ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

【F1】いよいよ開幕間近! 2017年F1マシン、注目すべきアイデア

いよいよ開幕する今季のF1。グリッドに並ぶマシンには、興味深いデザインが施されたモノも多い。その幾つかをご紹介しよう。

Red Bull Racing RB 13 comparison

Red Bull Racing RB 13 comparison

Photo by: Giorgio Piola

 レッドブルRB13のノーズ先端、突起部分には開口部が設けられており、多くの注目を集めている。2014年にもレッドブルは、ノーズ先端に開口部を設けた(図中の○内)。これはドライバーを冷却するためのものだったと考えられているが、今回登場した開口部はそれだけ効果を狙ったモノではないようだ。 

Force India VJM08B nose cone, captioned
Force India VJM08B nose cone, captioned

Photo by: Giorgio Piola

 近年のF1マシンは、安全対策としてノーズの先端を下げるよう、レギュレーションで規定されている。しかしこれにより、ノーズの下面に流れ込む気流が大きく制限されてしまうため、ダウンフォース発生量の面で妥協を強いられてきた。しかしチームは、ある解決策を見つけたようだ。

 その参考となるのは、昨年のフォースインディアが採用した”穴開き”ノーズの考え方だ。開口部で取り入れた空気を、ノーズの下に排出することで、あたかもノーズ先端が存在せず、”仮想ハイノーズ”のような形になるのだ。こうすれば、マシンのフロア下に流す気流も増え、ディフューザーで発生するダウンフォースの量も増えることになる。

 当初レッドブルのノーズ先端の開口部は、Sダクト用の気流取入れ口だと思われていた。しかし、ふたつの別の開口部がフロントウイングステー後方に設けられていて、これがSダクトに通じているようだ。このことからも、ノーズ先端の開口部は別の役割を持っているのは間違いないと考えることができる。 

Mercedes W08 front suspension
Mercedes W08 front suspension

Photo by: Giorgio Piola

 メルセデスは、フロントサスペンションとアップライトを繋ぐピボットに、角状の付属物(赤い矢印で示した部分)を付けてきた。トロロッソSTR12も、同じような形状のパーツを採用している。

 この方法はリヤサスペンションにはこれまでも採用されてきた。しかし、フロントサスペンションに使うのは、今回が初めての例と思われる。

Toro Rosso STR12 front suspension, captioned
Toro Rosso STR12 front suspension, captioned

Photo by: Giorgio Piola

 これはおそらく、機械的なメリットを考慮したものではなく、空力面を改善するためのモノだろう。付属物を介してアップライトとサスペンションのアッパーアームを繋げば、その付属物の分だけサスペンションアッパーアームを高いところに設定できる。これに伴い、ロワアームも上方に移され、アップライトのほぼ中央付近に繋げられている。

 こうすれば、低い部分を流れる気流に影響を及ぼさずに済むため、フロントウイングの作用を邪魔せず、しかもフロア下に乱れの少ない気流を送ることができるのだ。また、サイドポッドに向けて流れる気流も制御しているだろう。

Ferrari SF70H turning vanes, detailed
Ferrari SF70H turning vanes, detailed

Photo by: Giorgio Piola

 フェラーリSF70Hに採用されたサイドポッドの形状は、グリッド全体を見渡しても、特に興味深い処理であるといえよう。彼らはサイドポッドの開口部を複雑な形状にするのではなく、できるだけまっすぐに保とうとしている。

 これを効果的に使うために、フェラーリはサイドポッド前方に巨大なウイングレットを付けてきた。このウイングレットにより、サイドポッド内に向かう気流を整えているのだろう。

 ただ、サイドポッド直前の上方のみ、ウイングレットが存在していない。ここで気流の量をコントロールし、サイドポッド内への流れを集めて、冷却と効率を改善するのだろう。

Williams FW40 double planes
Williams FW40 double planes

Photo by: Giorgio Piola

 衝撃的だったのは、一番最初にメルセデスが試したTウイングだろう。Tウイング
はレギュレーション上に”空白”として残っていた50mmの隙間を突いたもの。現在までに前述のメルセデスを始め、フェラーリ、ハース、ウイリアムズなどが採用してきている。その中でも特にウイリアムズは、もう一対のTウイングを配置した。

 このTウイングは、前後幅が非常に短いものの、単体でも少量のダウンフォースを発生する。しかしそれよりも主眼が置かれているのは、リヤウイングに流れる気流を整えてダウンフォースを効果的に発生させ、さらにディフューザーが跳ね上げる気流を整えることで空気抵抗を減らすことが狙われている。

 また、ウイリアムズのシャークフィン上端には、ガーニー状のフラップが取り付けられているのも興味深い。

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シリーズ F1
記事タイプ 分析
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