F1アゼルバイジャンGP決勝:残り5周のまさか……レッドブル・ホンダ初ワンツー幻も、ペレスが優勝。角田裕毅は自己最高7位
F1アゼルバイジャンGPの決勝レースが行なわれ、レッドブル・ホンダのセルジオ・ペレスが優勝した。角田裕毅はキャリア最高の7位でフィニッシュした。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
F1第6戦アゼルバイジャンGPの決勝レースがバクー市街地コースで行なわれた。優勝したのはセルジオ・ペレスで、レッドブル・ホンダ移籍後初、キャリア2度目となる勝利を挙げた。
ここまで5レースを終え、マックス・フェルスタッペンとレッドブル・ホンダが初めての選手権リーダーとなった2021年のF1。第6戦の舞台は高速区間と低速区間の入り混じったバクー市街地コースだ。
予選では赤旗が4度も掲出される波乱のセッションとなり、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が2戦連続のポールポジションを獲得。トラブルによってスタートできなかった前戦モナコGPのリベンジを期した。2番グリッドは走行初日の不振から立ち直ったルイス・ハミルトン(メルセデス)で、フェルスタッペンは3番手から逆転を目指した。角田裕毅(アルファタウリ)はバクー初体験ながら今季初となるQ3進出を果たし、自己最高の予選8番手を獲得。ランド・ノリス(マクラーレン)のペナルティにより7番グリッド発進となった。なお、スタートタイヤはトップ10はじめ大半がソフトを選択した。
気温25℃、路面温度40℃というコンディションで51周のレースがスタート。ルクレール、ハミルトン、フェルスタッペンというトップ3のオーダーは変わらず、大きな混乱なくオープニングラップが終了した。しかし3周目のターン1への飛び込みでハミルトンがルクレールをオーバーテイクし、早くも首位が交代すると、7周目にはフェルスタッペンもルクレールを攻略してハミルトン追撃態勢に入った。
レースペースの上がらないルクレールはセルジオ・ペレス(レッドブル)にも交わされ、ハミルトンをレッドブルの2台が追い立てる展開となった。ハミルトンが11周目にピットインしてハードタイヤに交換すると、レッドブル勢は猛プッシュを開始。12周目にフェルスタッペンがピットインしてハミルトンの前でコース復帰を果たしただけでなく、13周目に入ったペレスもハミルトンの前で復帰した。ステイアウトを続けて首位に立っていたセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)が18周目にピットインすると、レッドブル・ホンダのワンツー体制が出来上がった。
31周目、ハードタイヤスタートでステイアウトし4番手を走行していたランス・ストロール(アストンマーチン)が、ホームストレート上で突然挙動を乱してクラッシュ。映像では左リヤタイヤの内圧が下がっているのが確認でき、本人も無線でパンクが発生したと話していた。これによりセーフティカー出動となり、フェルスタッペンとペレスの7秒のギャップ、ペレスとハミルトンの2秒のギャップはリセットとなった。
レースは36周目から再開。レッドブル・ホンダの2台は順位をキープして少しずつハミルトンとのギャップを広げていった。その後ろでは、6番手でリスタートを迎えたベッテルが、ルクレール、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)を立て続けに交わして4番手に浮上した。角田はルクレールの後ろ7番手だ。
これでレッドブル・ホンダのワンツーは堅いか……と思われた46周目のメインストレート、フェルスタッペンがコントロールを乱してクラッシュ。ストロールと極めて近いシチュエーションでのアクシデントであり、マシンを降りたフェルスタッペンは、パンクしている左リヤタイヤを強く蹴り上げた。
この事故によりセーフティカーが出動したが、程なくしてレースは赤旗中断となった。この時点で残り周回数は3周となっていたが、F1側はレースの再開を決定し、スタンディングスタートによる2周の超スプリントレースが行なわれることとなった。上位のオーダーはペレス、ハミルトン、ベッテル、ガスリー、ルクレール、そして角田だ。
運命のリスタート。スタートを決めたハミルトンはペレスの前でターン1に進入したかに見えたが、痛恨のロックアップ。ターン1の退避路に吸い込まれる格好となり、優勝争いはここで決した。ペレスはそのまま逃げ切りトップチェッカーを受け、昨年のサクヒールGP以来2度目、レッドブル移籍後は初となる勝利を手にした。
2位はベッテル。シーズン序盤は苦戦していたベッテルだったが、今回のレースでは上位陣に匹敵するレースペースを見せ、チームにとってアストンマーチン改称後初となる表彰台をもたらした。3位はガスリーで、優勝した昨年のイタリアGP以来となる表彰台を獲得した。
4番手以下の争いは白熱した。ハミルトンのコースオフで一瞬5番手に上がった角田だったが、ノリスとフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)に立て続けにオーバーテイクを許してしまった。ノリスはルクレールを追い立てたが届かず、ルクレール4位、ノリス5位、アロンソ6位と続き、角田は7位でフィニッシュした。角田にとっては開幕戦以来2度目の入賞で、自己最高順位だ。以下カルロス・サインツJr.(フェラーリ)、ダニエル・リカルド(マクラーレン)、キミ・ライコネン(アルファロメオ)までが入賞。バルテリ・ボッタス(メルセデス)は終始ペースが上がらず12位で、コースオフのハミルトンは15位に終わった。つまり、メルセデスはノーポイントでアゼルバイジャンGPを終えてしまうこととなった。
これにより、ドライバーズランキングのリーダーは変わらずフェルスタッペン。優勝のペレスがハミルトンに次ぐ3番手に浮上した。また、コンストラクターズ選手権ではレッドブルがメルセデスとの差を26点に広げた。
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | セルジオ ペレス | 51 | - | 25 | |||
2 | セバスチャン ベッテル | 51 | 1.385 | 1.385 | 1.385 | 18 | |
3 | ピエール ガスリー | 51 | 2.762 | 2.762 | 1.377 | 15 | |
4 | シャルル ルクレール | 51 | 3.828 | 3.828 | 1.066 | 12 | |
5 | ランド ノリス | 51 | 4.754 | 4.754 | 0.926 | 10 | |
6 | フェルナンド アロンソ | 51 | 6.382 | 6.382 | 1.628 | 8 | |
7 | 角田 裕毅 | 51 | 6.624 | 6.624 | 0.242 | 6 | |
8 | カルロス サインツ Jr. | 51 | 7.709 | 7.709 | 1.085 | 4 | |
9 | ダニエル リカルド | 51 | 8.874 | 8.874 | 1.165 | 2 | |
10 | キミ ライコネン | 51 | 9.576 | 9.576 | 0.702 | 1 | |
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