ホンダ田辺F1テクニカルディレクター「素晴らしい雰囲気のオランダGPを勝てて嬉しい」。ペレスには新仕様ESを投入
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターが、オランダGPを終えてコメント。素晴らしい雰囲気のレースをレッドブルのマックス・フェルスタッペンが勝ったことに満足していると語った。
Max Verstappen, Red Bull Racing RB16B, 1st position, celebrates on his way to Parc Ferme
Charles Coates / Motorsport Images
F1オランダGPの決勝レースを終え、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターが取材に応じ、素晴らしい雰囲気の中行なわれたレースに勝利できたことは喜ばしいと語った。
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、ポールポジションからスタートすると、戦略を駆使して逆転を狙ったメルセデス勢を寄せ付けずに優勝。後半戦2連勝、そしてフェルスタッペンとしては初の母国レース優勝を果たした。
「フェルスタッペン選手は予選でポールポジションを獲り、スタートもきちんと決まり、その後ハミルトン(ルイス・ハミルトン/メルセデス)選手にピッタリと背後につかれたものの、チームの戦略もうまく機能して優勝に結びつけることができました。嬉しく思っています」
田辺テクニカルディレクターはそう語った。
「今回のレースには、フェルスタッペン選手のファン、レースファンが多く集まり、スタンドで応援して、前が見えないんじゃないかと思うほどのスモークを炊いて、そして大きな声援を送ってくれました」
「でもフェルスタッペン選手だけを応援するわけじゃなく、全員でこのレースを楽しみ、そして今日戦った全ての選手やスタッフにも声援を送ってくれました。素晴らしい、暖かい雰囲気の中でのレースだったと思います。そんなレースをフェルスタッペン選手が優勝できたのは、良かったと思っています」
フェルスタッペンだけではなく、ホンダPU勢の中ではアルファタウリのピエール・ガスリーも奮闘。4番グリッドからスタートし、そのポジションを死守して4位でフィニッシュした。
「ガスリー選手はレースペースが非常に良く、安定したペースで走ることができました」
そう田辺テクニカルディレクターはガスリーのレースを振り返る。
「前の3台にはついて行けませんでしたが、他の中団グループとの戦いの中で強さを見せられたことは、これから先のシーズンを戦っていく上では良いことだと思います」
「ガスリー選手はこれまで、予選では良いポジションを獲ることができても、レースではペースが落ちるということがありました。でも今回は、良い結果が得られたと思います」
なおレッドブルのもう1台、セルジオ・ペレスは予選Q1でアタックできず、16番手からのスタートとなった。しかしPUの交換を決断。ただPUの交換だけなら最後尾グリッドからスタートできるわけだが、そのうちES(エナジーストア)はそれまで使っていたモノとは仕様が異なるため、ピットレーンからのスタートということになった。
これについて田辺テクニカルディレクターは、次のように説明した。
「ペレス選手には、新しいスペックのESを投入しました」
ホンダは今季、新骨格のPUをシーズン開幕時から投入。レッドブルやアルファタウリのパフォーマンス向上を後押ししてきた。これはICE(内燃エンジン)の設計変更を中心に、ターボやエネルギー回生システムなどにも変更が加えられているとされてきた。しかしESに関しては、これまでも昨年仕様のモノが使われてきたという。
「信頼性向上のためには、FIAと他のPUマニュファクチャラーの同意を得られれば、変更することができます。しかし今回のモノはそれとは事情が違います」
「今回のESは、新スペックだということです。それはどんなモノであれ、年間1回行なうことが許されています。我々はこれまで、昨年使っていたESをキャリーオーバーして使っていました。ですので、FIAから毎年1回のアップデートの許可を得て、今回投入したわけです」
その一方で、アルファタウリのもう1台、角田裕毅のPUにはトラブルが発生し、リタイアすることを余儀なくされた。これについてはまだ詳細は分かっていないと、田辺テクニカルディレクターは説明する。
「ホンダとしては残念なことですが、角田選手のPUにトラブルが発生し、リタイアすることになってしまいました。あってはならないことで、角田選手には申し訳ないと思っています」
「早急に解析して、次のレースであるモンツァに備えていきたいと思っています」
次のイタリアGPは、ヨーロッパ3週連続開催の3戦目。ここまで連勝しているレッドブル+フェルスタッペンとしては当然3連勝を狙いたいところだ。またアルファタウリ+ガスリーにとっても、昨年優勝を手にした相性の良いサーキットと言える。
「モンツァはとにかく超高速サーキットです。長いストレートがあるのでトップスピードが重要になりますし、シケインもあります。そのあたりに対応するため、どれだけうまく車体側でセットアップできるか、そしてPUとしてはトータルのパフォーマンスをどれだけうまく設定できるかという部分が大事になると思います」
「しかもイタリアGPは、スプリント予選レースがありますので、一発勝負のような形になります。FP1で事前のシミュレーションとの差だったり、自分たちがラップタイムを失っている部分、逆に稼げている部分を見極め、短期間でセットアップできるか……という部分が肝になってくると思います」
「我々としても色々な想定をして、迅速に対応できるようにしたいと思います」
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