ガスリーの今季にかける強い想い……ホンダ山本MD「日本のドライバーにも励みになった」
アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが勝利を手にしたF1イタリアGPを振り返り、ホンダの山本雅史F1マネージングディレクターが、オンラインでの記者会見に応じた。
写真:: Glenn Dunbar / Motorsport Images
大波乱の展開となった2020年のF1イタリアGP。そんなレースで勝利を収めたのは、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーだった。
ホンダにとっては今季2勝目。しかしアルファタウリとは、旧称トロロッソ時代も含めて初めての勝利。しかも共に戦い始めてから50戦目という節目のレースで、歓喜の瞬間が訪れた。
「ホンダがF1に復帰し、マクラーレンと厳しく、良い経験をさせてもらった後、(アルファタウリのチーム代表であるフランツ)トストさんが迎え入れてくれて、我々の知らないことがたくさんある中、非常にオープンに接してくれました。そんな彼らとの50戦目に勝てて、非常に嬉しく思います」
ホンダの山本雅史F1マネージングディレクターは、レース後にオンラインで行なわれた記者会見でそう語った。
「しかも、ポディウムで”アルファタウリ・ホンダ”って言ってくれるのが、またひとしおなんですよね。レッドブルとは何度か勝ってますけど、そこではホンダの名称は出てこない。ですから、特別なモノがあります。嬉しい限りです」
イタリアはアルファタウリにとっては母国である。今年はそのイタリアで、今回のモンツァでのレースを含め、3戦の開催が予定されている。トスト代表は、この3戦で好結果を目指すと、チームを鼓舞していたのだという。
「私はレッドブルのバブルの中にいるので、アルファタウリの会議に出ることはできません。でも今週金曜日の会議でトストさんが、このイタリアでの3戦は、是が非でも上位に行こうとスタッフに言ったと、土曜日に聞かされました」
「我々との50戦目記念のステッカーもマシンに貼ってくれましたし、私にとってはいろんな想いがあって嬉しいです」
「ガスリーの頑張りはもちろんですが、チームの判断だったり、ピットの速さだったり、チームの総合力の勝利だと思っています。良い判断をして、良い展開を引き込んでこないと、今のレースは勝てないと思います。そういう意味では、ピットのタイミングが良かったということは非常に良い判断だった」
「アルファタウリ・ホンダという名前を付けてもらっている以上、こちらのチームに対する想いも強いんです。いつかこっちでも勝つという想いでずっとやってきました。だからレッドブルで勝つこととは違う想いがあって、とても嬉しく思っています」
「社長の八郷(隆弘)からも、『アルファタウリと勝てたのが本当に嬉しい』と何通もメールが来てます。とても嬉しいですね」
なお今シーズンに懸けるガスリーの意気込みの高さを、開幕前から感じていたと山本マネージングディレクターは言う。
「本来開幕戦の予定だったオーストラリアGPの際、彼と話をして、『ホンダとしても力を入れてやっていくので、君も頑張って欲しい』と言いました。その時感じたのは、彼の身体がすごく引き締まっていたんです。そして彼の目……強いモノを感じました。その日の夜には『僕は今年に懸けているんだ』と改めてメッセージで送ってきてくれて、去年とは違う思いで挑んでいるというのが伝わってきました」
「その後も、会う度に少しずつ強くなってきているのを感じました。今年の4人のドライバーの中では、彼が一番ポジティブだし、前進するぞという想いが強かったですかね。もちろんみんなあるんですけど、強さで言うと一番高いかもしれない。そういう意味では、一番努力した人が良い結果をもらったというように思っています。それも含めて嬉しいです」
「彼がスーパーフォーミュラに参戦していた時、最終戦が台風で中止になってしまって、僅差でチャンピオンが獲れなかったということがありました。そういうこともあり、日本人にとってもガスリーは印象に残っていると思います。そして、日本でバトルをしていたドライバーが、F1に行って勝った。そういう意味では、今回の勝利はSRS(鈴鹿サーキット・レーシングスクール)の生徒も含め、日本のドライバーにとっては励みになると思います」
「ホンダとの付き合いが長いドライバーが、F1デビューして3年目で、初優勝する……頂点を目指す若いドライバーたちにとっては励みになるので、良かったと思います」
ガスリーが打ち勝った相手、それは奇しくもマクラーレンだった。マクラーレンは、ホンダがF1に復帰するにあたって、最初に組んだチーム。しかし、良い結果を残すことなく、袂を分かった経緯がある。
「マクラーレンに勝ったのは、率直に嬉しいです。彼らと喧嘩したわけではないですが、ホンダ全体で言えばマクラーレンに負けたら悔しいと思う人の方が多いだろうから、そういう意味では素直に、サインツに抜かれなくて良かったなと思います」
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