【F1分析】やっぱりレッドブルが決勝でも強い?|バーレーンGPのFP2、ロングランペース検証
F1バーレーンGPのFP2のロングランペースを分析。その結果、やはり決勝でもレッドブル勢が速そうだというデータが見て取れる。またデビュー戦の角田裕毅のペースも、十分に期待が持てると言えそうだ。
写真:: Glenn Dunbar / Motorsport Images
2021年のF1が、バーレーンでついに開幕。初日のセッションが行なわれた。そのフリー走行1回目と2回目で速さを見せたのは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。いずれのセッションでもトップタイムを記録し、前評判通りの結果となった。また今季F1デビューとなる角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)も、FP2で7番手となる好タイムを記録。予選・決勝に向けた期待が高まっている。
ただ今のF1で好結果を手にするためには、長い距離をいかに安定して走り切るかが重要。その指標となるのが、FP2で各チームが行なうロングランだ。ただ今季からはFP2の時間が60分に削減(昨年までは90分間)されており、各チーム慌ただしくプログラムをこなした。
しかしそんな中でも、クラッシュを喫したキミ・ライコネン(アルファロメオ)を除く全ドライバーがロングランを実施。各チームの”レースでのパフォーマンス”を予測することができた。
多くのマシンが、今回持ち込まれている3種類のタイヤのうち、中間とも言えるミディアムタイヤでのロングランを実施した。ここから推測するに、決勝に向けてはミディアムタイヤを主体とした作戦を立案するチームが多いだろうと思われる。
そのミディアムタイヤで最も力強い走りを披露したのは、やはりレッドブルだ。フェルスタッペンは1分36秒台でロングランをスタートさせると、その後デグラデーション(タイヤの性能劣化による影響)の傾向を示しつつ、1分37秒台から1分38秒1程度までペースダウンした。デグラデーションの値は、計算上では1周あたり0.190秒である。
ただペースダウンしたとはいえ、この1分38秒1というラップタイムでも、他のほとんどのチームのロングラン時の最速タイムと遜色ないもの。上位を争うのは必至と思われる。
チームメイトであり、レッドブル新加入のセルジオ・ペレスもやはりミディアムでロングランを実施。走り出しこそフェルスタッペンより0.5秒ほど遅いラップタイムだったがデグラデーションは小さく、最終的には1分38秒台前半に落ち着いている。
つまりレッドブルは2台揃って、決勝で上位のペースを発揮するのは間違いないはず。あとはペレスも自分自身で語っている通り、予選で好ポジションを獲得できるかどうか……というところが重要になろう。
最大のライバルと目されるメルセデス勢は、少し心配な傾向も見える。ルイス・ハミルトンは走り出しこそフェルスタッペンと同レベルだが、その後のデグラデーションは比較的大きく(計算上は0.326秒/周)、最終的には1分38秒8までペースを落としてしまっている。ハミルトンはそこで走行を切り上げてしまったため、その先ペースが戻るのか、安定するのか、それとももっと落ちていくのかは分からないが、もしペースが戻ることがないのであれば、後方集団に脅かされる可能性もある。
チームメイトのバルテリ・ボッタスに至っては、低いレベルのペースに終始し、完全に後方集団に呑み込まれてしまっている状況だ。メルセデスは、マシンの挙動こそテスト時に比べて安定してきたかのように見えたが、特に決勝に向けて不安な傾向も見て取れる。
印象的な走りを見せたのが角田だ。角田もミディアムタイヤを履き、1分36秒8でロングランをスタート。その後1分38秒台後半から1分39秒台までペースを落とすが、8周目には1分37秒9にまで回復させている。もちろん、燃料搭載量がどうなっていたのかは分からないが、ロングラン8周目での1分37秒台後半というペースは、フェルスタッペンと遜色ないもの。決勝に向けて実に楽しみな結果となった。
なお角田のチームメイトであるピエール・ガスリーは、ソフトタイヤでのロングランを実施。1分37秒1で走行をスタートさせ、2周後には1分38秒5までペースを落とした。ただその後は、1分38秒5前後にラップタイムをまとめ、5周連続で走行。つまりデグラデーションに”下げ止まり”の傾向が見てとれた。これがタイヤの特性によるものなのか、ガスリーのタイヤマネジメントの賜物なのかは現時点では不明ながら、こちらも角田同様頼もしいペースであると言えるだろう。
その次に注目したいのはマクラーレンとフェラーリである。この2チームはロングランでの絶対的な速さこそレッドブル、メルセデス、アルファタウリに次ぐ3番手という位置付けだが、その安定感、デグラデーションの小ささは目を見張るものがある。
マクラーレンのノリスは、ロングラン時の最速タイムは1分37秒9ながら、最も遅いタイムは1分38秒4と、実に安定している。フェラーリ新加入のカルロス・サインツJr.も、1分38秒3〜1分38秒6の間にタイムを揃えた。予選で上位進出とはならなくても、決勝ではこの2チームも強力である。
アストンマーチンとアルピーヌは、FP2を見る限りではロングランのペース面でもデグラデーションの面でも、フェラーリやマクラーレンの後方という位置付けだろうか? またウイリアムズとハースは、さらにその後ろといった印象であるが、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)はソフトタイヤでのロングランで、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に匹敵するペースを披露しており、判断まではもう少し待ちたいところだ。
なおアルファロメオについては、ライコネンはロングランを行なうことができず、チームメイトのアントニオ・ジョビナッツィはハードタイヤでのロングランを行なったため、他との比較が難しい状況である。
F1バーレーンGPは、土曜日にFP3と予選が行なわれ、決勝は日曜日(3月28日)に行なわれる。今季の勢力図は、まもなく明らかになるはずだ。
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