マクラーレン、初日苦しんだシンガポールで”望外”のダブル入賞でランキング4番手浮上。チーム代表「早めにスリックを履く”誘惑”に耐えた」

F1シンガポールGPでは、マクラーレンが4位と5位のダブル入賞を果たし、アルピーヌを抜いてランキング4番手に浮上。早めにスリックタイヤに履き替えるという”誘惑”に惑わされなかったことが要因だったと語った。

Lando Norris, McLaren MCL36, heads to the grid

Lando Norris, McLaren MCL36, heads to the grid

Glenn Dunbar / Motorsport Images

 マクラーレンはF1シンガポールGPで4位ランド・ノリス、5位ダニエル・リカルドとダブル入賞し、ノーポイントに終わったアルピーヌを抜いてコンストラクターズランキング4番手に浮上した。

 マクラーレンはシンガポールGPでは初日から苦戦。ノリスは「ペースがない」、リカルドは「僕らは明らかに遅い」と語るなど、厳しいグランプリになるかと思われた。

 しかしウエットコンディション絡みとなった予選では、ノリスが6番グリッドを獲得したが、リカルドは引き続き苦しみ16番手に沈んだ。しかし、決勝では2台に幸運が待っていた。

 決勝レースも、スタート直前に降った豪雨により、ウエットコンディションでのスタート。予定よりも1時間遅れたスタート時には雨は止んでいたものの、各車が周回を重ねていっても、なかなか路面は乾いていかなかった。

 レースが折り返しを迎える頃から、各車が徐々にピットインし、ドライタイヤに交換。しかし当時の路面コンディションはまだまだドライタイヤで走るには微妙な状況であり、マクラーレン勢はピットストップを先送りにした。そんな中、ミディアムタイヤを履いた角田裕毅(アルファタウリ)がターン10でクラッシュしたことでセーフティカーが出動。これは、ピットストップを先送りにしていたマクラーレン勢にとって好機となった。

 これでノリスは4番手、リカルドも5番手に浮上。結局レースの最後までそのポジションを守り切り、大量22ポイントを獲得。コンストラクターズランキング4位を争うアルピーヌ勢の2台が揃ってリタイアに終わったため、マクラーレンはアルピーヌを抜いてランキング4番手に浮上することになった。

「両方のクルマがトップ5に入るなんて、すごく良い1日になった」

 ノリスはそうコメントを発表した。

「コンディションが難しいレースだったけど、チームの全員が今日は素晴らしい仕事をした。多くのポイントを獲得できたことは、コンストラクターズ選手権にとって非常に重要だった。チームのみんなに、よくやったと言いたいね。僕はとても満足だ」

 またチームメイトのリカルドも次のように語った。

「今年はトップ5に入ったことはなかったから、とても満足している。今回、僕らに有利に働いたようにも感じるところもいくつかあるけど、僕らは非常に忍耐強く、オトナな戦い方ができたと思う」

 そうリカルドは語った。

「スリックタイヤへ早々に交換し、僕らが置かれていたポジションで”ヒーロー”になることを目指すのは、確かに魅力的なことだったかもしれない。でも僕らには分別があった。交換を遅らせたことで、明らかにセーフティカーのチャンスを、他のクルマよりもうまく活かすことができたと思う」

「1周目が良かったことは本当に満足している。そこでもポジションを上げられたんだ。僕らはやるべき全てのことを正しく行なった。トップ5に入れたことは、コンストラクターズ選手権において僕らのチームにとっては大きなモノだった。全員が笑顔になったよ」

 チーム代表のアンドレアス・ザイドルも、誘惑に負けて早々にピットストップをしようとしなかったことが、好結果に繋がったと喜んだ。

「最善の方針を判断するのが非常に難しかった今日、我々は適切な決断を下した」

 そうザイドル代表は語った。

「我々はレースの早い段階から良い位置にいた。でも今日のようなコンディション、特に今回のようなコースでは、早くピットインしてスリックタイヤに履き替え、多くのポジションを上げようとする誘惑にかられる。しかし我々には忍耐があり、信頼できる2台のクルマがあり、しっかりとしたピットストップができた。その全てが、今日の結果の要因だった」

「ランドのマシンに投入したアップグレードは、期待通りに機能した。これは大きなプラスだ。日本GPで2台のマシンに搭載されることを楽しみにしている」

 ザイドル代表は、今回の結果で安堵することなく、最終戦まで集中して戦っていくと語った。

「コンストラクターズ選手権で4番手になれたことは良いことだが、非常に強力なアルピーヌとの厳しい戦いが続いている。アブダビでの最終周まで、集中してハードワークを続けていく」

「でもまずは鈴鹿だ!」

 
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