F1新車”雑感”解説:さらなる前進を目指して……マクラーレンMCL35
マクラーレンが公開した2020年用ニューマシンMCL35。トップ3チームとの差を縮めるため、いくつかのエリアが一新されている。

マクラーレンが、2020年シーズンを戦うニューマシンMCL35を発表した。
昨年はコンストラクターズランキング4位を獲得し、ここ数シーズンの不振から脱却する兆しを見せたマクラーレン。新車MCL35は、テクニカルディレクターに就任したジェームス・キーが本格的に開発を手がけた最初のマシンだ。
チームはトップ3チームとの差を縮め、中団争いから抜け出すべく、前年型のMCL34と比べ、マシンのいくつかのエリアを一新している。
MCL35のフロントエンドは、ノーズとフロントサスペンションが変更されている。

McLaren MCL35
Photo by: McLaren
2018年のMCL33から、フロントノーズ先端部に複雑な開口部を設けていたマクラーレン。MCL35のノーズはこれまでと同じくバルクヘッドよりも幅が狭いナローノーズだが、より幅が狭く先端部の開口部はなくなっている。
ノーズ背面には、地面と平行な板状のパーツ=ケープが取り付けられている。これはフロントウイングのステーと一体となっており、後方に伸びている。このデザインは、同じくケープを採用している他のチームでは見られない処理だ。ステーには3つのスロットが開いており、気流をフロア下へ送っている。
フロントサスペンションは、アップライトにエクステンションが設けられ、サスペンションアームとの結合点が持ち上げられている。チームは同様のソリューションを昨年ベルギーGPでテスト済み。ジェームス・キーが同様のサスペンションを2017年から使用しているトロロッソ出身であることを考えると、驚きではないだろう。
ノーズとサスペンションのアップデートはどちらも、フロントからリヤに向けて流れる気流の改善を狙ったものだと考えられる。上に持ち上げられたサスペンションのロワアームはウイング形状に成型されており、バージボード上部に搭載されたブーメラン状のパーツも同じ高さとなっている。
フロントウイング自体は昨年と同じく”アウトウォッシュ型”。ただ、このエリアは開幕までに大きく変化する可能性が高い。

McLaren MCL35 detail
Photo by: McLaren
インダクションボックスは大きく形状が変化し、”電球”型とも言えるような形だ。ここから得られた気流は、エンジンの燃焼用に活用されるのはもちろん、ラジエーターやクーラーなど冷却系も活かされるため、6区画に分けられている。ハロに干渉して流れてきた空気をうまく取り込むためか、ドライバーのヘルメットを覆うようにやや前に張り出してもいる。
どうやら、一部の冷却部品がサイドポッドからエンジンカバーの下に移動されたようだ。その分、よりタイトに絞り込まれているが、エンジンカバー自体は大きくなっている。これも、フロントからリヤへとうまく空気を流そうとした結果の変更だろう。
リヤウイングやフロア、バージボードエリア、ディフューザーは昨年に使われていたものとほぼ同じパーツが搭載されている。テストや開幕戦では、これらのパーツにも変化が見られるはずだ。
常勝チーム復活を目指すマクラーレン。昨年抱えていた弱点が解消されれば、2012年最終戦以来の優勝も不可能ではないかもしれない。
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