【F1】「魔法のピットストップがハミルトンを勝たせた」と語るウルフ
メルセデスの代表トト・ウルフは、ハミルトンが勝つためにはチームのストラテジストが考えた”魔法のピットストップ”が必要だったと語った。











メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウルフは、スペインGPの決勝中にバーチャルセーフティカーが出ていた際、チームのストラテジストが”魔法のコール”を発して、ルイス・ハミルトンの勝利を手助けしたと語った。
ポールポジションを獲得したハミルトンだが、2番グリッドのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)の方が蹴り出しが良く、リードを奪われてしまった。ベッテルのペースは良く、1度目のピットタイミングではハミルトンが逆転するチャンスはなかった。
しかし33周目、ストフェル・バンドーン(マクラーレン)とフェリペ・マッサ(ウイリアムズ)がターン1で接触。バンドーンのマシンがグラベルで動けなくなったため、バーチャルセーフティカー(VSC)が宣言された。
結果的に、ハミルトンはこのVSCを利用して最後のピットストップを行った。彼は36周目まで待ち、『VSCエンディング』のメッセージがタイミングモニターに現れた段階でピットレーンに向かった。グリーンフラッグが振られた時には、ハミルトンはすでに作業ボックスにマシンを止めていた。
「VSCの間、戦略チームの中で検討がなされた。ある時点では、我々はセバスチャンと反対のことをしようとしていた」とウルフは述べた。
「そしてそれから、VSCが終わろうとする時にピットストップをするという”魔法のコール”が生まれたんだ」
「セバスチャンがそれに反応し、次の周にピットストップを行った。だから、我々は完璧なタイミングだったんだ。ジェームス(ボウルズ/チーフストラテジスト)と、彼のストラテジーチームには脱帽だよ」
ベッテルは、VSCが発動する前はハミルトンに対して約8秒のリードを築いていたものの、ハミルトンに反応して1周遅れてピットインした結果、その差はほとんどなくなってしまった。
ピットアウト直後、ハミルトンと並んでターン1に進入したベッテルは、ハミルトンとわずかに接触し、なんとかリードを保った。しかしミディアムタイヤを履くベッテルは、ソフトタイヤのハミルトンを引き離すことができず、残り22周の時点でハミルトンがついにトップに立った。
ウルフは、次のように説明を付け加えた。
「レース中に通常のピットストップを行うと、多くの時間をロスする。すべてのマシンがレーススピードにいるなら、(バルセロナでは)約21秒のロスになる。時間は止まらないし、ピットレーンでは減速するからね」
「VSCの時は、トラックにいる全員がかなり遅くなるので、ピットストップのロスはかなり少なくなる。全体的な数値はわからないが、実際のロスはおそらく約12~13秒だ。だから、かなりマシだ」
ウルフは、ベッテルがハミルトンのアンダーカットを防ぐために、早めにピットインし新品のソフトタイヤを履いたことで、第1スティント終盤はハミルトンが不利な立場にいたことを認めた。ピットアウトしたベッテルは、レッドブルのダニエル・リカルドの後方でコースに復帰したが、ほぼロスなく彼をパスしたのだ。
「リカルドが彼の状況を難しくしてくれることを願っていたが、セバスチャンの方がペースがかなり良く、彼はリカルドをすぐさま追い抜いた」とウルフは語った。
「そしてそれから、我々は不利になった。できることはそう多くなかったので、スティントを伸ばすことにした。そしてレース後半で、タイヤの状況を良くしようとしたんだ」
「我々は、(ベッテルと)異なるストラテジーを採用した。それは第2スティントでミディアムタイヤを装着し、ソフトを残すことで願わくば最後に攻撃できるようにすることだった」
ベッテルとハミルトンの、ホイール・トゥ・ホイールのバトルに関し、ウルフは「まず第1に、最初の防御は素晴らしかった。おそらく少しアグレッシブだったかもしれないが、それもレースだ」とコメント。
「ベッテルはハミルトンを押し出したが、ほとんど新品のソフトタイヤを履いているというメリットがあることを、我々は知っていた。我々にはチャンスがあることを知っていたんだ」
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この記事について
シリーズ | F1 |
イベント | スペインGP |
ロケーション | サーキット・デ・カタルニア |
ドライバー | ルイス ハミルトン , セバスチャン ベッテル |
チーム | メルセデス |
執筆者 | Valentin Khorounzhiy |