









今年1月、バルテリ・ボッタスは昨年限りでF1から引退したニコ・ロズベルグに代わってメルセデスに加入した。そして彼がバーレーンGPで初ポールポジションを獲得し、ロシアGPでF1初優勝を飾るまで、そう長くはかからなかった。
多くのドライバーは、チームを移籍する際には以前のチームで自身を担当していたエンジニアを連れて行き、新たなチームで良い環境を作ろうとするものだが、ボッタスはそういったドライバーと全く異なるアプローチをとった。
ボッタスは、意識的に新たな再スタートを切ろうとした。彼は、ロズベルグを担当していたエンジニアであるトニー・ロスとマーカス・ダドリーと共に仕事をすることを決めたのだ。
メルセデスの仕事のやり方に合わせて自分のペースを上げざるを得ない環境は、ウイリアムズでのやり方を続けるよりも、このチーム物事の進め方を学ぶのにとても良い方法だとボッタスは考えている。
ボッタスはmotorsport.comの独占インタビューに対して、「これは、極めて初期の段階から決めていたことだ」と話した。
「僕は、これまでニコのエンジニアだったトニーとマーカスと一緒に仕事をすることになると聞いていた」
「僕にとって完璧な状況だと思った。なぜなら、彼らから学べることはたくさんあるし、チームがどのように仕事を進めているかについて学ぶ時には、彼らは僕を助けてくれるだろう。ベストな環境だと思った」
「確かに、チームの人々は(ウイリアムズとは)違った働き方をしている。ひとりひとりが異なるし、そういう人たち全員と働くことになる」
「チームはミーティングや新たなシステム、新たな期間、新たな仕事に対して(ウイリアムズとは)異なるアプローチをとっている。だから僕はチームの働き方に適応しなければならない」
「これが、ウイリアムズのスタッフを一緒にメルセデスに来るように説得しなかった理由のひとつだ。僕はこのチームで経験のあるスタッフと仕事を始めたかった。彼らはこのチームのベストな状態を知っている。これもその理由のひとつだ」
チームへの不満も言える
ボッタスは、こういう状況にいるおかげで、メルセデスの仕事のやり方に順応できているが、彼は自分が不満を感じている部分をはっきりとチームに話すことを恐れていないと主張した。
また彼は、そういうことをチームに言えないと感じるのではなく、チームが不満を聞きたいと望んでいることが、メルセデスの強さの証拠だと話した。
「それを難しいと思ったことはない。僕はいつもストレートにその話をする」
「もし何かが正しくないと感じたら、常に正直な意見を持って、チームにそれを話すようにしている」
「チームもそのことを理解している。もちろんルイス(ハミルトン)はこのチームやスタッフ、マシンに対して僕以上に経験がある。でも、すべてのことに関する僕の正直な意見や、僕の考えていることから何が改善できるのかということを常にチームに伝えることが、唯一僕のできることだ」
そういうわけでボッタスは、メルセデスに移籍した時から現在に至るまでに、変化を感じ、自分は完全にチームの一員であるとかなり早い段階で感じることができたという。
「チームは本当に僕に対して協力してくれるし、僕は孤独だと思っていない」
「ご覧の通り僕はこのチームの一員だし、僕たちには一体感がある。それにこの状況を本当に楽しんでいる」
「シーズンは長く続いていくし、僕のペースも改善し続けていくだろうと自信をもっている。チームも、僕個人のパフォーマンスにとても満足している」
「プレッシャーはない。今の状況を楽しんでいるし、常に日々改善に取り組んでいる。今後は良くなっていくだろう」
中団チームとの違い
昨年までのF1キャリアを全てウイリアムズで過ごしてきたボッタスは、大きな自動車メーカーの支援を受けているチームでは、どのように様々なことが機能しているのかを学んできたという。
その中で最も印象的だったことの例として、チームがどれほど勝つことに集中しているか、またトップになれなかった時にどれほど失望しているか、ということを挙げた。
「みんなが知っているように、もちろん(ウイリアムズとは)異なるものだ」とボッタスは話した。
「このことはチームのメンタリティーに由来する。なぜなら、このチームは基本的に勝ち方を知っているからだ。だから勝つことや成功することを渇望しているし、スタッフはみんな楽しそうだ。でも良い日にならなかった時は、がっかりしている」
「中団チームや大きなチームの後ろでこういうメンタリティーを持つことはとてもトリッキーだ。そういうチームでは、例えば4位とか、何度か3位になるといったような良い結果を得ることができれば、それを成功と言える」
「だからメンタリティーに由来するんだ。またメルセデスには豊富な資金があって、たくさんの人々がいる。つまりこれは、同時に様々なプロジェクトに100%集中できるということだ」
「メルセデスより小さなチームでは、何かを妥協することもあるし、しばらくの間何かに集中して、その後また別の何かに集中することもある。でももっと多くのスタッフがいてもっと多くの資金があれば、同時に様々なことに集中できるし、マシンを速くするために開発して、すべてのことを連続して機能させることもできる」
Interview by Oleg Karpov and Roberto Chinchero
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この記事について
シリーズ | F1 |
ドライバー | バルテリ ボッタス |
チーム | メルセデス |
執筆者 | Jonathan Noble |