【F1】メルセデス、チームオーダー見直し検討か。「今は状況が違う」
メルセデスは強力なスタートを切ったライバル、フェラーリに対抗するため、チームオーダーのアプローチを再考する可能性があることを認めた。













セバスチャン・ベッテルが第3戦バーレーンGPで今季2勝目を挙げるなど、フェラーリが強力なスタートダッシュを決めていることを受け、メルセデスはチームオーダーに対するアプローチを再考する必要があるかもしれないと考えていることを認めた。
予選でフロントロウを独占したメルセデスだったが、決勝では3番グリッドからスタートしたベッテルが見事なレース運びで逆転し、3戦で2勝目を挙げた。
昨年までの3年間F1を支配してきたメルセデスだが、今年は過去3年間とはかなり異なるタイトル争いに彼らは直面している。
圧倒的に有利なマシンを持っていたこれまでは、ふたりのドライバーを対等な立場に置いていたメルセデス。だが現在はベッテルの”脅威”と、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスがバトルすることで勝利を失うという”リスク”があるため、レースに勝つためにどちらかひとりのドライバーを優遇するという、厳しい決定をメルセデスは下さなければならないかもしれない。
バーレーンGP決勝では、最初のピットストップを行った後、ペースの上がらないボッタスに詰まっていたハミルトンをもっと早く前に出させるように”介入”すれば、ベッテルをより脅かすことができるとチームは認識していた。
それでも彼らは決断を下し、ドライバーを不公平に扱うことをなかなかしようとはしなかった。しかし結局チームオーダーは下され、レース中2度にわたってボッタスはハミルトンにポジションを明け渡した。
ところが、今回のレースでベッテルがチャンピオンシップのリードを拡大したことで、チームのこの姿勢に変化があるかもしれない。メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウルフは、これまでとは違うチームオーダーを、仕方なく下さなければならなくなる可能性を認めた。
チーム内の取り決めを変更するかどうか、尋ねられたウルフは「我々は、それ(チームオーダー)が全く好きではない」と述べた。
「我々は過去数年それをやってこなかったが、今は状況が違う。だからそれが意味することと、現在の状況を適切に分析する必要がある」
「レースのスタート時は、(ドライバーふたりに)均等なチャンスを与えたいと思っている。私は、そうする義務があると思っている。それからレースで何が起きているかを見て、オーダーを出し、2度目のオーダーも出した。なぜなら、それがレースに勝つ唯一の可能性だと、我々は感じたからだ」
ウルフは、レースが始まる前から明確に”ナンバー1”を決めるようなことはしないだろうと語った。しかしもしフェラーリを倒せるようなら、どちらかのドライバーを優先しなければならないかもしれないと示唆した。
ポールポジションを獲得したドライバーに優先権を与えるという、シンプルなルールはどうかと聞かれたウルフは、「いいや、それはあまりにも厳しい」と答えた。
「それでは、我々がこれまで何年もやってきたことと、真逆になってしまう。ふたりのドライバーに平等な機会を与え、レースをスタートさせることは重要なことだ」
「(バーレーンGP決勝で)もしバルテリがタイヤに問題を抱えながら先頭を走り、ルイスが2番手だったなら、おそらく違う決定を下しただろう。しかし実際には、その間にベッテルがいて、我々にできることは何もなかった」
「これまで、ドライバーふたりに平等な機会を与えてきたのは、それが我々のレースに対する考え方であり、哲学だったからだ。2台のマシンがフロントロウに並び、ふたりがトップと2番手を走っているなら、自由にレースをさせなければならない」
「今回のように、どちらかのマシンに問題があるときは、ふたりを入れ替えるということも考えられるだろう。しかし、フェラーリが間にいればそれはできない。今回が第3戦だし、まだそういうことはしたくない」
ハミルトンは現在、61ポイントを獲得しドライバーズランキング2位であり、ベッテルに7ポイント差をつけられている。ボッタスは38ポイントで3位となっている。
【関連ニュース】
【F1】バーレーンGP決勝:ベッテル完勝。ハミルトン追い上げ実らず
【F1】ハミルトン、ピット入り口でのペナルティは「完全に僕のミス」
【F1】逆転優勝のベッテル「メルセデスを"撹乱"させることが重要だった」
この記事について
シリーズ | F1 |
ドライバー | ルイス ハミルトン , バルテリ ボッタス |
チーム | メルセデス |
執筆者 | Jonathan Noble |