空力開発ハンデの影響を最も受けるメルセデス「我々はそれに適応しようとした」

2021年から施行される空力開発ハンデ。その影響を最も大きく受けるメルセデスは、実験を効率化することで、その影響を軽減させようとしている。

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空力開発ハンデの影響を最も受けるメルセデス「我々はそれに適応しようとした」

 2021年から施行される、いわゆる”空力開発ハンデキャップ”。これはF1の勢力図に、実際にはどんな影響を及ぼすことになるのだろうか?

 2020年にコンストラクターズチャンピオンに輝いたメルセデスと、同2位のレッドブルの間には、空力開発に充てられる”量”に2.5%の差が設けられる。この2.5%という数字は、6月30日にリセットされる前半3つのATP(空力試験期間)で、6時間の風洞稼働時間、もしくは24回の風洞実施回数の差が生じるということになる。

 これは、レッドブルにとっては、メルセデスに対する有益なアドバンテージではあるが、必ずしもパフォーマンス上の差を生むとは言い切れない部分がある。これは、他のチーム間に設けられる2.5%の差についても同様だ。

 それ以上に興味深いのは、昨年のランキングが隣接するチーム間ではなく、より多く離れたチームとの効果の違いである。そういう側面で最も興味深いのは、昨年ランキング6位に終わったフェラーリが、これを使ってどれほど戦闘力を向上させることになるのか……ということだ。

 以下の表は、フェラーリの空力開発量を、トップ5チームと比較したものだ。

チーム 風洞実験稼働回数 風洞稼働時間
メルセデス 864 216
レッドブル 888 222
マクラーレン 912 228
アストンマーチン 936 234
アルピーヌ 960 240
フェラーリ 984 246

 フェラーリとメルセデスの間には、120回の実験回数、そして30時間という稼働時間の差が生じることになる。効果的にこれを使えば、計り知れない価値を生み出す可能性がある。

 6月30日にこの数字はリセットされ、その時点でのランキング順でシーズン後半の空力開発時間がそれぞれ定められることになる。もしこの時点でフェラーリがランキング6位よりも上になっていれば、シーズン後半の優位性は低くなることになる。

 この後半の空力稼働時間は、実は非常に重要になる。シーズン後半は、翌年用マシンの開発が本格化するのが常。しかも2022年は新たなレギュレーションが導入されるため、その重要度は例年以上になるのだ。

 全てのチームは、2021年用マシンのアップデートと2022年用マシンの開発を同時に並行して行なわねばならない。そのため、ふたつのプロジェクトの間で、限られた風洞とCFD(コンピューター流体解析)のリソースをどう振り分けるのか、それを決定する必要があるのだ。つまりこの稼働時間は、今まで以上に貴重だと言うことができよう。

 最も厳しい制限が課されるチームは、リソース振り分けに特に集中しなければならないため、特に困難に直面することになる。

 メルセデスのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンは、「昨年は幸運だった」と先日語った。

「残念ながら2021年以降は、基本的な部分である風洞とCFDの使用量が制限されるため、その代償を支払うことになるだろう」

「我々にとっての課題は、この新たな規制に最もポジティブな方法でどう対応するかということだった。どうすれば、制限が課されても躓かないで済むだろうか」

「以前ほど多く風洞とCFDを使えないのなら、その限られた機会の中でできるだけ多くのことを得られるように、どう適応するかどういう課題もあった」

「風洞を使えるのが1回限りであるならば、それを可能な限り価値があるモノにしようと考えたのだ」

「CFDを使える時間が限られているのなら、CFDでの計算の方法とそのアプローチを、できる限り価値のあるものになるようにしようと考えたのだ」

「これに、我々は適応しようとした。それによって、稼働時間が削減されることの影響を軽減し、そしてうまく行けば完全に相殺することもできるはずだ」

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シリーズ F1
執筆者 Adam Cooper