F1プライベーター通信簿(4):アルファロメオ|戻ってきた”伝統”。設備活用が鍵?
元重鎮F1デザイナーであるゲイリー・アンダーソンが、2019年シーズンのプライベーターチームの戦いぶりを評価。その4回目はアルファロメオ。
写真:: Jerry Andre / Motorsport Images
2019年シーズンのF1にはビッグネームが戻ってきた。アルファロメオである。アルファロメオは、1950年の第1回F1世界選手権(イギリスGP/ヨーロッパGP)で勝利を収めたメーカー。しかもトップ3独占……4位以下を2周遅れにする、圧倒的な勝利だった。
つまりF1では、アルファロメオは”元祖”とも言える存在。F1の”歴史”とも言えるフェラーリでさえ、このアルファロメオから派生したといえるメーカーである。
そんなアルファロメオが、F1に帰ってきた。2018年までのザウバーが名称を変更し、歴史的自動車メーカーの名を纏ったのである。とはいえ、アルファロメオに投資した人々は、より大きな活躍を期待しているだろう。
ドライバーはキミ・ライコネンとアントニオ・ジョビナッツィという、ベテランと新進気鋭のコンビだった。
ライコネンの力量は疑うべくもないが、彼はフェラーリの”政治的なモノ”から抜け出せたことを喜んでいた。彼がマシンを速く走らせることを好んでいるのは、誰もが知っている。しかし、この新体制のチームを引っ張っていくつもりがあるならば、そのことにもっと力を入れる必要があるだろう。チームが苦労したのは、まさにそこだろうと考える。ライコネンは、ガレージに夜遅くまで残り、エンジニアと共に仕事をするようなドライバーではないのだ。
アルファロメオは、手にしているパッケージを最大限に活用するために、より密に仕事ができるトップドライバーと契約するべきなのかもしれない。あくまで理想的には……ではあるが。
■2019年アルファロメオの成績
最高グリッド:5位(1回)
レース最高位:4位(1回)
獲得ポイント:57(首位に対し25%/2018年は43ポイント)
表彰台:0回
私の印象では、2019年のアルファロメオは、チームがどのように機能するかという明確な考えなしに、ほとんどの週末に挑んだように見える。前進するためには、改善を施す前に現在の立ち位置を安定させ、そして理解する必要があると思う。
ドライバー別の成績を見れば、一方的な結果に終わったと言えるだろう。ライコネンはその経験を活かし、チームが常に力を注ぐべきドライバーとして、多くのポイントを獲得した。一方でジョビナッツィは、シーズンを通じて多くの苦労を経験。にも関わらず、置かれた立場の中では、適切な結果を得たようだ。新しいドライバーが自信をつける前には、こういうことが必要だ。しかも彼には、来年2回目のチャンスが与えられることになった。
■2019年アルファロメオのドライバー別成績
獲得ポイント:ライコネン43/ジョビナッツィ14
ベストグリッド:ライコネン5位(1回)/ジョビナッツィ7位(1回)
決勝最上位:ライコネン4位(1回)/ジョビナッツィ5位(1回)
アルファロメオは奇妙なチームのひとつであると言えるだろう。チームは、どんな方向性を目指しているのであろうか? 進歩への意欲があるのであれば、さらに専門的な知識を導入していく必要がある。スイスのヒンウィルには、風洞施設も含め、一流の施設が備わっている。しかし外部からは、それらの”宝物”を、最大限には活用していないように見える。
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