【F1】戦慄のアロンソ大クラッシュ、ハロがあったらどうなっていた?
FIAは、2016年のオーストラリアGPで起きたアロンソの大クラッシュを再現し、ハロがあった場合にドライバーが脱出できていたか調査した。












コックピット保護デバイスであるハロは、昨シーズンのフリー走行やピットで非常に大規模にテストされていた。
FIAは、2017年に何らかのコックピット保護デバイスの導入を目指していたが、その第一候補であったハロに対して、視認性や脱出する際の懸念などにより一部のチームやドライバーの反対があり、導入は2018年に延期された。
昨シーズンの最も恐ろしいクラッシュは、開幕戦のオーストラリアGPで起きた。マクラーレンのフェルナンド・アロンソがエステバン・グティエレス(ハース)と接触し、高速で激しく回転しながらターン3のグラベルを通過したマシンは、ひっくり返った状態で停止した。恐ろしいアクシデントだったにもかかわらず、アロンソは自力でマシンから這い出している。
オートスポーツ・インターナショナルで行われたモータースポーツ安全研究所の講演会の中で、FIAの副レーシングディレクターでありセーフティーディレクターを務めるローレン・メキーズは、このアロンソのクラッシュがFIAの研究プログラムの一環として分析され、ハロがある状態で同様の状況が起きた場合に脱出できるかどうか調査されたと語った。
「我々はハロの研究を行っている際に、具体的にあのアクシデントを調べた」と彼は語った。
「我々はマシンがどのように着地したのかを見たが、もしドライバーが脱出する必要が生じたら何が起こるのかが大きな疑問だった」
「この疑問に対する答えはふたつある。最初の答えは、マーシャルがひっくり返ったマシンを元に戻すという標準的な手順を取ることだ」
「ドライバーが自分は動けると感じていたら、決して待つことなくマシンを降りようとすることはわかっている」
「しかし、電気的なシステムを搭載しているマシンであるということを考えれば、それは良い考えではないだろう。我々はドライバーが待つことを期待している」
「我々はフェルナンドの状況を再現するため、実際にハロを搭載したマシンに人を載せ、そのマシンをひっくり返して最悪の状況を想定した。彼にマシンから出てきてほしいと頼むと、驚くことに出てくることができたんだ」
「だから我々はフェルナンドのケースであっても、ハロはドライバーのためのスペースを損なわないと感じた。それがもうひとつの答えだ」
「我々がこの結果をドライバーたちに示したところ、彼らはマシンから脱出する際の速度に関して良い印象を抱かなかったようだが、実際にハロが導入される前に彼らはそれを試してみることになる」
ハロの開発プロジェクトは完了しているが、このデバイスがマシンに搭載されるのか、それとも別の何かが選ばれるのかはF1の有力者たち次第であるとメキーズは語った。
「我々はハロに関する非常に多くのプロジェクトを完了している」と彼は語った。
「それは我々の研究のひとつであり、最も力を注いでいたプロジェクトだった」
「工学的な面に関しては、ハロは完璧だ」
「現在、F1の出資者やドライバー、FIAやチームの間でより哲学的な議論が行なわれている。ハロがF1やシングルシーターのマシンにとって正しいのか、何かハロとは若干異なるものが必要なのかといった議論だ」
「そのため2018年の展開については、まだ進行中の段階だ」
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