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F1分析|ハミルトン&ルクレール、トルコGP決勝でタイヤ無交換をするべきだったのか?

F1トルコGPの決勝レースで、タイヤ無交換作戦を狙ったルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレール。ふたりは結局、レース終盤にタイヤを換えることを選択したが、この判断は正しかったのか?

Lewis Hamilton, Mercedes W12

写真:: Steve Etherington / Motorsport Images

 F1トルコGPの決勝レースは、終始霧雨が降り続くという難しいコンディションの中行なわれた。そのため路面は乾き切ることがなく、ドライタイヤの出番はなかった(アストンマーチンのセバスチャン・ベッテルが一時トライしたものの、これは大失敗に終わり大きく順位を落とした)。

 ただウエットコンディションになったことで、通常ドライのレースでは義務付けられている2種類のタイヤを使わなければならないという義務はなくなり、多くのマシンがスタート時に履いたインターミディエイトタイヤで長い周回数をこなした。

 その中でも、アルピーヌのエステバン・オコンは一度もタイヤを交換せぬまま走り切り、10位入賞を果たした。2005年を最後に、1セットのタイヤで走り切らねばならないというレギュレーションが撤廃された後は、まず見られなかった戦略を成功させたと言えよう。

 このタイヤ無交換作戦を狙ったのは、オコンだけではない。フェラーリのシャルル・ルクレールと、メルセデスのルイス・ハミルトンも、この無交換作戦を目指したが……結局ピットインすることになり、表彰台を獲得することはできなかった。

 ではルクレールとハミルトンのふたりは、タイヤ無交換作戦をすべきだったのか? あるいは最終的に交換するという判断を下したのは正解だったのか? まずはラップタイムから見てみることにしよう。

F1トルコGP決勝ラップタイム推移グラフ

F1トルコGP決勝ラップタイム推移グラフ

Photo by: Motorsport.com / Japan

 まずルクレールは、23周目をピークに、ラップタイムが下がり続けている。その結果、前にいたマシンがピットストップを行なったことで首位に立ったものの、みるみるうちにリードを削り取られ、バルテリ・ボッタス(メルセデス)に抜かれてしまった。これを機にフェラーリはルクレールをピットインさせ、新品のインターミディエイトタイヤを履かせることになった。

 ペースが落ちていたことを考えれば、ルクレールの場合はピットストップさせるのも致し方なしという言い方ができるかもしれない。

 一方でハミルトンは、ピーク時のペースと比較すれば下落傾向にはあったものの、30周目以降ほぼペースを維持していた。それを考えれば、ハミルトンが散々無線で訴えていた通り、無交換作戦を敢行するのも理に適っていたと言えるだろう。

 実際、ルクレールもハミルトンも、ピットストップを行なったことで、セルジオ・ペレス(レッドブル)の後方に落ちてしまうことなった。

 ただ、ルクレールがピットストップをした際のペレスとの差は約25秒(残り11周)、ハミルトンがピットストップした際のペレスとの差は約13秒(残り8周)だった。つまりルクレールの場合は2.2秒/周、ハミルトンの場合は1.6秒/周程度ペレスよりペースが遅くなければ、タイヤ無交換作戦を採ったとしても、ポジションをキープできたかもしれない……ということになる。実際、ルクレールはピットストップする前の周、ペレスよりも約1.6秒遅く、ハミルトンは約0.8秒遅いだけだった。

F1トルコGP決勝タイムギャップグラフ

F1トルコGP決勝タイムギャップグラフ

Photo by: Motorsport.com / Japan

 つまりタイヤ無交換作戦を採っていたとしても、計算上はふたりともペレスの前に留まることができたはずで、それが現実のモノとなっていれば、ひとつずつ上の順位でフィニッシュできていたのだ。

 ただ懸念もあった。実際に無交換作戦を成功させたオコンはレース後「あと1周多く残っていたなら、パンクしていたかもしれない」と語っている。もし無交換作戦を採っていたら、ルクレールとハミルトンがパンクに見舞われ、無得点でレースを終えていた可能性もある。そういうリスクは、チームとしては避けたかった……そのため、無交換作戦を諦めたということだろう。

 ルクレール&フェラーリは、マクラーレンとコンストラクターズランキング3位を争っており、ハミルトンとメルセデスとしてはレッドブルとチャンピオン争いをしている立場……無得点は是が非でも避けなければいけない。

 ピレリのF1&カーレース責任者のマリオ・イゾラも、無交換で走り切るのは危険だとして、各チームにタイヤを交換するよう提案していたと発言している。

 一方でタイヤ交換をしたことでの”誤算”もあったように思う。ルクレールもハミルトンも、新品タイヤに交換した後、ペースを上げられていないのだ。ピットアウト直後の1周目こそ速かったが、その後一気にペースが落ちている。

 これは何も、ルクレールとハミルトンに限った話ではなかった。他のドライバーも、タイヤを交換した直後には、ペースを上げられずに苦しんだ。ただその後数周もするとペースが格段に向上することになるのだ。

 これは、ルクレールのチームメイトであるカルロス・サインツJr.のラップタイム推移を見るとよく分かる。サインツJr.はタイヤ交換後、8周にわたってペースを上げていない。むしろタイヤ交換前よりも遅いくらいだ。しかしその後突如ペースアップ。ファステストラップを刻む勢いで前を追った。

 今回のインターミディエイトタイヤは、今年のイスタンブールパーク・サーキットのコンディション下では、使い始めにはグレイニング(ささくれ摩耗)が発生し、狙ったようなパフォーマンスが発揮できなかったという。その後徐々にグレイニングが改善し、一気にパフォーマンスが上がるということが実際にあったようだ。これはハミルトンもレース後に言及している。

 事実、ハミルトンもルクレールも、レースフィニッシュに向けて徐々にペースアップし、前を行くペレスとの差を詰め始めていたが、プレッシャーをかけるまでには周回数が足りなかった。

 これらのことを総合して考えると、本当の正解は今回のタイミングでピットストップをすることでも、無交換作戦を強行することでもなく、もっと早い段階でタイヤを変えるべきだったということなのだろう。メルセデスのトト・ウルフ代表も語っているとおり、レースが終わった後に分析すれば、なんとでも言えるのだが……つまりは、それほど難しいコンディションだったということだ。

 しかし、ルクレールとハミルトンが無交換で走り切っていたらどんな成績を残したのか……見てみたかったというのも正直なところだ。

 

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