【日本人F1ドライバーの系譜】美しきF1マシン:3人の日本人ドライバーが走らせた……ティレル020
2021年、角田裕毅が7年ぶりに日本人ドライバーとしてF1に挑む。しかし以前の日本人スターたちも、我々を興奮させてくれた。日本人最初のF1レギュラードライバー中嶋悟は、その火付け役。彼にとって最後のF1マシンが、ティレル020であり、このマシンは実に3人の日本人ドライバーがドライブすることになった。
2020年、FIA F2参戦初年度ながら、ランキング3位でシーズンを終えた角田裕毅。その活躍により、彼は2021年のアルファタウリ・ホンダのシートを手にし、F1デビューを果たすことになった。彼の活躍には、大きな期待が集まっている。
しかしこれまでの日本人F1ドライバーたちも、日本のF1ファンを興奮させ、魅了してきた。彼ら歴代の日本人F1ドライバーに関する記事をピックアップ。ここに再度掲載する……。
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現在のF1に通ずるハイノーズ、その始祖と言えるのが、1990年にティレルが走らせた019である。このティレル019はジャン・アレジと中嶋悟が駆り、印象的なシーンを幾度も見せた。今も名車として語り継がれる1台である。
そしてこの019の後継である020は、特異な経歴を持つ1台と言ってもいいだろう。
019から引き継がれた、アンヘドラルウイングと呼ばれるハの字型のフロントウイング。ノーズも高く持ち上げられ、フロア下に乱れの少ない気流を送り込み、ダウンフォースの増加を目指した。キープコンセプトと言うことができよう。そこに、前年までのコスワースDFRに代わってホンダV10を搭載。このホンダV10は、前年マクラーレンが使いチャンピオンを獲得した際のエンジンの発展形であり、そのパッケージには開幕前から期待が集まった。
開幕戦アメリカGPでは、ステファノ・モデナと中嶋悟がダブル入賞。モナコではモデナが予選2位となり、カナダではやはりモデナが2位表彰台を手にした。ただその後は日本GPでモデナが6位に入っただけ。当初の期待とは裏腹に、新チームのジョーダンに先行され、ランキング6位でシーズンを終えた。
不振の原因は、パッケージとして見た場合にホンダV10では重すぎたことや、履いたピレリタイヤのパフォーマンス不足などと言われていた。
【ギャラリー】ティレル020・ホンダ
ただこの020はこれだけでは終わらなかった。チームは翌年も改良版シャシー020Bを使用。カラーリングを一新し、イルモアのV10エンジンを搭載した。この1992年、アンドレア・デ・チェザリスとオリビエ・グレイヤールのコンビで戦い、グレイヤールこそ無得点だったものの、チェザリスが4度の入賞を果たし、前年同様のランキング6位となった。
【ギャラリー】ティレル020B・イルモア
それだけではない、チームは翌1993年にもこのシャシーを使ったのだ。ドライバーにはグレイヤールに代わって、F1で2年目のシーズンを迎えた片山右京が加入。エンジンもヤマハのV10を搭載した。しかし2年型落ちのマシン。片山曰く、この年に走らせたマシンのモノコックは、中嶋が1991年に使ったモノコックそのものであり、マシンの剛性も既に不足していたという。当然戦闘力は芳しくなく、1度の入賞も果たすことはできなかった。
第9戦イギリスGPからは新型マシン021が投入されたが、このマシンも戦闘力は低く、結局1993年のティレルは無得点だった。
【ギャラリー】ティレル020C・ヤマハ
ただ1990年代以降で、3年にもわたって使われたマシンは、他にあまり例を見ない。しかもこの間、020はホンダV10、イルモアV10、ヤマハV10と3種類のエンジンを搭載。無限ホンダV10のテストに使われたこともあった。またタイヤもピレリ、グッドイヤー、グッドイヤーのナロータイヤ、ブリヂストン (無限ホンダのテスト時)と4種類も履いているというのも特筆すべき部分だろう。
そして何より、1991年には中嶋、1993年には片山、そして無限ホンダV10のテストでは鈴木亜久里がステアリングを握っている。これまで多くのF1マシンが登場してきたが、3人の日本人ドライバーが走らせたマシンは少ない。
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