F1アブダビGP決勝:王者ハミルトン貫禄の独走V。フェルスタッペンが2位表彰台
F1最終戦アブダビGPの決勝が行なわれ、メルセデスのルイス・ハミルトンが今季11勝目を挙げてシーズンを締めくくった。
Lewis Hamilton, Mercedes AMG F1 W10
Glenn Dunbar / Motorsport Images
F1世界選手権第21戦アブダビGPの決勝がヤス・マリーナ・サーキットで行なわれ、今季のワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトン(メルセデス)が独走でポールトゥウインを飾った。
2019年のF1もこれが最後のレースとなった。前日に行なわれた予選の結果からハミルトンがポールポジションを獲得し、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がフロントロウに並んだ。2列目はフェラーリ勢が占め、予選2番手のバルテリ・ボッタス(メルセデス)はパワーユニット交換により最後尾からのスタートとなった。
なお、上位陣はセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)以外ミディアムタイヤでのスタート。ソフトタイヤは性能劣化が大きいと予想されているため、グリッド11番手以下もアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)以外は全車ミディアムタイヤかハードタイヤでのスタートを選択した。
決勝レースの周回数は55周。気温27℃、路面温度31℃というコンディションでスタートした。
まずはハミルトンが危なげなく首位で1コーナーを抜けた。シャルル・ルクレール(フェラーリ)はバックストレート1本目でフェルスタッペンをかわして2番手に浮上した。
中団ではスタート直後に接触があり、レーシングポイントの2台に挟まる格好となったピエール・ガスリー(トロロッソ)がフロントウイングを失ってピットイン。大きく後退することとなってしまった。
本来3周目から使用が解禁されるDRSだが、技術的な問題が発生したことにより、全車使用できないことがレースコントロールによって通達された。これが後のレース展開に影響を与えることとなる。
ランス・ストロール(レーシングポイント)はガスリーとの接触の影響があったのか6周目に早くもピットイン。ハードタイヤに交換してコースに復帰した。
最後尾スタートのボッタスは順調に追い上げ9周目にはポイント圏内の10番手に浮上していた。しかしDRSが使用できないこともあり、9番手のセルジオ・ペレス(レーシングポイント)を数周にわたって抜きあぐねてしまった。
そんな中、首位を快走するハミルトンはただひとり1分42秒台で周回。ルクレール以下とのギャップを築いて行った。
13周目、フェラーリが2台同時にピットイン。ともにハードタイヤに交換したが、ベッテルは作業に手間取ったことでタイムをロスしてしまい、ボッタスの後ろでコースに戻る格好となった。
これにより、タイヤ交換を済ませていないニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)が4番手に。DRSが使えないこともあってか、ボッタス、ベッテル、そしてアレクサンダー・アルボン(レッドブル)はこれに引っかかる形となり、大きくタイムを失ってしまった。
18周目、ついにDRSの使用が可能となった。ボッタスがDRSを使ってヒュルケンベルグを軽々とかわすと、ヒュルケンベルグはピットに。これでソフトタイヤを履いたマシンはコース上にいなくなった。
26周目、2番手を走っていたフェルスタッペンがピットイン。これを見たトップのハミルトンも翌周にピットインし、首位をキープしたままコースに戻った。その後ハミルトンは、28周目に1分41秒070をマークしてファステストラップを更新するなど独走態勢に入った。
フェルスタッペンは無線で度々マシンの不調を訴えていたが、フレッシュなハードタイヤで2番手のルクレールに迫っていき、32周目のバックストレートでオーバーテイクすることに成功した。
ミディアムタイヤで粘りの走りを見せていたペレスが38周目にピットイン。これでタイヤ交換を済ませていないのは7番手のダニール・クビアト(トロロッソ)のみとなった。
39周目、フェラーリ勢はまたも2台揃ってピットに。ルクレールはソフトタイヤ、ベッテルはミディアムタイヤに交換した。これで上位のオーダーはハミルトン、フェルスタッペン、ルクレール、ボッタス、アルボン、ベッテルとなった。
41周目にはクビアトがついにピットイン。12番手でコースに復帰し、ミディアムタイヤで残る14周を走りきる作戦に出た。
47周目、ストロールがマシンをピットガレージに収め、このレースで初めてリタイアしたドライバーとなった。
ハミルトンは残り3周となった53周目に1分39秒283をマーク。ボッタスに塗り替えられていたファステストラップを奪い返した。そして54周目には、ハードタイヤでの周回が40周を超えたアルボンをベッテルがかわし、5番手に上がった。
最終的にハミルトンはフェルスタッペンに16.7秒もの差をつけてトップでチェッカー。今季11勝目をポールトゥウインで飾った。
2位はフェルスタッペン、3位はルクレールとなった。ボッタスは終盤にルクレールを追い上げたが、届かず4位。5位はベッテル、6位はアルボンだった。
中団勢の争いは最後まで白熱した。ミディアム→ハードというタイヤ戦略が見事にはまったペレスが7位でフィニッシュ。ランド・ノリス(マクラーレン)はハードタイヤで46周を走行したが、最後にペレスにかわされ8位となった。クビアトは9位で2ポイントを獲得し、2ストップ作戦を採ったカルロス・サインツJr.(マクラーレン)が10位に滑り込んだ。
2020年はレギュラーシートを失うため、このレースがひとまず最後のF1レースとなったヒュルケンベルグは、ミディアムタイヤを持たせながら10番手をキープしていたが、最終盤に力尽き12位に終わった。
これで21戦で競われたF1の2019年シーズンは閉幕となった。6度目のドライバーズタイトルに輝いたハミルトンは、結果的に歴代最高得点の413ポイントを獲得した。
レッドブル・ホンダは、フェルスタッペンがキャリアハイのシーズン3勝を挙げるなど、充実のシーズンとなった。トロロッソ・ホンダもクビアトとガスリーが1度ずつ表彰台に上がり、チーム史上最高成績タイのコンストラクターズランキング6位となった。
【リザルト】2019年F1第21戦アブダビGP:決勝結果
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ルイス ハミルトン | 55 | 1:34'05.715 | 26 | |||
2 | マックス フェルスタッペン | 55 | 1:34'22.487 | 16.772 | 16.772 | 18 | |
3 | シャルル ルクレール | 55 | 1:34'49.150 | 43.435 | 26.663 | 15 | |
4 | バルテリ ボッタス | 55 | 1:34'50.094 | 44.379 | 0.944 | 12 | |
5 | セバスチャン ベッテル | 55 | 1:35'10.072 | 1'04.357 | 19.978 | 10 | |
6 | アレクサンダー アルボン | 55 | 1:35'14.920 | 1'09.205 | 4.848 | 8 | |
7 | セルジオ ペレス | 54 | 1 lap | 6 | |||
8 | ランド ノリス | 54 | 1 lap | 4 | |||
9 | ダニール クビアト | 54 | 1 lap | 2 | |||
10 | カルロス サインツ Jr. | 54 | 1 lap | 1 | |||
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