レッドブル”非情”人事再び。後半戦はアルボンがRB15に搭乗、ガスリーSTRへ
レッドブルは、2019年のF1シーズン後半戦の初戦となるベルギーGPから、アレクサンダー・アルボンを起用することを決断。ピエール・ガスリーはトロロッソに降格させられることになった。

レッドブルが、再びその非情とも言える人事を発動させた。今季後半戦の初戦であるベルギーGPから、アレクサンダー・アルボンをレッドブルに昇格させ、ピエール・ガスリーをトロロッソに事実上降格させるというのだ。
今季からホンダ製パワーユニットの使用を開始したレッドブルは、上々とも言えるシーズン前半を過ごした。開幕戦オーストラリアGPで表彰台を獲得すると、第9戦オーストリアGPではマックス・フェルスタッペンの手により優勝。フェルスタッペンはドイツGPでも勝利。結局チームとしては244ポイントを稼ぎ、コンストラクターズランキングではフェラーリに44ポイント差にまで迫る3番手につけている。
フェルスタッペンは前半戦全てで5位以上に入賞。前述の通り2勝、表彰台5回、1回のポールポジションも記録し、合計181ポイントを獲得。フェラーリ勢のふたりを抑えてドライバーズランキングでもメルセデスに次ぐ3番手に位置している。
しかしその一方で、今季からレッドブルに加入したガスリーは苦戦が続いている。未だ表彰台には届いておらず、獲得ポイントは合計63と、5番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)に大差をつけられているばかりか、7番手のカルロス・サインツJr.(マクラーレン)に5ポイント差まで接近されてしまっている。イギリスGPは終始トップグループを走るなど浮上の兆しを見せたが、ドイツGPではアルボンに追突、ハンガリーGPでは中団グループのマシンを抜きあぐねるなど、精彩を欠いた。
レッドブルの上層部は、そんな状況でも、シーズン中のドライバー交代は行わないと主張してきたが、一転して今回の発表に至った。
ガスリーに変わって、シーズン後半からレッドブルのマシンを走らせるのは、今季トロロッソからF1デビューを果たしたばかりのアルボンである。アルボンはここまで5回の入賞を記録し、ランキング15番手。ただ、雨のドイツGPではルイス・ハミルトン(メルセデス)にオーバーテイクを仕掛けるシーンもあるなど、光るところを見せている。
レッドブルが今回のような人事を行うのは、これが始めての事ではない。2016年には、当時レッドブルのドライバーを務めていたダニール・クビアトを序盤4戦限りでトロロッソに降格させ、代わりにフェルスタッペンをレッドブルに昇格させた。そしてフェルスタッペンは、レッドブルでの初戦となるスペインGPで勝利を手にするという離れ業を演じたのだった。
しかしフェルスタッペンは、2015年にF1デビューを果たし、その1年をフルに戦った後、2年目のシーズン途中でレッドブルに加入した。一方で今回のアルボンは、今年F1デビューを果たしたばかり。にも関わらずの昇格とは、レッドブルにとっては大抜擢だったと言うことができるだろう。
しかしアルボンにとってこの1年は、まさに激動だった。昨年の今頃、アルボンはまだFIA F2を戦っていた。そのF2をランキング3位で終えたアルボンは、当初F1昇格は不可能だと見られており、フォーミュラEの日産・e.ダムスとの契約を交わしていた。しかしダニエル・リカルドの離脱などによりドライバーが不足したレッドブル陣営(トロロッソ含む)から声がかかり、日産・e.ダムスとの契約を解除してF1デビューを果たし、そしてシーズン後半にはレッドブルに昇格……まさに階段を駆け上った感がある。
レッドブルのマシンを走らせるアルボンがどんな活躍を見せるのか、世界中から注目が集まるのは間違いない。またトロロッソに降格させられることとなったガスリーがどんな奮起を見せるのか、これにも注視したいところだ。
レッドブルは今回の人事について、来季のマックス・フェルスタッペンのチームメイトを決めるべく、アルボンのパフォーマンスを確認するためだとしている。
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