【F1】イギリスGPで注目すべき5つのこと

motorsport.comのグローバル編集長であるチャールズ・ブラッドレーが、ルイス・ハミルトンが圧勝したイギリスGPを分析。

1: ハミルトン、母国シルバーストンを完全制圧

Race winner Lewis Hamilton, Mercedes AMG F1 goes crowd surfing
母国イギリスGPで4連勝を達成。ファンの中に飛び込むルイス・ハミルトン

Photo by: JEP / LAT Images

 ルイス・ハミルトンがイギリスGPを圧勝した。この勝利は、レース終盤に後退したフェラーリのセバスチャン・ベッテルに、ランキングで1ポイント差まで迫っただけでなく、ジム・クラークやアラン・プロストと並び、イギリスGPでの5勝目を達成したモノだった。また、クラークに並ぶイギリスGP4連勝でもある。素晴らしい成績だ。

 水曜日にロンドン中心街で行われたF1デモ走行イベント”F1 Live London”を欠席した唯一のドライバーとなったしまったハミルトン。イベント後には非難されることもあったが、彼は「イギリスGPに完璧な状態で臨むため」と、休養を優先したことを説明した。

 結果的にはサーキットに集まったファンが求めていた”勝利”をもたらしたことで、少なくとも彼の判断は間違っていなかったと言うことができるだろう。

 ハミルトンにとってイギリスGPの週末は、まさに夢のような3日間だった。しかし一方、フェラーリにとっては悪夢のような日々となった。レース終盤のタイヤトラブルはあったにしても、終始メルセデス優位の展開で物事は進行していった。グリッド降格ペナルティを受け、後方に沈んだバルテリ・ボッタスでさえも表彰台圏内にたどり着き、メルセデスの1-2フィニッシュを演出したのだ。

 ハミルトンが予選で記録したタイムは、2番手のキミ・ライコネンよりも0.5秒ほど速いものだった。しかしレースではこの差が拡大し、最初のスティントでプッシュした時のペースは、同じようにプッシュするライコネンよりも、1周あたり1秒程度速かった。

 ベッテルに至っては、レッドブルのマックス・フェルスタッペンをなかなか抜くことができず、窮地に陥った。これを脱するにはアンダーカットの戦略しかなく、結局ベッテルは早々にタイヤ交換を実施。このタイヤで、長い距離を走らなければならなくなった。レース終盤、ボッタスを封じようとした際にクラブコーナーでロックアップしたが、おそらくこれがタイヤにダメージを与えることとなった。残り2周と言う時点で左のフロントタイヤがバースト。これでピットインを余儀なくされ、最終的には7位でのフィニッシュとなった。

 ハミルトンは勢いに乗りかけている。うまくいけば次のハンガリーGPで、ミハエル・シューマッハーが持つポールポジションの最多獲得記録に並ぶ可能性があるのだ。そうなってしまえば、もはや彼の勢いを、誰も止めることができないかもしれない。

2: フェラーリを襲った、ピレリタイヤのトラブル

Sebastian Vettel, Ferrari SF70H, with a front puncture
残り2周、左のフロントタイヤが突如パンクし、3番手から7番手に落ちたセバスチャン・ベッテル

Photo by: Sutton Motorsport Images / sutton-images.com

 イギリスGPの決勝では、2台のフェラーリが相次いで左フロントタイヤのトラブルに見舞われた。

 初期の調査によれば、このふたつの問題は、原因が別にあることが確認された。ライコネンのトラブルはトレッド面の剥離だったが、ベッテルのそれは通常のパンクであった。ベッテルはポジションをボッタスから守ろうとした際、大きくロックアップ。これが、タイヤを痛めつける決定打となった。また彼は早いタイミングでピットストップを行ったため、摩耗が進んでいたということも考えられる。

 今季のマシンはタイヤの幅が広くなったこと、そしてダウンフォースが増加したことにより、コーナリングスピードが大幅に向上している。その結果、コーナーでは5G以上の横Gがかかり、シルバーストンのような時計回りのサーキットでは、その負荷の多くは左フロントタイヤにかかる。とはいえ、このアクシデントは、ピレリにとっては見栄えの良いものではなかったし、フェラーリにとってはチャンピオンシップを目指す上でも、メルセデスに1-2を許してしまうという、高価な代償を支払うこととなった。

「タイヤが『レースの最後まで走りきらない!』と決めたのは、とても急なことだった」

 レース後にベッテルは、タイヤを擬人化して語った。

「キミもタイヤに似たようなトラブルを抱えた。彼のタイヤは、僕よりも6周ほど新しかったのにね」

「タイヤは30周を走っていたが、摩耗の面で問題になることはないだろうと僕らは考えていた。タイヤが”爆発”したのには、驚いたよ」

 この事象は、メルセデスにとっては大きな”贈り物”となった。そして、ベッテルが僅かなリードを保ったまま夏休みに入ることができるかどうかは、次戦ハンガリーGPまでに、フェラーリがそれに対処することができたかどうかにかかっている。

3: フェルスタッペン、再びベッテルを押し出す 

Max Verstappen, Red Bull Racing RB13, Sebastian Vettel, Ferrari SF70H
鉄壁のディフェンスでベッテルと執拗にブロックするマックス・フェルスタッペン

Photo by: Charles Coates / LAT Images

 ここ数戦、信頼性の問題に苦しんでいたレッドブルのマックス・フェルスタッペン。その不運が、彼の脅威的なレースのセンスが発揮される機会を奪っていたということに、改めて気付かされた。

 ベッテルがスタートに失敗したことで、フェルスタッペンは最初のコーナーまでに3番手のポジションを奪った。ベッテルはその後、何度もオーバーテイクを試みたが、それは叶わず。その戦いはスリリングなモノだったし、多くのファンがそれを楽しんだことだろう。

 結局ベッテルは、フェルスタッペンの前に立つためにピットインのタイミングを早め、アンダーカットを狙うしかなかった。

「ハードだったけど、フェアだったと思うよ」

 フェルスタッペンはそう笑顔を見せる。しかしベッテルはその”ブロック”に苦言を呈した。ブレーキングゾーンで、許されている以上の動きを見せたと、ベッテルは主張しているのだ。

「僕はそれについて、真剣には受け止めていないよ」

 フェルスタッペンはベッテルの抗議について、そう答えた。

4: ”魚雷”クビアトも再び……

Helmet design detail on the rear of  Daniel Ricciardo, Red Bull Racing
ダニール・クビアトのヘルメット後部に描かれた、”魚雷”キャラクター

Photo by: Andrew Hone / LAT Images

 フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、昨年のロシアGPでダニール・クビアト(当時レッドブル)の撃墜を受けた後、クビアトのことを”魚雷”と称した。クビアトはその時の責任を問われる格好でトロロッソに降格。しかしここ2戦連続で他車に接触するなど、”魚雷”のニックネームを受け入れた感がある。

 クビアトは、”魚雷”としか見えない物体に自身が乗ったキャラクターをヘルメットに貼り付けた(今回が初めてではないが)だけではなく、イギリスGPではチームメイトのカルロス・サインツJr.にクラッシュし、相手をリタイアに追い込んだのだ。

 クビアトに対して公平に言えば、サインツJr.はコプスでクビアトをアウトから抜き、その後バランスを崩した。そのためクビアトは、マゴッツ〜ベケッツを、サインツJr.と並走しなければならなかったのだ。そして接触は起きてしまった。

 クビアトはこの一件の責任を問われ、ドライブスルーペナルティが科せられた。にもかかわらず、彼はチームメイトを非難するコメントをした。

「最初の4レースで、彼が僕をコースから押し出した時には、誰も何も言わなかった……」

「僕はターン11(マゴッツ)で彼にスペースを残した。ターン12でも彼と協力していけると思ったが、このコラボレーションは起きなかったんだ」

「ゲームの一部だから、こういうことが起きることがある。そして彼は、1周目は僕との距離を保つべきだと信じている」

 一方のサインツJr.は、次のように語るにとどめた。

「僕は1台のマシンがコントロールを失い、他のマシンに当たったんだと思う。イメージというのは、自分中心に話してしまうものだ」

 トロロッソのコンストラクターズランキング上のライバルであるハースは、今回ポイントを獲得できなかった。一方で、ルノーはトップ6入りを果たし、8ポイントを追加した。トロロッソがランキングをしっかりと確保するためには、今回のような事態は、早期に整理する必要があるだろう。

5: アロンソ、来季PUの早期決定を希望

Fernando Alonso, McLaren
Photo by: Andrew Hone / LAT Images

 マクラーレンのフェルナンド・アロンソは、シルバーストンでまたしてもリタイアに終わった。彼は週末、マクラーレンに対して”将来のエンジン”について、早々に整理するべきだと語っていた。

 アロンソはイギリスGPでも、グリッド降格ペナルティが課せられた。その数は30。そして決勝では燃料ポンプの問題で、リタイアすることになった。

「彼らに責任がある」

 将来のエンジンを決めることについて、アロンソはマクラーレンをそうプッシュした。

「早く決断すればするほど、来季に向けて良い準備をすることができる。だから、彼らが早々に判断を下そうとしていると思う」

 しかし今回のアロンソには、ポジティブな部分もあった、後続に1.3秒の差をつけ、予選Q1で最速タイムをマークしたのだ。これは乾き始めた路面に対応し、いち早くドライタイヤでアタックしたことにより、インターミディエイトタイヤで走り続けるマシンを上回るペースを発揮することができたためだ。しかしこのリザルトに、シルバーストンに詰めかけた観客は歓喜の声を上げた。

 次の戦いの舞台はハンガロリンク。このサーキットは、パワー不足の影響が軽減されるコースのうちのひとつであり、マクラーレンとしてはなんとか好成績を残したいところだ。

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 イギリスGP
サーキット シルバーストン
記事タイプ コメンタリー