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【F1分析:バーレーンGP決勝】ハミルトンの秀逸すぎるタイヤマネジメント……絶体絶命の状況を打破

下馬評を覆し、2021年のF1開幕戦バーレーンGPを制したルイス・ハミルトン。決勝レースのペースを分析してみると、彼の抜群なタイヤマネジメント術が見えてきた。

Lewis Hamilton, Mercedes, 1st position, celebrates on arrival in Parc Ferme

写真:: Andy Hone / Motorsport Images

 2021年のF1開幕戦バーレーンGP。勝利を手にしたのは、メルセデスのルイス・ハミルトンだった。

 下馬評では、ポールポジションを獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが圧倒的に有利である……そんな見方が強かった。しかし蓋を開けて見れば、ハミルトンが激戦を制し、トップチェッカーを受ける結果に終わった。

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 フリー走行のデータを分析すれば、ペースのみならず、デグラデーション(タイヤの性能劣化)の面でも、メルセデスはレッドブルに対して分が悪かった。つまりメルセデスとしては”絶体絶命”とも言える状況。そのためか、メルセデスは決勝レースに向け新品のハードタイヤを2セット温存。レッドブルのフェルスタッペンはハードとミディアムをそれぞれ1セットずつ新品として残し、決勝レースを迎えた。

 その決勝レースでハミルトンは、ミディアム-ハード-ハードと繋ぐ戦略を遂行。対するフェルスタッペンはミディアム-ミディアム-ハードと繋いだ。しかもハミルトンは、ハードタイヤを履いた2スティント目を短く終え、28周目で2回目のストップを実施……つまり最後のハードタイヤで、28周という超ロングスティントを走ったわけだ。

 この時チームは、早めにピットストップを行なった理由について無線で「フェルスタッペンにアンダーカットされるの可能があるため」と説明していた。しかしあまりにもタイミングが早すぎる……当時はそう思った人も多かったのではないか。これでは最後にもう一度タイヤを交換する3ストップも避けられないだろう……と。

 1回目のタイヤ交換明けと同じように走り出していたら、ハミルトンのタイヤはおそらく最後までもたず、もう一度ピットストップをするか、あるいはコース上で抜かれるかして、フェルスタッペンに勝利を献上していたはずだ。しかしハミルトンはそうさせなかった。

 レース中のラップタイム推移(ページ下部に記載)を見ると、2回目のタイヤ交換を行なった後、実に慎重に走り出しているのが分かる。1回目のピットストップでハードタイヤを履いた直後のラップタイムは1分34秒057(15周目)だったのに対し、2回目のピットストップ直後のペースは1分34秒365(30周目)……通常なら、燃料を消費しマシンが軽くなっている状態であるため、ラップタイムは上がって当然。しかしハミルトンはプッシュせず、最後までタイヤのライフをもたせることに集中したのだ。

 これが功を奏し、ハミルトンは1分34秒台のラップタイムをずーっと並べ、チェッカーまで駆け抜けた。

 対するフェルスタッペンは、2回目のタイヤ交換を終えてハードタイヤを履いた後、1分33秒228(41周目)という驚異的なペースで、先行するハミルトンを追った。これでハミルトンに追いつきはしたものの、デグラデーションが生じてしまっており、追いついた時には当時履いていたタイヤの走行距離が短いというアドバンテージは消滅……ハミルトンを攻略するチャンスは一度しかなかった。しかしそのチャンスは、コース外に出てしまったことで消滅。もう彼に余力は残っていなかった。

 様々な観点から、今回のグランプリはレッドブル+フェルスタッペンが圧倒的有利であったはずだ。しかしハミルトン+メルセデスが完璧な頭脳プレーを成功させ、勝利をもぎ取った。そんなレースだったと言えるだろう。

 ただこれはたらればではあるが、もしレッドブルのもう1台、セルジオ・ペレスが上位を走っていれば、ハミルトンが今回のような戦略を実施するのは簡単ではなかったはずだ。ペレスは予選での失敗、そしてフォーメーションラップでトラブルに見舞われたことで、後方からのレースを強いられ、上位争いには加われなかった。

 ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも、次のように語っている。

「ペレス選手が下がってしまったこともあり、敵(メルセデス)は2台で作戦を分けることができる。2対1の対決になってしまったことで、ポールポジションは獲ったものの、1台のストラテジーに反応してしまうと、もう1台にカバーされてしまう……チームとしては、非常に気を遣うレースになってしまったと思います」

 この問題は、ここ数年のレッドブルの悩みだった。フェルスタッペンのチームメイトは、彼と同様のパフォーマンスを発揮することができず、レース展開はメルセデス有利になっていった……そのため今季、ベテランであるペレスに白羽の矢が立ったのだ。

 しかしペレスのレースペースは秀逸だった。次戦で予選をしっかり戦うことができさえすれば、メルセデスに今回のような振る舞いを許さず、動きを封じることができるはずだ。

 とはいえメルセデスとハミルトンが、それに対処するためどんな底力を発揮してくるのだろうか? 今シーズンの見どころのひとつと言えるかもしれない。

2021年バーレーンGP決勝ラップタイム分析

2021年バーレーンGP決勝ラップタイム分析

Photo by: Motorsport.com / Japan

 
 

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