allen on F1
トピックス

James Allen on F1

分析:F1最大の魅力”卓越性”をテレビを通じてどう伝えていくべきか?

F1ジャーナリストのジェームス・アレンは、ロンドンで観たミュージカルが、リバティ時代のF1が直面している問題を考えさせたと語った。

分析:F1最大の魅力”卓越性”をテレビを通じてどう伝えていくべきか?

 F1ジャーナリストのジェームス・アレンが、F1が直面している問題について分析する……。

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 私は今週、劇場に行きミュージカル『ハミルトン』を観た。アメリカ建国者のひとりであるアレクサンダー・ハミルトンの生涯を描いたこの作品は、昨年大ヒットを記録。今はロンドンで上演されている。

 多くの人々が、このミュージカルについて賞賛してきた。しかし、私が最も心を打たれたのは、全てが最高品質だったということだ。ストーリーも音楽も、ステージングもラップも振り付けも……完璧としか表現できないものだった。

『ハミルトン』は、ミュージカルで表現できることの新しい基準を生んだ。それに対する、観衆の反応も明確だ。チケットは、連日完売となっているのだから。

 人々がステージ上で歌ったり踊ったりするのは、使い古されたフォーマットのように思えるかもしれない。しかしそれを革新し、素晴らしいモノにできれば、時代遅れになることはないということを、この『ハミルトン』は証明しているように思う。

 それは、F1をエンターテイメントとして、あるいはスポーツとしてどう見せていくべきか……そこにひとつの疑問を投げかけているように思う。

 F1の強みとは一体何か? そう尋ねられたら私は、「卓越性(エクセレンス)」と答えるだろう。世界各地のサーキットで、2週間ごとに見ることができるF1のレースは、卓越したモノだ。エンジニアリング、ドライビング、ピットストップ、物流、細心の注意、そして安全基準……どれを取っても、卓越したモノだと言っていいだろう。

 そのためにかなり多くの人々が努力を惜しまず働いている。またはライバルに打ち勝つために。それによってこのスポーツにおける文化が生まれ、F1に関係する企業や各個人の名を、引き上げることにつながる。

 その文化とは、絶え間ない自己改善である。それは多くの企業が、F1やいずれかのチームへのスポンサーシップを検討する際に目にするものである。しかし、それは必ずしもテレビに映るとは限らない。

 2016シーズン序盤に導入され、すぐに廃止された滑稽な予選フォーマットなどの不適切な決定を含めた一連の間違った行動は、F1の持つ卓越性を多くのファンから覆い隠してしまう。

 人々はテレビのスイッチを入れて、世界最高のドライバーが最速のマシンをドライブしているのが見たいのだ。そして理想的には、素晴らしいサーキットでね。彼らは本当に素晴らしいバトルを見たがっている。

 劇場と同じように、彼らは魅力的な”ストーリー”を欲している。そしてF1における(ルイス)ハミルトンの活躍や、ニコ・ロズベルグやセバスチャン・ベッテルといったライバルとのバトルによる彼の浮き沈み、フェラーリの復活やマックス・フェルスタッペンという新しいスターの登場など、ある程度のストーリーをF1は持ち合わせている。”キャスト”は揃っているのだから、あとはその魅力をより引き出すことが重要なのだ。

 だから(F1のCEO)チェイス・キャリーと彼のチームが、F1が毎回”劇場”を満員にするためにどうやっていくのかを見ていこう。今や彼らのハネムーン期間も終わり、本格的に仕事が始まっている。彼らはF1を特別なモノ、つまり卓越性のあるモノに見せようと本気で取り組み始めているし、それを損なうものは受け入れていない。

 先週、(マクラーレンのエクゼクティブ・ディレクター)ザク・ブラウンがブログに投稿していたように、2018年以降の計画ではテレビでの放送を見直し、F1のスペクタクルやストーリーをより良く見せようとしていると予想できる。

 2018シーズンからマシンに搭載されるコックピット保護デバイスのハロが、マシンの美しさにどれほどの影響を与えるかについて、多くのファンは自分たちの気持ちをすでに示している。私がハロについて懸念しているのは、ファンをF1と近づけるために努力をしているこの時期に、ファンからドライバーまでの距離を遠ざけてしまうということだ。

 しかし、もしこの”ショー”が次の10年に向けて飛躍をしたいなら、2021年以降のF1マシンの外観について、全く新しいアプローチが必要だ。

 劇場で見られる名作劇とまったく同じように、ショーを完璧にするためには非常に多くの要素が一体とならなければならない。F1は複雑だ。技術的なルールやルール作りのプロセス、各チームの予算の違いなど、他にも多くの異なる要素がショーの品質を左右する。

 それが、F1側とチーム間の議論の核心だ。フェラーリやメルセデスといったチームは、エンジンやF1のスポーツとしての他の側面が”簡略化”されることを望んでいない。

 しかしここで妥協が必要になる。卓越性は、必ずしも複雑性を意味するとは限らない。人間によって創られた、最も完璧なモノの中には非常に単純なモノもある。この慌ただしい世界で、最高水準でありながらシンプルだということに、人々は感謝するのだ。

 先日、F1ストラテジー・グループはロンドンに集合し、バージボードとリヤウイングの高さについて、詳細を議論した。今後数カ月にわたるF1の再定義の中で、彼らが卓越性を常に第一に考えることを願おう。

 さもなければ、我々の劇場は将来、さらにいくつかの空席を生み出してしまうかもしれない。

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この記事について

シリーズ F1
執筆者 James Allen