F1イタリアGP決勝戦略予測:高速モンツァは1ストップで走り切る? ルノーのペースに注目
まもなく決勝レースのスタート時刻を迎えるF1第8戦イタリアGP。各チームはこのレースをどう戦うのか? その一端を予測する。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
まもなく決勝レースのスタートを迎える、2020年のF1イタリアGP。舞台となるサーキット・ナツィオナーレ・ディ・モンツァは、世界屈指の高速サーキットとして知られる。さて、どんな結末が待っているのか?
金曜日のフリー走行2回目では、各車が精力的にロングランを実施。ここから、様々な情報が見て取れる。
まずピットストップ戦略がどうなるか……という点だが、1ストップ戦略が主流になると思われる。
その理由のひとつ目は、いずれのタイヤもデグラデーション(性能劣化)が小さいことが挙げられる。当方の計算では、ソフトタイヤのデグラデーション値は1周あたり平均0.046秒。ミディアムは0.005秒、ハードは0.003秒となっている(いずれも金曜日のフリー走行2回目から算出)。ソフトとミディアムのペース差は0.6秒程度だと想定されており、このデグラデーション値で計算すると、ラップタイムが逆転するには15周程度を要する。今回のレースは53周のレースであるから、20周以上をソフトタイヤで走り切れれば、残りをミディアムもしくはハードで走り切ることは十分可能だと思われる。
また、ピットストップでのロスタイムが大きいことも、1ストップでレースを走り切りたい理由のひとつと言えるだろう。モンツァは超高速。メインストレートでは、330km/hを記録する。そのメインストレートと並行するように設けられているピットレーンは80km/h……その差は250km/h以上であり、その分ピットストップを行なえば、大きなタイムロスとなる。義務付けられている1回以外のストップは、極力避けたいところだろう。
以上のことから考えると、ソフトタイヤを使った1ストップ戦略が主流となりそうだ。全車が新品のミディアム&ソフトを1セットずつ残しているため、ソフトでどこまで走れるかを見極め、交換せざるを得なくなった段階での残り周回数に応じて、ミディアムに交換するのか、ハードに交換するのを判断することになろう。
さてこの金曜日のロングランを見ても、やはり今季最強のメルセデス勢の優位は変わらないようだ。しかし、それ以降の勢力図には、多少変化の兆しが見える。
ソフトタイヤでの速さでメルセデスに続くのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンだった。しかし、ミディアムタイヤで速さを見せたのは、ルノーの2台。ダニエル・リカルドとエステバン・オコンは、揃ってミディアムタイヤで速さを見せた。ここから考えれば、予選で速さを見せたのはマクラーレンやレーシングポイントだったが、ルノーの逆転劇があってもおかしくはなく、ここまで6戦連続で表彰台を獲得しているフェルスタッペンをその座から引き摺り下ろしても不思議ではない。
とはいえ、レッドブルもロングランでは好調。メルセデスはデグラデーションの面で若干の不安があるものの、ペース自体は飛び抜けているため、マネジメントは可能なのではないかと思われる。
メルセデス、レッドブル、ルノーに続くのは、レーシングポイント。中でも特に、セルジオ・ペレスが安定した速さを見せた。今季はチームメイトに匹敵する速さを見せているランス・ストロールは、今回は若干の差をつけられている印象だ。
予選で他車とはアタックのタイミングを変え、3番手と大躍進を遂げたマクラーレンのカルロス・サインツJr.。チームメイトのランド・ノリスも6番手と上位につけた。ただレースペースは上に挙げたチームの次という印象。スタート後は、グリッドポジションをどこまで守ることができるかというところが、彼らにとってはかなり重要になってきそうだ。ただ、それほど簡単な戦いにはならないかもしれない。
ロングランペースでは、そのマクラーレンと同等の位置にいるのがアルファタウリ・ホンダだ。予選のポジションが離れているため、逆転は難しいかもしれないが……11番グリッドのダニール・クビアトはスタート時に履くタイヤを自由に選ぶことができるため、これをうまく活かして上位進出を狙うことができるかもしれない。
F1イタリアGPの決勝レースは、日本時間の9月6日(日)22時10分スタート予定だ。
F1イタリアGPの各種データ
■タイヤのデグラデーション値
ソフトタイヤ:0.046秒/周
ミディアムタイヤ:0.005秒/周
ハードタイヤ:0.003秒/周
■ピットストップのロスタイム
24秒前後(最速23秒)
■タイヤの性能差
ソフト←(0.6秒)→ミディアム←(0.4秒)→ハード
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