【F1】ハンガリーGPで注目すべき5つのこと

motorsport.comのグローバル編集長であるチャールズ・ブラッドレーが、ハンガリーGPについて分析した。

1: フェラーリ、九死に一生を得る

 The Sebastian Vetteleads and Kimi Raikkonen, Ferrari SF70H cars in parc ferme
Photo by: Andrew Hone / LAT Images

 ハンガリーGP決勝でのフェラーリのピットウォールは、レースをリードしていたセバスチャン・ベッテルのある報告によってパニックになっていた。それは彼のステアリングが異常をきたしており、どんどん悪化しているというものだった。

 一方、2番手を走行中のキミ・ライコネンは、ステアリングをいたわるために縁石の使用を禁じられたベッテルによってペースを妨げられており、背後から迫り来るメルセデスのふたりに追いつかれることチーム無線で訴えていた。

 もしフェラーリがtwitterのタイムラインを見ていれば、「キミに(ベッテルを)抜かさせるんだ!」というツイートが相次いでいたことだろう。問題となるのはライコネンが後方からの追撃を守りきらなければならないということと、ハンガリーGPでの優勝を失う可能性があるということだった。しかしライコネンを前に出すという決断をしたならば、ベッテルのチームへの信頼は失われると共に、ポイントリーダーである彼が25ポイントを獲得できずに終わる可能性がある。フェラーリのピットウォールは、決断に迫られていた。

 一方のメルセデスは、フェラーリがパニックに陥っているのを機に、ペースに苦戦するバルテリ・ボッタスの前にルイス・ハミルトンを”配置”。3番手となったハミルトンは、容易にライコネンに追いついた。

 それに気後れしたフェラーリはベッテルに全てを賭けた。そして結局、ハミルトンはライコネンを交わす手立てを見つけることができなかったため、約束通りボッタスにポジションを返した。

 これはメルセデスの公平さと実直さに勝った、フェラーリのショーだった。果たしてハンガリーでのレース戦略に後悔しているのは、どちらのメーカーだろうか。

2: メルセデスが固執したのは”公平な戦い”

Valtteri Bottas, Mercedes-Benz F1 W08 Hybrid and Lewis Hamilton, Mercedes-Benz F1 W08 Hybrid cross the line

Photo by: Sutton Images

 ボッタスがターン1でラインを外したと思いきや、ハミルトンがボッタスの前に出て、フェラーリを追いかけ始めたのを見たときは少し驚かされた。しかし本当に目を疑ったのは、最終ラップでハミルトンが停止寸前のスピードで走り、ボッタスにポジションを”返した”のを目の当たりにした時だ。結局ハミルトンは、5番手のマックス・フェルスタッペンから0.391秒差で4位となった。

 ハミルトンのフェアプレーはファンから賞賛された。しかし、ハミルトンはボッタスに対して20ポイント先行しているにも関わらず、3ポイントを喜んで与えたのだ。

 まだ今季は9レース残っているが、3ポイントの差がチャンピオンシップの結果を大きく左右する可能性があることを、ハミルトンは2008年シーズンを通してよく理解しているはずだ。今回のレース後、ハミルトンは自分自身のことを”有言実行する男”だと宣言した。好感の持てる言葉であるが、仮にポジションを返さなかったとしても、彼に批難が集中することはなかったのではないかと私は思っている。もちろん、彼のことが嫌いならば別だ。そういう人の場合、ハミルトンが何をしようとも批判を浴びせるだろう。

 3番手を走行していたハミルトンは、ボッタスの背後からフェルスタッペンが接近してきていたのを認識していたという。彼にはそのような”言い訳”の利くシチュエーションに立たされていたのだ。さらに、一時的にチーム無線が機能しないという非常事態にも遭っていた。

 メルセデスは、あたかも昨シーズンにハミルトンとニコ・ロズベルグ間で起きたチーム内紛争を避けるかのように、チームがフェアであり続けるために、あまりにも厳しい試練を選んだのだ。

 最終ラップでもハミルトンのペースについていくことができなかったため、もしポジションを譲らなかったとしても、実際にボッタスがハミルトンに対して文句を言うことはなかっただろう。

 レース後、メルセデスは今回のチームオーダーを後悔する可能性があることを認めている。私は今回のレースを見て、アイルトン・セナやナイジェル・マンセルを想起した。かつて彼らは、次のシーズンでチーム内の雰囲気を良くしておくためにも、チームメイトに対しポイントや勝利を譲っていたのだ……。

3: アロンソにはデッキチェアではなく、良いエンジンを

 Fernando Alonso, McLaren, wishes everybody a happy holiday after the race

Photo by: Andrew Hone / LAT Images

 レース後、私はマクラーレンのフェルナンド・アロンソに対し、「まともなF1マシンではなくデッキチェアに座りたいのか」と悪戯な質問をした。

 最近の彼は最高のレース、または”コーナリングで最も速いと感じることができる”レースでドライブしたいと、もはや冗談半分で主張していた。しかし、日曜日のドライブは最高のものだった。昨年のモンツァ以来となるファステストラップも記録したのだ。しかし、彼はこれが予期せぬ結果であったことを認めている。

 ターン2で素晴らしい動きをしたアロンソを、間近で目撃したトロロッソのカルロス・サインツJr.も「コーナーでは中団グループで最も速かった」と認めている。

 彼のオーバーテイクの技術は、もはや疑いようもないことだ。そして今回見せたペースが、オーバーテイク同様、常に見ることができるようになるのは、いつのことなのだろうか?

4: マグヌッセンの内なる”鬼畜”が露呈

 Kevin Magnussen, Haas F1 Team
Eric Cartman, Haas F1 Team

Photo by: Andrew Hone / LAT Images

 レース後、ハースのケビン・マグヌッセンがノルウェーTVからの囲み取材を受けている時、ルノーのニコ・ヒュルケンベルグはそれ歩み寄り、彼を「グリッド上で最も汚いドライバー」だったと皮肉った。

 取材は一時中断。マグヌッセンはその応酬に、スラングと放送禁止用語を織り交ぜた暴言をヒュルケンベルグに浴びせた。

 その言葉は、これまでのF1の取材の中で聞いたどの言葉よりも私の中に響いた。大抵F1の取材で聞こえてくるのは、何の意味も持たないサウンドバイトか中身のない決まり文句だ。ヒュルケンベルグがそれに受け答えするのであれば、「Respect my auth-ori-tiiiiy!(僕には権力があるんだぞ!)」だろうか。

 いやそれでも、ヒュルケンベルグが最初のコーナーでマグヌッセンのチームメイトであるロマン・グロージャンを押し出したことを念頭に置けば、彼から言われるにしては少し立派すぎる言葉かもしれない。

5: ディ・レスタの関心は思考よりも”足”

Paul di Resta, Reserve Driver, Williams F1
Paul di Resta discusses shoes

Photo by: Charles Coates / LAT Images

 誰にでも起こりうることであるが、新しい靴を数時間履いた時に起こる靴擦れは、ある意味拷問のようだ。急遽病欠することになったウイリアムズのフェリペ・マッサの代役として、久々にF1参戦を果たしたポール・ディ・レスタにそれは襲いかかった。

 準備時間を与えられなかったディ・レスタが、決勝前にマシンに触れたのは予選Q1のわずか20分間だけだった。そうであるにも関わらず、ディ・レスタはチームメイトであるランス・ストロールの0.76秒落ちのタイムを記録するという素晴らしい仕事をした。

 決勝では、残り10周のところでオイル漏れによりリタイアを喫したディ・レスタだが、彼が報告したのは「足が痛すぎる」というものだった。

 その”拷問”に耐え抜いたということも賞賛に値するだろうし、とにかく彼が完走することができなかったことが非常に残念だ。

 

 

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 ハンガリーGP
サーキット ハンガロリンク
記事タイプ コメンタリー