【F1】フェルナンド・アロンソ「F1でレースをする理由」

フェルナンド・アロンソは、チームの新コンテンツ内で「F1でしか得られない特別な感覚」があるからこそ、F1に乗るのだと説明した。

 マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソは、自身がF1でドライブする理由について、「F1マシンでしか得られない特別なフィーリング」を感じることができるからだと語った。

 先日、マクラーレン・ホンダは『TEAMStream』というコンテンツをホームページ内に設立した。テキストや写真、ビデオなど、多数の最新情報を公開し、オンライン上でファンとの交流を深めるのが目的だ。

 そのTEAMStreamには、フェルナンド・アロンソの『WHY I RACE(なぜレースをするのか?)』という記事が掲載されている。その記事の中では、F1で2度のタイトル獲得を果たしたアロンソが何故レースに出場するのか? その理由が詳細に語られている。

「F1でしか得られない感覚」がある

 少年時代、毎日学校まで走って通う子供だったというアロンソは、その道中にある橋、信号、門を目印に、その区間の”セクタータイム“を縮めることを目標にしていた。さらに、彼を学校まで連れて行く祖母に勝つため、という理由も存在したという。これを聞いただけでも、アロンソが元来とても”競争心旺盛”な人間であることがわかる。実際アロンソは、すべてが自分自身との「競争」であると考えている。

「薄情である必要があるんだ」とアロンソは言う。そして臆することなく、F1で要求される利己的な精神に言及した。

「自分は他の誰かの敵ではないけど、勝つために自分のことに集中しなければいけない。もしそれで他の誰かに対してアドバンテージを得ることができたら、それはまた良いことだ」 

 ただこの”競争心”が、彼がF1でレースをする理由ではないという。

「僕は競争心の旺盛な人間だし、それはF1において重要なことだ。でもそれがF1でレースをする理由じゃない。これは自分の生活の中で、例えばサイクリングをしたりテニスをすれば満たすことができる。スーパーマーケットまで母親と争って行くのでもいい。僕がF1でレースをするのは、F1マシンは、他のものでは決して味わうことのできないフィーリングを与えてくれるからだ。これはF1マシン独特のものだ」

 彼が渇望しているこの”フィーリング”とは、純粋にF1マシンから発生する衝撃的なパフォーマンスなのだという。マクラーレン・ホンダのマシンであるMP4-31(2016年のマシン)は、900馬力以上のパワーを生み出し、6秒足らずで時速160km/hに達する。さらにブレーキングでは7Gもの負荷が体にかかる。

 だがそのアロンソ自身も、「このフィーリングを説明するのは難しい」と話した。

「F1に近いものなんてないからね。(レース中には)様々なことが目まぐるしく起こるので、マシンに乗るときは毎回脳をリセットする。もし数週間F1マシンに乗らなかったら、そのパフォーマンスに驚くだろうね」

「僕は競争を楽しむためにカートに乗る。そしてF1に乗る時も、この気持ちでドライブする。カートとF1のドライビングは非常に似ているけど、カートに乗っていても予期せぬことは起きない。カートだったら何が起こるのか予測できる。でもF1ではそうはいかないし、いつも何かが起きてから驚かされる。ブレーキを踏めば、脳はそれに追いつくのに0.2秒かかる。これは素晴らしい感覚だ。そういうフィーリングなんだ」

エンジニアが賞賛する彼の能力とは?

 F1マシンの能力に対するアロンソの評価は、ルーキーの評価の仕方に近いという。マシンパフォーマンスに関する彼の説明からは、彼がまだまだマシンの限界を求めていることが読み取れるのだ。

 彼のレースエンジニアを務めるマーク・テンプルは、「フェルナンドは、彼の周囲にあるもの全てから最大限のものを引き出すことができる」と語った。

「彼はとてもアグレッシブにドライブする。ブレーキングエリアではハードにアタックするし、マシンをコーナーに”投げ込む”んだ。でもコーナーの出口で損をしない。アグレッシブにコーナーに侵入して、出口で損をすることは(ドライバーにとっては)頻繁に起こるものだ。しかしフェルナンドは、コーナーの入口でも出口でもなんとかマシンを限界で(損をしないように)キープする」

 限界でマシンをキープするこの能力のおかげで、彼のグリップに対する素晴らしい感覚が生まれる。そしてこれこそ、彼がマシンの中で渇望しているフィーリングに繋がっているのだろう。

 またアロンソは、「マシンに乗る前、メンタル面の準備をしたことはない」と話した。

「僕はいつでも準備ができているし、気合いを入れる必要はない。フリー走行でも予選でもレースでも、僕の考え方は変わらない」

 さらにレース前には、他のドライバーはひとりで瞑想したり、音楽を聴いてレースへ向けて気持ちを高めている中で、アロンソがしばしばエンジニアと共にリラックスしているところを見かける。

 しかしこういう態度を取っているからといって、レース中に感じるあの独特のフィーリングを求めなくなったのではない。カミソリのように鋭い思考力に加え、他の人よりも抜け目ない性格のおかげで、彼の情熱は保たれている。そういった面でも、アロンソはF1史上最も完璧なドライバーのひとりであると言える。

 テンプルは、「彼はこれまで私が共に働いてきたドライバーの中で最も賢いドライバーだ」と語った。

「この賢さと生まれ持った最高レベルの才能を合わせると、とても力強い。このおかげで、彼はドライビング中に多くのことができ、そしてたくさんのデータを処理して常に戦略のことを考えている」

 2016年モナコGPでのアロンソは特に印象的だった。ウエット-ドライのコンディションの中、ミスを犯しやすい展開であり、数人のドライバーは実際にミスを犯した。しかしアロンソはコンスタントに無線で戦略やマシンのパフォーマンスについて話し合い、ニコ・ロズベルグを寄せ付けずに戦った(結果は5位)。

 多くのドライバーが自分のドライビングにだけ集中している一方、アロンソは同時に無数の問題を処理するキャパシティを持ち合わせている。このことからも、彼が他のドライバーの上を行く存在であることがわかるが、しかしそれをもってしても、彼がなぜF1でレースをするのかという説明にはなっていない。アロンソがF1でのみ感じるフィーリングは直感的なものであり、マシンを限界のレベルでドライブしている時にしか感じることができないのだ。

【関連ニュース】

【F1】マクラーレン、ファンとの交流を図る新コンテンツを発表

【F1】アロンソ「2017年はホンダではなくマクラーレンのエアロ次第」

【F1】マクラーレンCEO「アロンソは世界最高。バンドーンは”本物”」

【F1】マクラーレン・ホンダ、BP/カストロールとの提携を発表

【F1】マクラーレン、新マシン”MCL32”に「チーム再編の影響はない」

コメント
コメントを書く
この記事について
シリーズ F1
ドライバー フェルナンド アロンソ
チーム マクラーレン
記事タイプ 速報ニュース