【F1】メルセデスにとって2017年の最適なドライバーは誰か?
motorsport.comのグローバル版編集長、チャールズ・ブラッドレーが、ニコ・ロズベルグの後任ドライバーについて考察した。


















メルセデスのニコ・ロズベルグがショッキングな引退発表を行い、2017年のF1に参戦しないことが判明した時、メルセデスチームが驚きに包まれただけではなく、ドライバー市場全体にも衝撃を与えた。
数ヶ月前ならば、多くのドライバーがメルセデスのシートに名乗りを挙げただろう。例えば、ニコ・ヒュルケンベルグにとっては何年も待ち望んでいたチャンスだったが、彼はわずか数週間前にルノーへの移籍を発表していた。メルセデスは、チームのグッズの”ニコ”のところを変えずに、カーナンバー6(ロズベルグのナンバー)の上に27(ヒュルケンベルグのナンバー)を刺繍するだけで済んだのに!
もっと真剣に言えば、メルセデスはF1のコンストラクターズタイトル4連覇を目指すために、完成されたドライバーラインアップを明らかに求めている。ロズベルグとルイス・ハミルトンのペアは、いくらか頭痛を引き起こしたかもしれないが、効果的かつバランスの取れたパートナーシップだった。アイルトン・セナ/アラン・プロストや、ジル・ビルヌーブ/ディディエ・ピローニのように、爆発しない限りは。
ロズベルグが引退を突然発表した時、セバスチャン・ベッテルやフェルナンド・アロンソ、ダニエル・リカルドやマックス・フェルスタッペンといった面々が、弁護士に契約書の隅々までチェックさせたことを、私は保証できる。しかし、彼らは水密扉に閉じ込められているようだ。ドライバーが契約を破棄し、チームに迎えることはできるだろうが、スーパースターのドライバーのために主なライバルを”海賊”に変えてしまうのはメルセデスのスタイルではないと思う。
もしメルセデスが、育成ドライバーである22歳のパスカル・ウェーレインが3度のチャンピオン経験者であるハミルトンと戦う能力があると考えていない場合(もしそうならなぜ、マノーで1シーズン走らせたのだろうか)、ウイリアムズのバルテリ・ボッタスが後任の明らかな最有力候補となる。
なぜボッタスなのか?
彼は現在27歳で、ドライバーとしてのピークに達している。彼はF1で4シーズンを戦い、2014年のチャンピオンシップでトップ4に入り、77戦の出走で400ポイント以上を獲得している。彼はGP3など、ジュニアカテゴリーでもタイトルを獲得しており、彼のアプローチには、どんなチームにおいても、混乱をもたらすような火種や兆候は見られない。
同じフィンランド人のキミ・ライコネンは別として、私はボッタスほど寛大で、適応力が高く、シームレスにチームを切り替えることに適したドライバーは思いつかない。我々はボッタスの本当に良いところを、わずかしか見ることができていない。2013年のカナダでの予選(3番手)や、2014年の(オーストリア~ベルギーGPの)レース5戦中4回の表彰台獲得などだ。彼は4シーズンを過ごしたウイリアムズで、停滞するリスクを背負っている。
もちろん他の全員と同様に、ボッタスもウイリアムズと契約下にある。メルセデスがフェリペ・マッサやエステバン・グティエレス、フェリペ・ナッセやリオ・ハリアント……パストール・マルドナドといった面々との契約について言及し、ファンを楽しませているのを除けばだが。
しかしウイリアムズは、メルセデスがパワーユニットを供給している”フレンドリー”なチームであることを考えると、パワーユニットについて補助を受け、ウェーレインを代役に据えれば、十分な補填にはなるだろう(若手ドライバーが2人というのは、理想的ではないかもしれないが)。
ボッタスの契約を買い上げるには、法的に数週間の時間がかかるかもしれない。そして重要なのは裁判所での「無罪判決」のような、決定に時間がかかればかかるほど、ウェーレインがメルセデスに加入する可能性が低くなるということだ。
メルセデスはF1で9回表彰台に上がっているドライバーを迎えるだろうか? ボッタスは少し退屈な選択だろうか? ボッタスはハミルトンとの火花が散るような争いを見せてくれるだろうか? レッドブルとフェラーリがチームの態勢を整え、2017年のルール変更にうまく対処をした場合、ボッタスは落ち着いていられるだろうか?
ハミルトンが時折見せるむっとする状態になった時、チームをリードできる人間が必要なのかもしれないが、ボッタスはそういうことができると、ウイリアムズで確かに証明している。
ウイリアムズは、ボッタスの契約を買い上げるというアプローチの初期段階では抵抗するに違いない。しかしそれもある時点までだ。バルセロナやレアルマドリードといったチームが電話をしてきたサッカー選手のように、長期的な抵抗は無駄だ。契約から可能な限りのリターンを得て、前に進むべきだ。チームを出て行きたがっているドライバーに鞍を付けるべきではない。
他の選択肢は?
最初の変化球はセルジオ・ペレスだ。我々は彼がフォースインディアと契約を延長する間、彼の少しばかりの苦労話に耐えていた。契約上解決しなければならない問題が多かったのだ。ペレスの最も重要なスポンサーであるカルロス・スリムは、メキシコのスーパースターが来年のタイトルを争うマシンに乗ることに魅かれるだろうか? ペレスのフォースインディアとの契約には、通常よりも契約解消条項が多く存在しているだろうか?
ペレスのマクラーレンへの移籍はうまくいかなかったが、彼は巨大チームでレースをすることがどういうことかわかっている。しかし、フォースインディアやザウバーで以前彼が示した、印象的なタイヤの扱い方と一貫性にもかかわらず、彼はマクラーレンでの失敗で”不良品”扱いをされている。
実際、私のお気に入りのワイルドカードはカルロス・サインツJr.だ。我々は、彼が本当にポジティブな印象を与えるのを、十分に見てきた。
マックス・フェルスタッペンのレッドブル昇格を見て、10年前のマクラーレン・メルセデスで起きた、他のドライバーを押しのけてハミルトンがステップアップしてきたことを思い出した。サインツができる最善のことは、レッドブルでの昇格争いに負けたことを認めることだろう。リカルドとフェルスタッペンのコンビは、ベッテルとウェーバーの時のような走りだ。サインツはおそらく、船に飛び乗るタイミングではないか?
彼はすでにフェルスタッペンに匹敵しており、ダニール・クビアトをあしらっている。完璧な世界では、”二人目のナンバーワンドライバー”として、メルセデスがアロンソを獲得していると思うが、彼の精神的な後継者であるスペイン人のサインツはどうだろう?
結論:メルセデスの候補は誰だ?
ボッタス、ウェーレイン、ペレス、サインツの誰がベストだろうか?
私の心は、トロロッソからサインツを引き抜くことだと言っている。リカルドやフェルスタッペンをレッドブルから奪い取るのとは、大きく異なることだ。
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